イタリア・ローマ(CNN) イタリアとマルタの間の地中海でドローン攻撃を受けたとされるロシア船籍の燃料タンカーが、数日前から漂流を続けている。環境災害の懸念が強まる中、海運当局は同船に近寄らないよう呼びかけた。

上空から撮影された映像には、黒焦げになった船体が傾いた様子が映っている。左舷には大きな亀裂があり、周辺の海上に油膜のような物質が見える。

ロシア船籍のタンカー「アークティック・メタガズ」(全長277メートル)はディーゼル燃料約900トンと液化天然ガス約6万トンを積載している。イタリア当局によると、現時点で船体に損傷はない。

同船は、ロシアのいわゆる「影の船団」の一部だったとされる。老朽化したタンカーで構成される同船団は、ロシアが2022年にウクライナに全面侵攻したことを受けて欧米が科した制裁をかいくぐり、ロシアの石油を世界中に輸出している。

船舶追跡サイトの「ベッセルファインダー」によると、アークティック・メタガズはロシア北極圏のムルマンスク港を出航してエジプトへ向かっていた。

ロシア外務省は今月11日、同船がマルタから約168カイリ南東の地中海中部の公海上で、3日に「海上および空中ドローンによる攻撃を受けた」と発表していた。

「アークティック・メタガズ」は、制裁をかいくぐる「影の船団」の一部とみられている/Newsbook Malta/AFP/Getty
「アークティック・メタガズ」は、制裁をかいくぐる「影の船団」の一部とみられている/Newsbook Malta/AFP/Getty

乗員30人は、一部がやけどを負いながら、火災が発生した同船から救命ボートで脱出。リビア沿岸警備隊に救助されてベンガジに運ばれた。ロシア外務省報道官は、商船が攻撃された「テロ行為」と位置付けている。

ロイター通信によると、ロシア運輸省は同船がウクライナ海軍のドローンに攻撃されたと主張している。ウクライナはコメントしていない。

イタリア海運当局は、同船がイタリアの領海に接近する事態を懸念。「ガスが詰まった時限爆弾」と呼んで警戒を強めている。