【舛添直言】ネタニヤフに乗せられ踏み切ったイラン攻撃で自らの首を絞めるトランプ、全く見えてこない出口戦略
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舛添 要一
国際政治学者
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2026.4.11(土)
ホワイトハウスで記者会見するトランプ大統領=4月6日(写真:ゲッティ=共同)
アメリカ東部時間の7日午後8時(日本時間8日午前9時)に、アメリカとイランは2週間の停戦に合意した。それはどういう内容なのか。パキスタンのシャリフ首相の仲介もあったというが、この急転直下の合意はなぜ実現したのか。また、この合意は着実に履行され、恒久的な平和につながるのか。ホルムズ海峡が開放され、石油価格の下落につながるのか。
イランの10項目
トランプ大統領は、イランがホルムズ海峡を開放することを条件に、イランへの攻撃を2週間停止するとし、11日から、パキスタンの首都イスラマバードでイランと協議を開始することを明らかにした。
イランの最高安全保障委員会は、イランが勝利したとし、アメリカに10項目の計画を受諾させたと述べた。
その10項目とは、①イランへの新たな攻撃を行わないこと、②レバノンのヒズボラとの紛争を含む全戦線の停戦、③中東地域からの米軍部隊の撤退、④ホルムズ海峡へのイランの支配権維持、⑤イランのウラン濃縮活動の容認、⑥イランの核計画に対する全てのIAEA決議の停止、⑦イランへの一次制裁の解除、⑧取引する外国団体など全ての二次制裁の解除、⑨全ての対イラン国連安保理決議の停止、⑩イランへの賠償金の支払いである。
この提案について、トランプは、「合意可能な基盤」になると主張し、アメリカとイランで合意済みだという。しかし、その言葉を信じてよいのか。
たとえば、⑤のウラン濃縮活動を容認するのなら、「イランが核兵器の開発を行っているから攻撃した」という攻撃理由と齟齬をきたすのではないか。アメリカは、ウラン濃縮の全面禁止、高濃縮ウランのIAEAへの引き渡しを要求しており、アメリカには承諾することができない項目である。
④についても、アメリカはホルムズ海峡の完全な開放を求めており、それはイランの支配権を認めることとは矛盾する。
⑩に関しても、トランプが言うように「完全勝利」というのなら、なぜ勝ったほうが負けた国に賠償金を払うのか。
このように、少し検討しただけでも、アメリカにとっては合意できない内容であり、アメリカが合意した案とは異なるという。では、その「合意した案」とはどのような内容なのであろうか。
