アップルの最新製品発表イベントから2週間。新型「iPhone 17e」から同社史上最も低価格なノートPCまでが披露されたイベントの後、同社は“one more thing(最後にもうひとつ)”でわたしたちを驚かせた。3月16日のニュース投稿で、アップルは人気のヘッドフォン「AirPods Max」の待望の後継モデル「AirPods Max 2」をひっそりと発表した。見た目は従来モデルとほぼ変わらず、ノイズキャンセリングや音質、機能を強化した控えめな改良となっている。価格は従来と同じ549ドル(日本では89,800円)。予約は3月25日から始まり、4月に発売予定である。
控えめな改良
2020年の発売以降、USB-C充電ポートやロスレスオーディオ対応といったいくつかの改良を除けば、大きな変化がなかったアップルのフラッグシップヘッドフォンにようやく手が加えられたのは歓迎できる。アップルによると、AirPods Max 2にはAirPods Pro 2やAirPods Pro 3と同じH2チップが搭載され、ノイズキャンセリング性能は従来の「1.5倍」に向上したという。さらに、新しいアンプの採用により、よりクリアな音質と空間オーディオの強化も実現している。

Courtesy of Apple
H2チップにより、アップルの最新機能である「声を分離」や「ライブ翻訳」をはじめ、会話に応じて音を調整する「会話感知」や、周囲の環境に合わせて音を最適化する「適応型オーディオ」も利用できる。AirPods MaxのUSB-C対応モデルと同様に、有線接続では対応デバイスと組み合わせることで最大24ビット48kHzのロスレス音源を再生できる。
進化の物足りなさ
とはいえ、ハードウェア面で目立った改良がなかったなかで、いまになって高級ヘッドフォンを更新したことにはやや違和感がある。AirPods Maxの基本デザインは従来と変わらず扱いにくそうで、重いアルミニウム製の筐体もそのままだ。また、イヤーパッドを覆うだけで携帯時の保護がほとんど期待できないゴム製の「ケース」についても、改良には触れられていない。
これは、ボーズやソニーといった競合メーカーの動きとは対照的である。両社は過去6年間で、主力のノイズキャンセリングヘッドフォンの新モデルを複数回投入してきた。ノイズ低減性能の大幅な向上やハードウェアの進化を重ねた結果、最新の「Sony WH-1000XM6」や「Bose QuietComfort Ultra 2」は、市場でも有数の高性能で携帯性にも優れたワイヤレスヘッドフォンとなっている。Bowers & WilkinsやJBLなどほかの競合ブランドも同様に、この期間に毎年あるいは隔年でアップデートを重ね、最新技術を取り入れてきたのである。
こうした競争環境に加え、AirPods Max 2の最大の改良が4年前に登場したH2チップを軸としたものであることを踏まえると、今回のアップデートはやや中途半端な印象を受ける。アップルが今月初めに発表したより注目度の高い新製品の話題が落ち着くまで、今回の製品発表を控えていたのも、そのためかもしれない。
