1,000億ドル(約15兆円)超の資産をもつイーロン・マスクは2月2日(米国時間)、自身のロケット・衛星企業であるスペースXが、同じくマスク所有のAIスタートアップxAIを買収することを発表した。マスクはブログ投稿で、AIに対する世界的な電力需要は「地上の解決策」ではもはや賄うことができず、シリコンバレーは近い将来、AI開発を支えるためにデータセンターを宇宙に建設する必要に迫られることから、この買収は合理的なものだと説明している。
「長期的に見ると、宇宙でのAI開発こそ、規模を拡大できる唯一の方法であることは明らかです」とマスクは書いている。「したがって論理的な解決策は、膨大な電力と空間を備えた場所に、こうした資源集約型の取り組みを移すことです。“宇宙”が“スペース(空間)”と呼ばれるのには理由があります」
『Bloomberg』の報道によると、マスク率いる最大級の非上場企業2社を統合するこの取引により、統合後の企業評価額は1兆2,500億ドル(約194兆円)となり、世界で最も価値の高い非上場企業となる。
xAIの買収が発表される前、スペースXは2026年内の株式公開に向けた準備を進めていた。同社は引き続き新規株式公開を目指す計画だと『Bloomberg』は伝えている。
『The New York Times』によると、スペースXは12月、社内関係者のもつ株式を買い取る取引を従業員に通知した。この取引により、同社の企業評価額は8,000億ドル(約124兆円)に達するとされている。先月には、xAIが投資家から200億ドル(約3兆円)を調達したと発表し、同社の評価額はおよそ2,300億ドル(約35兆円)となった。
マスク帝国
マスクが、自身の巨大な事業帝国の一部を統合したのは、今回が初めてではない。マスクの所有する企業にはxAIやスペースXのほか、ブレインコンピューターインターフェイス(BCI)企業のニューラリンク、トンネル輸送企業のThe Boring Companyなどがあり、その多くは上場していない。
昨年、xAIは、マスクのソーシャルメディア・プラットフォームであるXを買収し、統合後の評価額は1,100億ドル(約17.2兆円)を超えた。これ以降、xAIの中核製品であるGrokが、このプラットフォームに深く組み込まれるようになった。GrokはXのさまざまな機能で目立つかたちで使われており、同アプリのコンテンツ推薦アルゴリズムはxAIの技術によって動いていると、マスクは語っている。
10年前、マスクは電気自動車(EV)メーカーであるテスラの株式を使い、再生可能エネルギー企業のSolarCityを買収した。SolarCityは当時、マスクのいとこであるリンドン・ライブが経営していた。
今回のxAI買収は、マスクが自らの広範な企業ネットワークを使って、しばしば壮大と評される構想の実現を推し進められることを示している。マスクはブログ投稿で、スペースXはまず地球上のAI開発を支えるため、人工衛星の打ち上げに注力すると説明した。さらに、将来的には、マスクが構想する宇宙空間に設置されたデータセンターが、火星のようなほかの惑星の文明を支える可能性もあるとしている。
「これは単に次の章ではなく、スペースXとxAIの使命における“次の一冊”に踏み出すことを意味します。規模を拡大し、宇宙を理解する“知覚する太陽”を生み出し、意識の光を星々へと広げていくための次なる段階です」と、マスクはブログ投稿に綴っている。
(Originally published on wired.com, translated by Nozomi Okuma, edited by Mamiko nakano)
