これまでニュートンはニュースの分析に力を入れてきた。しかし、AIの進化に伴い、いまはその方針を見直そうとしていると語る。「バランスを変えていく必要があります」とニュートンは話す。「ニュース分析の割合を下げて、独自の取材を増やしていく必要があると考えています」
ニュートンは現在、「Platformer」の執筆にAIは使っていないが、編集者としてAIを使うサンの手法に触発され、自分の記事をもとにClaudeのエージェントでそれを再現したと話す。「確かな手応えを感じています。うまく機能するときは、人間の編集者から受けるのと同程度の水準のフィードバックが得られることもあるのです」と語る。
Substackでニュースレター「User Mag」を運営するテイラー・ローレンツは、メディア運営の一部にAIを活用している。SEOに適したYouTube動画の説明文を作成するのにGeminiを、情報の精査にはClaudeを使用しているのだ。
ただしローレンツは現在、記事の執筆や編集にAIを使っていない。機密性の高い取材内容をAIに任せることには不安があり、執筆や編集の面でも十分な有用性を感じていないからだ。書くこと自体が好きという理由もあるという。
「わたしは、人々が世界で起きていることを理解できるよう助け、さまざまな問題に光を当てたいと思い、ジャーナリストになりました」とローレンツは語る。「そこをAIに任せたいとは思いません」
『The New York Times』のテクノロジーコラムニストであるケビン・ルースは、AI開発競争をテーマにした書籍の執筆にAIを活用している。AIツールの活用により、制作にかかる期間を2〜3年短縮できたとルースは話す。
最近では、「マスターエディター」と呼ぶエージェントを中心に、複数のClaudeエージェントからなる編集チームを構築したと語る。ほかのエージェントは、ファクトチェックや文体がルースのものと一致しているかの確認、肯定的あるいは否定的なフィードバックの提示などを担っている。なお、人間の編集者とも引き続き協業している。
ただし、現時点では書籍の執筆そのものをAIに任せてはいない。サンやニュートン、ローレンツと同様に、自分のほうがまだAIよりもよい文章を書けると考えているのが理由だ。「AIの文章はどうしても無難で、書き手の個性を感じられないことが多いと思います。それに、自分で書くことが好きなのです」と、ルースは語る。
とはいえ、ルースはAIに対して否定的なわけではないと強調する。いずれAIモデルはあらゆる面で自分の能力を上回るようになるというのがルースの考えだ。ただし現時点では、人間であることが優位性になるとルースは語る。「特別で、代えの効かない物事の見方が自分にできるとは思っていません。ただ、わたしは人間であり、いまのところ、少なくとも一部の人はまだ、人が書いたものを読みたいと思っていると考えています」と語る。
(Originally published on wired.com, translated by Nozomi Okuma, edited by Mamiko Nakano)
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