連載:Copilot for Microsoft 365で変わる仕事術

0

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

Microsoft 365 Copilotがさらに大きな変化を見せています。2026年3月9日(日本時間10日)に発表された大規模アップデート「Microsoft 365 Copilot Wave 3」では、日本語生成能力の高さで注目されるアンソロピックのClaudeが日常のチャットで使えるようになり、ExcelやWordの使い方も根本から変わります。また発表の中で最も注目を集めたのが「Copilot Cowork」です。“一緒に働く”新機能として、業務の進め方そのものを自律的にこなしてくれるようになります。そこで今回、Microsoft 365を使うビジネスパーソンにとって見逃せない変化を、Wave 3の発表内容より紹介します。

執筆:内田洋行 太田 浩史

内田洋行 太田 浩史

1983年生まれ、秋田県出身。2010年に自社のMicrosoft 365(当時BPOS)導入を担当したことをきっかけに、多くの企業に対してMicrosoft 365導入や活用の支援をはじめる。Microsoft 365に関わるIT技術者として、社内の導入や活用の担当者として、そしてひとりのユーザーとして、さまざまな立場の経験から得られた等身大のナレッジを、各種イベントでの登壇、ブログ、ソーシャルメディア、その他IT系メディアサイトなどを通じて発信している。

photo

Claudeの追加などWave 3で発表された内容について詳しく解説します

Copilotに「Claude」追加で何が変わる?
 今回新たに発表されたWave 3で注目したいポイントは、Microsoft 365 CopilotがOpenAIだけではなくアンソロピックのAIモデルとの連携をさらに強化し、AIモデルを使いわけながらユーザーの業務を支援する仕組みへと進化しつつある点です。

 これまでもMicrosoft 365 Copilotでは、アンソロピックのAIモデルを利用できる場面がありましたが、それはかなり限られたものでした。2025年9月の最初の統合発表時点では、リサーチツールエージェントで利用できる程度にとどまっており、Copilotの特徴の1つであるエンタープライズデータ保護にも対応していませんでした。

 しかし、2025年末から年明けにかけてパートナーシップが正式に発表され、エンタープライズデータ保護の仕組みの下で利用できるようになりました。これにより、ExcelなどのCopilotエージェントモード機能にもアンソロピックのAIモデルが広く展開されはじめるなど、連携が強化される兆しが見えていました。

画像

【画像付き記事全文はこちら】2026年の初めごろから、リサーチツールでアンソロピックのClaudeモデルを利用できるようになっている

(画像:筆者提供)

 今回発表されたWave 3では、日々利用するCopilotチャットでも新たにClaudeを選べるようになります。執筆時点では、利用にはFrontierプログラムへの参加が条件となっていますが、今後はすべてのユーザーが利用できるように展開が進むはずです。

画像

CopilotチャットでもアンソロピックのClaudeモデルを利用できるようになっている

(画像:筆者提供)

 Claudeのモデルファミリーには、複雑な多段階推論や長文コンテキスト処理を得意とするOpusと、速度・品質・コスト効率のバランスを重視したSonnetがあります。Copilotチャットで利用できるSonnetは、メール作成・文書ドラフト・翻訳・会議の要約といった「毎日こなす仕事」に強みを持っており、日常的なCopilotチャットとの親和性が高いと言えます。

 個人的に注目しているのが、Claudeの日本語生成能力の高さです。文章の自然さや論理構成の整合性、ビジネス敬語のニュアンスといった面で高く評価されており、用途や好みに応じてAIモデルを柔軟に使い分けられる環境がようやく整ってきたという印象です。

Word・Excel・PowerPointも激変
 WordやExcel、PowerPointにおけるエージェントモード機能の位置づけも、Wave 3で大きく変わりました。

 これまではアプリ内でCopilotを呼び出した際にユーザーがエージェントモードを別途選択する必要がありましたが、Wave 3ではCopilotの標準的な動作として統合されます。ユーザーがアプリ内でCopilotチャットを開くと、切り替える必要がなくそのまますぐにエージェントモードを利用できます。

 エージェントモードはExcelとWordではすでに一般提供が始まっており、今後はPowerPointに加えてOutlookまでと、これから順次展開される予定です。さらにExcelのエージェントモードでは、アンソロピックの最新AIモデルであるClaude Opus 4.6も選択可能になっている点にも注目です。

画像

Excel内で利用できるCopilotのエージェントモードでは、高性能な最新のClaude Opus 4.6に対応している

(画像:筆者提供)

大注目「Copilot Cowork」の凄さ
 Wave 3の中で最も大きな話題になっているのが「Copilot Cowork」の発表です。アンソロピックのClaude Coworkの技術をMicrosoft 365に統合したもので、従来の「プロンプトに答えるCopilot」とは本質的に異なります。

 ユーザーがやりたいことを自然言語で伝えると、Copilotがそれを構造化された計画に変換し、タスクを自律的に実行します。数分から数時間かかる複雑な業務をバックグラウンドで進め、重要な判断ポイントではユーザーに確認を求めながら作業を進めてくれます。

画像

Coworkでは特定のファイル作成などの作業を助けるだけではなく、業務の状況を理解しながら進め方を計画し、作業を自律的に行ってくれる

(画像:筆者提供)

 ここで重要な役割を担うのが「Work IQ」という仕組みです。これは、メール・Teams会議・チャット・ファイルといった日常業務のデータをAIが利用できる知識として構造化し、AIが業務の文脈を深く理解できるようにするMicrosoft 365 Copilotの基盤です。

 他のAIが「一般的な質問には答えられるが、社内の事情は知らない」という課題を抱えがちなのに対して、Work IQはCopilotが「あなたの組織の中でどう仕事が動いているか」を理解するための仕組みと言えます。これにより「来週の顧客会議を準備して」というざっくりした依頼に対しても、過去のメールや関連ファイル、チームの状況を踏まえた形で計画を立て、実行できるようになるわけです。

 興味深いのが、Copilot Coworkの元となったアンソロピックの「Claude Cowork」との違いです。Claude CoworkはユーザーのPC上のローカルファイルに直接アクセスするデスクトップ型のAIエージェントで、ファイルシステムを自律的に操作できる柔軟さが強みですが、操作の範囲は基本的にそのPC上に限られます。

 一方、Copilot CoworkはクラウドベースのMicrosoft 365上で動作します。そのため「誰が何の操作をいつ行ったか」という履歴が自動的に記録され、既存のアクセス権限や機密ラベルがそのまま適用され、監査ログの対象にもなります。ローカルで動くAIエージェントは強力ですが、組織として把握・管理することが難しくなります。コンプライアンスや情報セキュリティの要件が厳しい企業環境では、クラウド基盤であることが制約ではなく、安心して導入できる材料になるのではないかと感じています。

画像

Coworkによって実行されるタスクは、すべてクラウド上で実行されることが特徴。そのため複数のタスクを並行して進めてもらうこともできる

(画像:筆者提供)

 なお、Copilot Coworkは早期プログラムのFrontierを通じて3月30日(現地時間)に展開が開始されました。

【次ページ】OpenAIの新モデル「GPT-5.3」「GPT-5.4」も相次いで実装

AI・生成AIのおすすめコンテンツ

関連タグ