[キーウ 25日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの和平実現後にロシアによる再侵攻を防ぐための「安全の保証」を巡り、米国が和平合意の条件として、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク州、ルハンスク州)全域をロシアに割譲することを求めていると述べた。
ゼレンスキー氏は首都キーウの大統領府でロイターのインタビューに応じ、米国は現在、イランに対する軍事作戦に注力しており、トランプ米大統領は2022年2月に始まったロシアによるウクライナ全面侵攻による戦争を早期に終結させるため、ウクライナに圧力をかけていると指摘。「中東情勢は間違いなくトランプ大統領に影響を及ぼしている。残念ながら、トランプ氏はウクライナに対する圧力を強める戦略を選んでいるように思える」と述べた。
ゼレンスキー氏はこれまでも、和平合意の成立後にロシアが再度ウクライナを侵攻しないようにするため、国際的パートナーの強力な「安全の保証」が必要になると繰り返し主張してきた。
同氏は安全の保証について、ウクライナの抑止力を維持するための兵器購入資金を誰が支援するのか、将来的にロシアが侵攻してきた場合に欧米が具体的にどのように対応するのか、という2つの主要な問題が未解決のままだと指摘した。
「米国には、ウクライナがドンバス地方から撤退する用意が整えば、高いレベルでこうした保証を最終的に決定する用意がある」とした上で、ドンバス地方をロシアに割譲すれば、この地域の強固な防衛線をロシアに明け渡すことになり、ウクライナだけでなく欧州全体の安全保障が損なわれると警告。「わが国東部が安全の保証の一部であることを米側には理解してほしい」と語った。

写真はウクライナのゼレンスキー大統領。キーウで25日撮影。REUTERS/Valentyn Ogirenko
この件について、米ホワイトハウスからコメントは得られていない。
ゼレンスキー氏は、和平交渉が行き詰まれば米国は関心を失い交渉から撤退するとロシアは期待しているとし、そうしたリスクが幾分あると認めた。
ただ、ロシアがまだ掌握していないドンバス地方を占領するために、さらに数十万人の兵士を犠牲にする用意があるのか疑問を呈し、領土や安全の保証を巡る問題を解決するには米ロ、ウクライナの3カ国首脳会談が唯一の方法だと改めて強調した。
ウクライナ当局者は当初、イラン情勢の影響で米国からのパトリオットミサイル供与が枯渇するとの懸念を示していたが、ゼレンスキー氏は「わが国への供与は停止されなかった」として米側に謝意を示した。同時に「供給量はわれわれが必要とする量には及ばない」とも述べた。
一方、ウクライナは独自の長距離ミサイルとドローンの生産を進めており、ロシア領内奥深くを攻撃することが可能になっていると語った。
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