筆者は長年にわたり、数え切れないほどの「Linux」ディストリビューションをレビューしてきた。その中には、洗練されたデスクトップ環境を備えた驚くようなものから、学習初期を思い起こさせる古き良きスタイルのものまで、あらゆるバリエーションが存在する。

 最近、筆者は「Peropesis」という非常に興味深いディストリビューションに出会った。その名称は「Personal Operating System」に由来し、従来のディストリビューションとは一線を画す独自のアプローチを採用している。

 Peropesisはコマンドライン専用のOSであり、ライブインスタンスのみで実行可能だ。起動後にrootユーザーでログインするが、パスワードは設定されていない。そのため、ログイン直後にまず行うべき作業はパスワードの変更である。グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)は存在しないため、パスワードの変更には「passwd」コマンドを使用する。

 筆者は実際にPeropesisの「ISO」イメージをダウンロードし、仮想マシン(VM)として起動してみた。ログイン画面でrootと入力すると、即座にアクセスが許可され、コマンドラインからあらゆる操作が可能な状態となった。

 このOSにどのような利点があるのだろうか。結論から言えば、それはLinuxの学習に尽きる。Peropesisはユーザーを過度に支援することなく、アプリケーションのインストールさえ許可しない。つまり、あるがままの姿を提供しており、それ以上を装うこともない。しかし、それはLinuxのコマンドラインインターフェース(CLI)を学ぶための素晴らしいツールであることを意味している。

 具体的な学習方法を考えてみよう。まずPeropesisの仮想インスタンスを起動してログインし、すぐにスナップショットを作成する。これで、動作するOSの状態が保存される。そこからコマンドラインを操作し、その仕組みや可能なことを徹底的に学ぶ。もし操作を誤ってシステムを壊してしまっても、作成したスナップショットを呼び出せば、すぐに元の状態からやり直すことができる。

 あるいは、単にVMをシャットダウンして再起動するだけでも、クリーンな状態に戻る。Peropesisにはデータの永続化機能が含まれていないため、変更内容は一切保存されないからだ。また「curl」や「git」コマンドを使用してアプリケーションのソースコードを取得し、コンパイルして実行することも可能である。ただし、GUIを持たないアプリに限られる。

 筆者の見解では、Peropesisの本質はLinuxを学ぶことにある。もちろん、持ち運び可能なコマンドライン専用OSとして、さまざまな用途に活用することもできる。例えば、コマンドラインベースのメールクライアント「S-nail」や、テキストベースのウェブブラウザー「Links」が含まれている。さらに「lighttpd」ウェブサーバーも搭載されているため、ローカルエリアネットワーク(LAN)内で利用可能なポータブルなウェブサイトを構築することも可能だ。

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