NVIDIAは4月4日(土)、GeForce RTX 50シリーズ体験イベント「NVIDIA Gamer Day」を開催した。会場はesports Style UENO(東京都台東区上野2丁目7-7 上野HSビル3階)。
GeForce RTX 50シリーズ搭載デバイスや採用技術を伝えるイベント。開催は今年で3回目となる。パートナーとしてAcer、ASUS、MSI、GIGABYTE、サードウェーブ(ドスパラ)、マウスコンピューター、ユニットコム、Lenovoの8社が参加しており、各社の最新ゲーミングノートPCを展示した。
展示機では2月発売のアクションゲームタイトル「仁王3」や「バイオハザードレクイエム」、4月17日発売予定の「プラグマタ」が試遊可能で、各社のゲーミングノートPC性能を実機で体感できる機会となった。
NVIDIAスペシャルプレゼンテーションでは、NVIDIAテクニカルマーケティングマネージャーの澤井理紀氏が登壇し、DLSSやNVIDIA AceなどのAI関連機能を中心に紹介。効果を適用したゲーム画面の実例をまじえながら、最新機能を利用するメリットを整理した。
最新のDLSS 4.5については、とりわけ大きな特徴として「超解像機能」と「マルチフレーム生成」を挙げている。超解像機能は、画像認識AIモデルの「Transformer」を中心とした画質向上機能。現行の第2世代Transformerはデータセットの大規模化やFP8への対応、コンテキスト認識の強化などを施しており、ディテール圧縮の抑制やゴーストの低減によって、より鮮明な画質を実現できるようになった。
またDLSS 4.5のマルチフレーム生成では、1枚のレンダリングフレームに対して5枚の追加フレームを生成し、ネイティブ描画と比較して最大6倍のフレームレートを出力する。またTransformerによって入力フレームに超解像をかけることで全フレームの画質向上も図っている。
DLSS関連の最新機能としては、ネイティブでDLSS非対応のゲームタイトルにDLSSを適用する「DLSS Override」や、シーンの動きの激しさに応じて生成フレーム数を動的に調整する「ダイナミックマルチフレーム生成」についても言及した。
AI機能としては、ゲーム上のキャラクターにAI人格を与える「NVIDIA Ace(Avatar Cloud Engine)」を紹介。活用例としてはストラテジーゲーム「Total War: PHARAOH」におけるAIアドバイザーを例示している。
具体的には、ゲーム上で起きている事象の説明や今後の行動指針などについてチャットベースでAIに助言を求めることができる。RTSなどの複雑なゲームシステムを持つゲームであっても、ルールに精通したAIと対話を重ねることで、プレイヤーは自然に知識を身につけられるとしている。
続くGeForce RTXセッションは、ゲストの伊織もえさんが仁王3を実際にプレイしながら、DLSSの効果を実感してもらうという趣旨。技術解説は前セッションから引き続き澤井氏が担当した。仁王3は4倍までのマルチフレーム生成にネイティブ対応しているが、今回のデモではDLSS Overrideにより6倍のマルチフレーム生成を設定しており、常時300fps超えのプレイ環境を用意していた。
仁王3は高難度のアクションだが、伊織さんは普段からゲームのストリーミング配信を行なっていることもあり、終始滞りなくプレイを進行。マルチフレーム生成による変化については、DLSS設定の適用前後でキャラクターの衣装ディテールが向上していることをすぐに指摘するなど、特に意識せずともはっきりと実感できる効果が得られることがわかった。
映像/音声処理アプリ「NVIDIA Broadcast」のAI機能についても触れている。NVIDIA BroadcastのAIエフェクトはGPUによってローカルで処理していることから、通信帯域や遅延の少なさが主な特徴となる。ビデオエフェクトとしては人物を認識して背景をマスクする「仮想背景」やノイズ除去など様々な機能が利用できるが、ここでは仮想背景に加えて、人物の目線が常にカメラに向くようフレームを生成する「アイコンタクト」と、人物部分の色調や明るさを補正する「仮想キーライト」を紹介していた。
このほか建築デザインへの生成AI活用デモも実施した。何もない部屋の写真に置きたいインテリアを伊織さんに描き込んでもらい、リアルタイムに部屋のイメージを生成するといった内容。抽象的すぎる描写ではうまく認識しないこともあったが、うまく丸めてそれらしく形にする生成AIらしい結果が得られた。
出展者トークセッションでは、本イベント出展社のうち7社のスタッフが登壇した。「ノートPC」を軸とした7つのテーマが出題され、それぞれのテーマについてマルかバツの札を挙げてもらい、それぞれ意見を述べるという内容。登壇者はAcerの谷康司氏、ASUSの藤原拓馬氏、MSIの鈴木淳氏、GIGABYTEの関口修一氏、マウスコンピューターの林佑紀氏、ユニットコムの大日方心哉氏、Lenovoの細川英夫氏。
最初のお題は「ノートPCの性能はGPUで決まると言っても過言ではない」。7人中5人がバツを挙げた。
谷氏(以下敬称略)「GPUは非常に大事ですが、それがすべてではありません。CPUはもちろん、液晶ディスプレイの性能や排熱が適切になされているか、考慮すべき要素はたくさんあります」
藤原「大前提としてCPUの性能も重要なのですが、そのうえで、Windowsを操作する中での快適さに特に強く影響しているのはやはりGPUだと思っています」
2番目のお題は「ノートPCの最大の魅力は薄さである」。こちらも7人中5人がバツ。
関口「ノートPCはどこにでも持っていけることがメリットなので、できるだけ薄くて軽いことが魅力だと思います。私自身も『もっと小さくて軽いものがほしい』というご意見をいただくことも多いです」
林「ノートPC本体の話ではないのですが、私の方では『ACアダプタが大きすぎる』というご意見をいただくことがあります。マウスコンピューターでも電源を小さくするために小型化の技術を模索しており、最新の機種ではSiCを用いて小型化を図っています。今後も電源の小型化には努めていきたいと考えています」
鈴木「セールスという立場でユーザーさんのお話をお聞きする限りでは、『薄さ』よりは『軽さ』が重要なのかなと思います。ただ林さんのお話でも出たACアダプタについては、コストを優先した結果大きいものを採用しがちです。すみません(笑)」
3つ目のお題は「実はAIを使いこなせていないと感じている」。これは全員がマルを挙げた。
大日方「ノートPCメーカーの視点から見ると、まだまだAIを使いこなせていないと感じることは多いです。例えばバッテリ残量の管理を全自動でやってくれるとかの機能は、スマホにはすでに入ってきているのですが、ノートPCにはまだありません。活用の余地はまだまだあると思っています」
関口「ソフトウェア開発の分野でもAIの活用は進んでいますが、どこから手を付けたものかわからずに、やりたくてもやれないことは多いですね。個人的にはAIを使ったゲーム開発をやってみたいのですが、例えばそういったAI用途の部分をある程度までNVIDIAさんがライン取りしてくださったら、いろんな方の開発のハードルが下がるんじゃないかと思います」
4つ目は「プライベートでは、実は他社のPCを使用している」。マル4つに対してバツが3つ。
細川「何台も使っているので、他社のPC”も”使用しているというのが正しいのですが、私の場合はいろんなメーカーの製品に触れてみて、自社の製品にない強みを見つける意味合いが強いですね。気になるものは買ってみて、使ってみています」
藤原「自社(ASUS)の製品が大好きなので、ノートPCもデスクトップもROGで固めています。もちろんスマホもZenFoneです!」
谷「私もAcerの端末しか使っていませんね。今はSwiftを愛用中です。かみさんのPCもAcerですよ」
5つ目のお題は「ノートPCにおけるオススメの液晶サイズは14インチである」。こちらはバツが6つで圧倒的。GIGABYTEの関口氏は「△」だという。
関口「GIGABYTEのゲーミングノートPCは14型をやめてしまったのですが、14型は市場で根強い人気があって、世間的にはそこがおすすめということになるのかなとは思います。でも操作のしやすさやマシンパワーの点まで考えると16型の方が良いです!」
林「法人向けPCであれば14型は良い選択肢なんですが、ゲーミングPCの場合は外部映像出力でゲーム画面を映しつつ、本体の画面で別の作業をすることもありますので、そうなると16型の方が利便性は高いと思います。筐体が大きければ冷却の面でも有利ですしね」
大日方「14型は持ち運びやすさという点で魅力はあるのですが、ゲーミングという用途では、調達できるパネルの性能や画面の見やすさ、林さんもおっしゃったような冷却性能の上げやすさも考慮すると、大きな筐体の製品をおすすめしたいところです」
6番目のお題は「PC業界における今年一番の注目トピックはメモリである」。マルは4つでバツは3つ。
細川「ユーザー目線で見ると、一番響きやすいトピックはやはりメモリだと思いますよ」
谷「我々のようにPC業界に長くいる人間としても、今回のような状況を経験するのは初めてのことです。異常値ともいえるくらいメモリの価格が上がってしまって、それだけならまだしも、(部材として)買えるかどうかさえわかりません。今年、これからどうなるのかは私もまったく予想できませんが、少なくとも安くはならなさそうです。長引く円安も不安要素ですよね。色々と”やばい”です」
最後のお題は「他社のノートPCがうらやましいと思ったことがある」。これは満場一致でマル。
鈴木「私が最近本当にうらやましいなと思ったのは、3月に出た『MacBook Neo』ですね。我々が値付けで苦しんでいる中、10万円以下の価格であのりんごマークが手に入る。ものによってはスマホより安いんですよ。すごいことです」
大日方「Lenovoさんの”伸びる”パネルのノートPC、すごくいいなと思っています。そういったものをすぐ製品できるのはうらやましいですよね」
細川「いろんなメーカーさんのPCを比較し続けている中で、自社でできていないことを他社さんができている、という事例はたくさんあって、私からすると”隣の芝生は青すぎるほど青い”ので、他社さんのPCをうらやましいと思うのはいつものことです。それがあるからこそ、お互いに高め合っていける部分はありますよね」
林「他社さんのゲーミングPCは独自機能としてAIを使った冷却制御が入っていたりもするので、そのあたりはうらやましいなと思います」
関口「私は設計が好きなので、他社さんのPCの内部設計を見ると、いいな!と思うことが多いですね。冷却構造の全体図とか、チップの位置とか、ちょっと説明が難しいのですが、良い設計を見ると嬉しくなっちゃいますね」
藤原「先ほども話が出ましたが、画面が伸びるLenovoさんのコンセプトPCがすごく気になっていて。将来的には製品化されてみんなが普通に使うようになる技術なのかもしれないですが、自社が出せてないものが出ていると、すごくうらやましいなと思いますね」
谷「世の中には素晴らしいマシンがたくさん出ているなと常々思っているのですが、最近気になっているのは、ASUSさんのZephyrus 14型モデルですね。白い筐体ってやはりすごくきれいで、それはAcerの製品にないのでうらやましいです」
最後のセッションは、仁王3のプロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスTeam NINJAの柴田剛平氏と、ファミ通.comの三代川正編集長によるインタビューセッション。全体的に仁王3のシステムやゲームプレイを中心に語り合う内容だったが、ゲーム開発者としての柴田氏から見たゲーミングPCを語るお題もあったので、抜粋して紹介したい。
三代川「柴田さん自身はPCゲームで遊ばれることはあるのでしょうか?」
柴田「長いことコンシューマ畑の人間だったので始めたのは遅いのですが、2021年に『NINJA GAIDEN マスターコレクション』のPC版も出したことを機にゲーミングPCを買って遊ぶようになりました。今年は仁王3も遊びたかったので先月PCをアップグレードしたのですが、やはり画質を上げた状態で快適に遊べるとゲーム体験は全然違いましたね」
三代川「日本のPCゲーム市場についてはどのようにお考えでしょうか。以前と比べるとストリーマーが影響力を持つようになったり、消費者の行動やプレイヤー層にも変化が出てきたと思いますが」
柴田「一昔前は、ゲーミングPCのハードルってすごく高かったと思うんですよ。しっかりとデスクトップでゲーミングPCを組まないといけないんじゃないか、というところから、ノートPCでも十分なゲーム体験ができるようになったと実感しています。PCゲーミングは以前よりもずっと手を出しやすくなっているし、まだまだ拡大する余地のある環境だと思います」
三代川「今後のPCゲーム市場についてはどのように変わっていくと予想されていますか?」
柴田「今よりも拡大すると思います。現在のハイエンドは未来のミドルクラスでもあり、手の届く金額になればより良いゲーム体験を求めるプレイヤーさんはゲーミングPCを買うと思いますし、一度買えばそれなりに長く使えますから、あまりにも古いPCでさえなければ新作も動くので、時間が経つほどその裾野は拡がっていくのではないでしょうか」
柴田「我々としてもロースペックからハイエンドまで、幅広い環境で遊べるように調整していますので、別に新作のうちでなくとも、いろんな方に遊んでいただけるチャンスが増えるのは歓迎したいことです」
