2025年にBCスプリントを制したベントルナート。(Photo by Shuhei Okada)
BCスプリントの覇者ベントルナートが中心、激流必至で思わぬ波乱も
歴史的にアメリカ勢と地元勢が強いドバイゴールデンシャヒーンだが、その中でも前年のBCスプリント優勝馬は別格の存在感を放ってきた。今年は2024年に2着、2025年に優勝の王者ベントルナートが参戦し、中心にどっしりと腰を下ろしている。
今年のゴールデンシャヒーンはひとまずベントルナートをめぐる争いと見て間違いない。昨年こそBCスプリントでベントルナートを下していたストレートノーチェイサーが8着に沈む波乱となったものの、ドバイWCのフォーエバーヤングを含めてサウジからの転戦組が軒並みパフォーマンスを落としたことも関係がありそう。それに対してベントルナートはBCスプリント以来の今季初戦で、昨年はBC前に10カ月の休養明けで勝つなど2戦しかしていない。ここは計画通りの遠征で疲労と無縁の状態なら、過去の王者たちのように信頼性は高そうだ。
2年連続の挑戦となるアメリカンステージにとってベントルナートは大きな壁。BCスプリントでは逃げるベントルナートの背後につき、直線半ばまで食らいついたものの最後は4馬身余り離されて地力の差を見せつけられた。昨年のゴールデンシャヒーンでも見せ場を作ってスピードが世界の一流に通用することは証明できており、あとは地力や格といった見えない部分を埋められるか。勝ち負けに加わるには、もう少し脚を溜めるなど柔軟性が欲しい。
アメリカンステージにとっては前走のリヤドダートスプリントで先着されたムクタヘムも手強い相手。当時は外を並走したムクタヘムに直線半ばから突き放され、2馬身3/4差を開かれる完敗だった。メイダンのダートが未経験のムクタヘムに対して逆転の余地はあるが、前走以上に先行激化が予想される今回は、ベントルナートを含めて総崩れに陥るリスクもある。
2年連続で参戦するアメリカンステージ。(Photo by Shuhei Okada)
先行勢が苦しくなる展開なら、アメリカ勢ではナカトミやラブシックブルースが台頭するケースもあり得る。ナカトミはゴールデンシャヒーンで一昨年に3着、昨年は2着と相性が良く、昨年は伏兵が逃げ切る展開の中を差し込んだ。昨秋のBCスプリントでは9着も、最終コーナーで内からぶつけられて外へ弾かれる不利があった。また、ラブシックブルースはBCスプリント、リヤドDSともアメリカンステージの後塵を拝したが、直線の長いリヤドDSでは遥か後方から1馬身差の5着まで追い上げている。メイダン競馬場も比較的直線が長く、短いデルマー競馬場(BCスプリント)での結果は度外視できる部分も。
地元前哨戦(マハブアルシマール)の上位馬は紙一重で甲乙つけがたく、5着馬あたりまで優勝候補になりそう。出遅れを克服して鮮やかに差し切ったエルナシーブは5歳馬で、1月のドバウィSでの初制覇を含めて重賞2勝(2着1回)と勢いがある。また、2着のダークサフロンは昨年のゴールデンシャヒーンを逃げ切り、3歳馬として初制覇した素質馬。その後に溜め逃げの形を続けて結果が伴わなかったものの、前々走で芝のレースに使ったことが刺激になったのか、マハブアルシマールでは2番手から早めに抜け出す形で復活の狼煙を上げた。
3着のムファサは後方でエルナシーブと並走の形から直線に入るも、進路を失い鞍上が手綱を引く不利。スムーズなら3着以上も狙えた内容で、巻き返しがあって不思議はない。また、4着のカラーアップは直線半ばでエルナシーブに絞められて前の馬に詰まり、追いづらくなる場面があった。5着のタズは一昨年のゴールデンシャヒーンを6馬身半差で圧勝し、昨年も1馬身少々の3着と実績十分。今季で9歳の高齢だが、マハブアルシマールは昨年のゴールデンシャヒーンから約11カ月ぶりの休み明けで、本番に向けて変わり身の余地も小さくはないだろう。
地元勢の中でもドリューズゴールドはマハブアルシマールに参加していないが、1月のアルシンダガスプリントではエルナシーブ(2着)、カラーアップ(3着)、ムファサ(4着)、ダークサフロン(6着)を破っている。2024年を全休し、昨年のゴールデンシャヒーンでは最下位だったものの、アメリカから完全移籍した今季は2戦2勝と立ち直った感。3年前にはG1ウッディースティーブンスSでの2着もあり侮れない。
(渡部浩明)
※ムクタヘムとドリューズゴールドは出走を回避しました。
