8位に終わった第3戦日本GPを経て、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、現在のF1を「楽しめていない」と明かし、2026年シーズン限りでF1を去る可能性を認めた。レッドブルとの現行契約を2年残したまま、今季末でF1から退くことを真剣に検討しているという。
フェルスタッペンは以前から自身の将来に含みを持たせてきた。だが今回は、より直接的に踏み込んだ発言を口にした。イギリスの公共放送『BBC』に対し、2026年末でF1を去る可能性があるのかと問われ、「だから、そう言っているんだ」と答えた。
走る歓びなき「アンチ・レーシング」への失望
フェルスタッペンの不満の根源は、レッドブルの競争力不足にあるのではない。本人は、7位や8位という結果自体は容易に受け入れられると明言する。
フェルスタッペンが耐え難いと感じているのは、物議を醸している現行規則が、ドライバーからドライビングの歓びを奪っていると考えているためだ。かつて今季の新世代マシンを「マリオカート」や「アンチ・レーシング(レースに反するもの)」と酷評した姿勢は、今も変わっていない。
フェルスタッペンは「7位や8位という順位自体は、容易に受け入れられる。毎戦トップで争えるわけではないことは、僕も現実的に理解しているし、これまでだって、常に勝ってきたわけじゃないからね」と語る。
だが同時に、「7位や8位に甘んじている時、その背後にあるレース全体を楽しめていないと、レーシングドライバーとして自然な気分にはなれないんだ」とも語った。
さらに「もちろん適応しようとはしている。でもこういうレースの仕方は楽しくない。本当にアンチ・ドライビングだ。そうなると、ある時点で、これは僕がやりたいことではなくなってしまう」と述べ、現行規則を批判した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
コーナーで並走しながらポジションを争うレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャー、2026年3月29日(日) F1日本GP決勝(鈴鹿サーキット)
金よりも情熱。29歳で迎えるキャリアの岐路
今年9月に29歳を迎えるフェルスタッペンは、すでに通算71勝を挙げ、ルイス・ハミルトンとミハエル・シューマッハに次ぐ史上3位の記録を保持している。名声も、そして巨額の富も手にした彼にとって、F1に留まる動機は金銭ではない。
「子どもの頃、僕はこれがやりたかったんだ。そしてその頃は、自分が何を成し遂げるのかとか、どれだけお金を稼ぐのかなんてまったく考えていなかった。それに、それ(お金)が目的でもない」とフェルスタッペンは語る。
「僕は楽しむためにここにいたいし、ここで素晴らしい時間を過ごしたいと思ってる。でも今のところ、そうなっていない」
フェルスタッペンは今、F1を続ける意味そのものを問い直している。
「プライベートではとても幸せだ。でも24戦、今年は年間22戦だけど、通常は24戦だ。そうすると、それに価値はあるのか、家で家族と過ごしたり、友人にもっと会ったりする方がいいのか自問するんだ。スポーツを楽しめていない時は特にね」
「もちろん、大金を稼げる、と見ることはできる。でも結局のところ、お金の問題じゃないんだ。だってF1は、ずっと僕の情熱だったんだから」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
グリッドキッズとタッチを交わしながら歩くマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年3月29日(日) F1日本GP決勝前ドライバーズパレード(鈴鹿サーキット)
F1の外に向く「情熱」。GT3やル・マンへの渇望
たとえF1を去ったとしても、レースに対するフェルスタッペンの情熱が消えるわけではない。4度のF1王者はすでにGT3カテゴリーへの参戦や、自身のレーシングチームの構築、そしてシムレースなど、F1以外のプロジェクトに多大なエネルギーを注いでいる。
「ここで僕がやめたとしても、何もしなくなるわけじゃない。僕はいつだって楽しむ。それに人生には、ほかにも楽しめることがたくさんある」とフェルスタッペンは語る。
「こんな話をすること自体、少し悲しい。でもどうしようもないし、僕に同情する必要はないよ。大丈夫だから」
「GT3でレースをすることや、自分のチームを作ることは本当に楽しいし、これからの数年でもっと発展させていきたいと本気で思ってるんだ」
今年5月には、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を控えており、将来的にル・マン24時間レースに挑戦したいという意向も公言している。
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エミール・フレイ・レーシングの31号車フェラーリ296 GT3を駆り、デビュー戦勝利を飾ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とクリス・ルルハム、2025年9月27日ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)第9戦(ノルトシュライフェ)
一方でフェルスタッペンは、規則変更によってF1がかつての姿に近づき、再び自身が理想するレーススタイルで世界の頂点を競い合えるようになることへの思いも持っている。
フェルスタッペンはF1首脳陣に言及し、「彼らは何をすべきか分かっている」と述べ、2027年シーズンに向けて国際自動車連盟(FIA)やフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が規則をどう調整するかが自身の決断を左右すると示唆した。
フェルスタッペン関連の情報に詳しいオランダの日刊紙『De Telegraaf』は、中東でのレース中止に伴う今後1か月の空白期間が、フェルスタッペンの将来をめぐって「決定的な数週間」になると報じている。
