緊急検証・SaaSの死

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島津 翔=シリコンバレー支局

2026.04.08

出典:日経クロステック、2026年2月6日
 
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 米OpenAI(オープンAI)が2026年2月5日(米国時間)にAI(人工知能)エージェント基盤「OpenAI Frontier」を発表した。これも、AIによってSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)が代替されるとする「SaaSの死」論を補強する材料になりそうだ。

 同社幹部は「既存ツールを置き換えるものではない」と強調した一方、「あらゆるソフトウエア企業がAIへの適用を迫られている」とも発言。大手企業では「2026年末までにデジタル業務の大半をエージェントが実行するようになる」と見通した。

 オープンAIが発表したFrontierは、BtoB(企業向け)に特化したAIエージェント開発・運用基盤だ。社内の情報を理解した複数のAIエージェントを効率よく安全に使えるようにするためのサービスと言える。

 主な機能は3つある。1つ目は、企業のデータなどをエージェントに与え、文脈を理解させる機能。社内の独自データや業務ルール、ワークフローなどを接続し、エージェント同士の行動に齟齬(そご)がないようにする。権限の付与などもできるようになる。

OpenAI Frontierの仕組み

OpenAI Frontierの仕組み

(出所:オープンAI)

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 米Salesforce(セールスフォース)などが提供する顧客関係管理(CRM)基盤やSlack(スラック)などのコミュニケーションツール、社内のナレッジデータベースなどと接続して、断片化した情報を統合できるという。

 2つ目はエージェントの実行環境だ。推論だけでなく、データベースへのアクセスやコードの実行、ツールの呼び出しといった複雑なタスクができるようにする。AIエージェントがタスクを実行するにつれて記憶を蓄積でき、パフォーマンスが向上するという。

 3つ目はエージェントの性能評価・最適化機能だ。一度開発して終わりではなく、人間が評価・フィードバックすることで適切なAIエージェントを配置できる。

 Frontierには、オープンAI製のAIエージェントや顧客企業が開発したエージェントだけでなく、他社が提供するエージェントも組み込める。OpenAIの広報担当者は「要望があれば米Anthropic(アンソロピック)のコード生成エージェントの組み込みも可能だ」と回答した。

 2026年2月第1週にSaaS関連株が急落した「アンソロピック・ショック」。震源はアンソロピックが公開したAIエージェント「Claude Cowork」だった。CoworkによってSaaSが代替されると投資家が懸念した結果、株価が急落した。2月3日に株価が前日比10%程度急落し、4日に持ち直したものの、オープンAIがFrontierを発表した5日に再び下落した。

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