[ドバイ/テルアビブ/ベイルート/ブダペスト 8日 ロイター] – イスラエルは8日、レバノンに対しこれまでで最大規模の攻撃を実施し、数百人が死亡した。これに対しイランは報復を警告するとともに、米国との恒久的な和平合意に向けた交渉を進めるのは「不合理」だとの見方を示した。
イラン側の交渉を主導するガリバフ国会議長の警告は、トランプ米大統領による前日の停戦発表後も中東情勢が依然として不安定であることを浮き彫りにした。双方は和平協議に向けて大きく異なる立場を示しているが、2週間の停戦がそれまで維持されるかどうかは不透明だ。
ガリバフ氏は、イスラエルがレバノンの親イラン武装組織ヒズボラに対する攻撃を激化させたことですでに停戦条件に違反したほか、米国もイランに核開発の放棄を要求することで合意に違反していると主張。「このような状況下では、2国間の停戦や交渉は不合理だ」と述べた。
イスラエルと米国は2週間の停戦にレバノンは含まれないとしている。米代表団を率いるバンス米副大統領は「イラン側は協定にレバノンも含まれていると考えていたようだが、実際には含まれていなかった」と記者団に語った。
トランプ氏が軍事作戦の根拠の一つに挙げたイランの核開発についても、双方の隔たりは大きいもようだ。
米ホワイトハウスのレビット報道官は、イランが濃縮ウランを引き渡す意向を示していると明らかにした。
トランプ氏は交流サイト(SNS)への投稿で「米国はイランと協力し、(米国の爆撃を受け)深く埋められた核の『残骸』を掘り起こし除去する」と述べた。
しかしガリバフ氏は、停戦条件の下でイランはウラン濃縮の継続が認められているとした。
数千人の死者を出した5週間の戦争で米国とイランはともに勝利を宣言したが、根本的な対立は未解決のままだ。
こうした不透明感にもかかわらず、世界各国の株式市場は急伸。米国時間の原油先物は1バレル=95ドル前後に下落した。

写真は停戦発表後にテヘランで集まる人々。4月8日。イラン・テヘランで撮影。WANA提供。REUTERS
<「引き金に指」>
イスラエルのネタニヤフ首相はヒズボラに対する攻撃を継続すると表明、「われわれの指は引き金にかかっている」とし、「いつでも」戦闘を再開する用意があると述べた。
レバノン当局によると、イスラエルが8日に行ったレバノン全土への攻撃で254人が死亡した。首都ベイルートでは91人が死亡し、住民によると、攻撃の一部は、通常行われる民間人への避難警告なしに実施された。
ヒズボラは9日未明、イスラエル北部にロケット弾を発射したと発表した。米国とイランが2週間の停戦に合意して以降、ヒズボラがイスラエルに攻撃を行うのは初めて。ヒズボラは声明で、今回の攻撃はイスラエルによる停戦違反への報復だと説明した。
フランスのマクロン大統領はXへの投稿で、レバノンに対するイスラエルの「無差別攻撃」を最も強い言葉で非難すると表明。レバノンを停戦の完全な対象とする必要があると訴えた。
欧州13カ国と日本、カナダの首脳は共同声明を発表し、停戦を歓迎するとともに、「深刻な世界的エネルギー危機」の回避に向けて速やかな戦闘終結を求めた。
石油業界筋によると、イランは近隣諸国の石油施設を攻撃し、ホルムズ海峡を迂回するために使用されてきたサウジアラビアのパイプラインも対象となった。クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)もミサイルやドローンによる攻撃を受けたと報告した。
複数の大手海運会社は、イランがホルムズ海峡を航行しようとする船舶に新たな警告を発したことを受け、海峡通過を再開する前に、米イラン停戦の条件についてより明確な情報が必要との考えを示した。
こうした中、イランの通信社ISNAは9日朝、ホルムズ海峡を通過する船舶が機雷を回避できるよう、イスラム革命防衛隊(IRGC)海軍が代替航路を示す地図を公開したと報じた。
一方、トランプ氏は「イランと現在、関税や制裁の緩和について協議しており、今後も続ける」とSNSに投稿。また、イランに軍事兵器を供給する国に対しては、米国への輸出品に直ちに50%の関税が課されると述べた。
The line charts show the movement of US gasoline price, gold price, dollar index and world stocks since January 2026.
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