2026年03月27日 12時20分
メモ


アメリカ国防総省との意見対立から敵対国企業に下されるような排除命令を受けたAnthropicが措置は違憲だと裁判所に訴えていた件で、Anthropicの仮差止請求が認められ、排除命令の執行が1週間停止されたことが分かりました。

gov.uscourts.cand.465515.134.0.pdf
(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cand.465515/gov.uscourts.cand.465515.134.0.pdf

Anthropic wins preliminary injunction in Trump DOD fight
https://www.cnbc.com/2026/03/26/anthropic-pentagon-dod-claude-court-ruling.html

Federal judge sides with Anthropic in first round of standoff with Pentagon | US military | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2026/mar/26/anthropic-ai-pentagon

Anthropicは国防総省によるAI活用施策に協力していましたが、あらゆる合法的なAIの利用を求めた国防総省と交渉が決裂し、契約を打ち切られました。おまけに国防総省は政府機関での製品利用を禁じる「サプライチェーンリスク」の対象企業としてAnthropicを認定し、全面的な排除を試みました。サプライチェーンリスクはそれまで国内企業に適用されたことはなく、アメリカの敵対国である中国のHuaweiやロシアのカスペルスキーなど海外企業に限られていました。

Anthropicは、アメリカ人の大規模監視や完全自律型兵器の開発を目的としたAIの利用を禁じていて、そのようなリスクを冒しかねない利用はできないと主張しています。

一方で国防総省側にも言い分があり、Anthropicに意見を伝えるたびに社内稟議(りんぎ)が発生したこと、緊急時の例外使用についていちいちAnthropicに許可を求めるよう設計されていたこと、国防総省は国民の大規模監視など望んでいないのにまるで望んでいるかのような発表をされたことなどが、国防総省の反感を買ったと伝えられています。

国防総省がサプライチェーンリスクに指定したAnthropicにGoogle・Amazon・Microsoftが防衛関連以外で協力表明、一方「なぜ指定したのか」について国防総省のAI担当者が語る – GIGAZINE


ともあれ、Anthropicへの懲罰的措置については裁判所から待ったがかけられることとなりました。Anthropicはサプライチェーンリスクに指定されたことを受けて国防総省を提訴しており、その訴えを審議するために仮差止命令が下された形です。

命令を下したカリフォルニア州連邦判事のリタ・リン氏は、「現行法には、政府に異議を唱えただけでアメリカ企業を潜在的な敵対者や破壊者と見なす考えを支持するものは存在しません。政府はAnthropicが破壊工作員になる可能性があると推測する正当な根拠を一切示しておらず、サプライチェーンリスクに指定したのはおそらく恣意的かつ気まぐれです」と指摘しました。

また公聴会において、リン判事は政府側の弁護士に対して「単に契約を切るだけでも良かったのに、なぜサプライチェーンリスク指定を行ったのか、その根拠は何なのか」とも質問しました。


Anthropicは「迅速に対応してくださった裁判所に感謝するとともに、Anthropicが本案で勝訴する可能性が高いとの見解に同意していただけたことをうれしく思います。本件はAnthropic、顧客、パートナーを守るために必要でしたが、私たちの焦点は引き続き政府と建設的に協力し、すべてのアメリカ人が安全で信頼できるAIの恩恵を受けられるようにすることにあります」と声明を発表しました。

Anthropicと決裂した国防総省は代わりにOpenAIと契約を結んでいますが、この点が大衆からよく思われず、OpenAIに対するキャンセル運動が勃発しました。ただ、OpenAIにはAnthropicと国防総省間の緊張を緩和する目的もあったと伝えられており、サム・アルトマンCEOが社内向けに「サプライチェーンリスク指定からの離脱手段をAnthropicに提供できると考えています。自分の見解では長年OpenAIを破壊しようとしてきた競合を救うためにこれほど努力しているのは奇妙です。状況は複雑ですが、体裁ではなく原則に基づいて行動することを約束します」と述べたとも報じられています。

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