25%徴収金を受け入れH200を再投入 グロック連携の推論チップで販路維持へ

小久保 重信

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2026.4.3(金)

NVIDIAが3月の技術イベントで発表した推論処理に特化した超高速AIチップ「Groq 3 LPU」(3月17日、写真:ロイター/アフロ)

 2026年3月中旬、米エヌビディア(NVIDIA)が中国向けAI半導体「H200」の製造再開を表明した。

 こうした動きからは、米政府の輸出管理という制約を受けながらも、市場シェアを維持しようとする同社の実利的な姿勢がうかがえる。

 トランプ米政権による「売上高の25%を政府に納付する」という異例の条件をのみ、停滞していた中国市場への供給が再び動き出している。

 今回の供給再開が持つ意味は、単なる一企業の輸出再開という枠組みを超えている。それは米国による「技術の主導権維持」と、中国による「演算資源の確保」という、双方の利害が一致した結果の産物だ。

「管理された依存」への回帰

 ジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)は3月の技術イベント「GTC」で、中国向けのサプライチェーン(供給網)が本格稼働していることを明らかにした。

 3月に入り、米中双方の当局からライセンス承認が相次いで下りたことが背景にあると、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。

 米国は収益の確保や中国による半導体の国産化阻止という実利を求め、中国はAI開発に不可欠な演算資源を必要としている。

 両政府は、この相互の利害関係をライセンスや徴収金などで戦略的に統制する「管理された依存」の構図を鮮明にしている。

 トランプ政権の狙いは、最先端品の流出を防ぎつつ、準先端品の供給で中国を米国主導のエコシステム(経済圏)に引き留めることにある。

 これは同時に、莫大な徴収金を米国内の産業振興の財源に充てる実利主義的な手法でもある。

 一方、受け入れ側の中国も代えられない状況にある。

 同国の半導体受託生産大手などは現在、「回路線幅7ナノメートル(nm)の壁」に直面し、微細化が行き詰まっている。

 自国製チップの性能向上が順調に進まない中、H200の導入はAI開発を継続するための現実的な選択肢となった。