Anysphereは4月2日、ユーザーがAIコーディングエージェントを立ち上げて作業を任せられる新しいインターフェイス「Cursor 3」を発表した。この製品でAnysphereは、ここ数カ月で開発者の間で急速に広がっているAnthropicの「Claude Code」やOpenAIの「Codex」といったエージェント型コーディングツールに対抗しようとしている。

「ここ数カ月で、わたしたちの仕事のあり方は完全に変わりました」と、Cursorの開発部門の責任者のひとりであるジョナス・ネレは『WIRED』の取材に語る。「これまでCursorの成長を支えてきた製品の多くは、これからはそれほど重要ではなくなります」

エージェント型コーディングツールの台頭

Cursorは開発者や企業顧客を巡って、ますます主要なAI研究機関と競合する状況に置かれている。CursorはOpenAIやAnthropic、グーグルのAIモデルを使って開発者がコーディングできるツールをいち早く開発し、広く普及させてきた。つまり、これまでCursorはこうしたAI企業にとって重要な顧客だったのだ。しかし過去18カ月のうちに、OpenAIとAnthropicは自社のエージェント型コーディング製品を展開し、料金以上の価値を提供するサブスクリプションを提供し始めたことで、Cursorの置かれている事業環境は厳しくなっている。

Anysphereの主力製品であるCursorは、開発者が統合開発環境(IDE)のなかでコードを書きながら、AIモデルの助けを借りることができるツールだ。一方で、Claude CodeやCodexといった新しい製品は、開発者が個々のタスクをAIエージェントに任せることを前提としており、場合によっては複数のエージェントを同時に走らせることもできる。

コードを書かない開発

Cursor 3は、こうした「エージェントを主軸とする」コーディングに対応した製品となる。製品についてネレは、開発者が自らコードを書くのではなく、「複数のエージェントと対話しながら進行状況を確認し、成果を確認する」ことに時間を費やす働き方に最適化されていると説明する。

Cursorはこの新しいエージェント型コーディングインターフェイスを、既存のデスクトップアプリ内に組み込んでいる。IDEと並んで利用できる設計ということだ。新しいウィンドウの中央にはテキストボックスがあり、ユーザーは自然言語でAIエージェントに実行させたいタスクを入力できる。その見た目はコーディング環境というより、チャットボットに近い。エンターキーを押すと、開発者が一行もコードを書くことなくAIエージェントが作業を開始する。左側のサイドバーでは、現在Cursorで稼働しているすべてのAIエージェントを確認し、管理できる。

Claude CodeやCodexのデスクトップアプリと比べたときのCursor 3の特徴は、エージェントを軸にした製品とCursorのAIを組み込んだ開発環境を統合している点にある。Cursorの開発部門のもうひとりの責任者であるアレクシ・ロビンスは製品のデモを実施し、クラウド上のエージェントに新機能の開発を指示し、その生成されたコードをローカル環境で確認する流れを説明してくれた。

開発者がどのインターフェイスを使って作業するかは重要ではなく、とにかくCursorを使ってもらうことが重要だと、ネレとロビンスは語る。

利用動向の変化

わたしは3月下旬、サンフランシスコのノースビーチ地区にあるAnysphereのオフィスを訪れた。同社は現在、企業評価額500億ドルで資金調達を進めていると報じられている。この評価額は昨秋の資金調達時のほぼ2倍にあたり、現在は映画館だった建物にまで拠点を広げている。かつてはオフィスの入口に社員の脱いだ靴が山積みになっていたが、いまでは大きな靴棚が並び、会社の成長を象徴している。