秘書課職員に撮らせた写真649枚のうち271枚は自身のXとインスタに借用、動画撮影に夢中で公務に遅刻も
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松本 創
ノンフィクションライター
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2026.4.5(日)
秘書課職員が撮っていた斎藤知事の「遠足」写真の数々。知事のSNSに掲載されたが、左下の七夕の写真は未公開
前回記事で、兵庫県の斎藤元彦知事がテンプレ回答を連発し、質疑が成立しない定例会見の現状を書いた。その一方で斎藤がXやインスタグラム、YouTubeの個人アカウントでの発信に力を入れていることは、よく知られる。マスメディアというフィルターを通さず、自分の「伝えたいメッセージ」だけを一方的に発信し、自身の「見られたいイメージ」を作るセルフブランディングである。
<前回から読む>
【問題発覚から2年】記者を挑発する斎藤元彦知事が「立花」という名前を絶対に口にしない理由
なぜか遠い目をしながらコーヒーを飲む場面が頻出
SNSでは公務の行事や視察、議会報告といった県政情報のほか、公務外で訪れた県内市町の風景、県産品を使った自作料理など親しみやすさを演出する投稿が多く、自撮りか同行者の撮影らしい写真がほぼ毎回付いている。
動画はさらにプライベート寄りで、商店街や観光地での「ぶらり」と称する買い物や食レポ——といっても、特にコメントや有用な情報はなく、ひたすら飲み食いする顔のアップが映るだけだが——それに海辺で独り語りをするパターンが多い。なぜかコーヒーを飲んで遠い目をする場面が頻出するのは、それが「見られたい」姿なのかもしれない。
県政の取り組みを自己アピールに利用し、県産品や街のPRより斎藤個人が前面に出すぎる内容に「公私混同」批判は根強い。私も会見で質したことがあるが、知事の情報発信それ自体が悪いわけではない。斎藤がYouTube動画を配信したある商店街で話を聞くと、どの店でも斎藤の支持者らしい来店者が一時は目に見えて増えたという。店主の一人はこう語っていた。
「斎藤さんの動画を見て来ました、斎藤さんが買ったのはどれですかって声をかけられる。40~50代ぐらいの女性が多いかな。テレビやそこらのインフルエンサーより宣伝効果あるわ」
こうした「推し活」ファンが2024年兵庫県知事選で出現し、日を追って増えていくのを私は目の当たりにしていたので驚きはない。マスメディアよりもSNSやネット動画の方が動員力を持つようになった新しいメディア政治の一端なのだろう。
ただし、この「個人の情報発信」が公正に行われているか、公務に支障を来たしたり、職員に過度な負担をかけたりしていないかは厳しく問われる。
