©TOYOTA

2026年シーズンWRC第3戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)は、3月15日(日)に競技最終日の4SSを走行し、トヨタの勝田貴元がキャリア初の優勝を飾った。27.4秒差の総合2位にアドリアン・フルモー(ヒョンデ)、4分26秒1差の総合3位にサミ・パヤリ(トヨタ)が入った。

最終日のルートはナイバシャ湖南岸エリアの「Oserengoni(18.22km)」、「Hell’s Gate(10.48km)」を2度走行する4SS、57.40km。天候は晴れ、路面のグラベルには、多少の湿り気が残っている。前日を終えた段階で、首位の勝田貴元と総合2番手につけるフルモーとの差は1分25秒5となっているが、サファリにおいては気の抜けないタイム差といえそうだ。

勝田にはフルモーとの差を見ながらリスクを避けたドライビングが求められるが、エルフィン・エバンス(トヨタ)、セバスチャン・オジエ(トヨタ)、オリバー・ソルベルグ(トヨタ)、ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)らデイリタイアを喫したドライバーたちにとっては、多少のリスクを負ってでもスーパーサンデーとパワーステージでできる限りのポイントを稼いでおきたいところだ。

HYUNDAI

SS17、まずオープニングステージを獲ったのはオジエ。SS2番手タイムのソルベルグに3.8秒差をつけて順調なスタートを切った。9番手スタートの勝田は、トリッキーなコンディションのステージを堅実なドライビングでクリア。SS7番手タイムでまとめた。フルモーはSS3番手タイムでフィニッシュし、ふたりの合計タイム差は1分8秒8となった。勝田は「自分はクルージングに入っています。とにかく、1分のアドバンテージを使って、マシンを無事に持ち帰るだけ」と冷静なコメントを残した。

続くSS18は、エバンスがベストタイムをマーク。3.5秒差のSS2番手タイムにソルベルグが入り、3.7秒差のSS3番手タイムでオジエが続く。総合2番手のフルモーはステージ終盤に左後輪をパンクし、SS4番手タイムでフィニッシュ。勝田はクリーンな走りでこのステージをSS9番手タイムでまとめ、フルモーとの間に1分00秒3のギャップを残して、残り2本のステージを迎える。

SS19はSS17の再走SS。2回目はさらに深い轍が掘られ、かなりラフなコンディションとなった。序盤からスプリットでも好ペースを見せたソルベルグが、SS2番手タイムのオジエに4.4秒差をつけるベストタイムをマーク。この時点で、日曜日のみのタイムではソルベルグがオジエを0.8秒リードしてトップに浮上した。堅実な走りに徹する勝田は、ベストタイムのソルベルグから37.7秒遅れのSS8番手タイムでフィニッシュ。総合2番手のアドリアン・フルモーとの差を42.0秒として、いよいよ最終SSへと臨む。

パワーステージのSS20は、WRC2の上位陣からスタート。WRC2はシュコダ・ファビアRS・ラリー2のロベルト・ビルベスがキャリア2度目のWRC2優勝を飾った。続いて、ラリー1勢はMスポーツ・フォードのジョン・アームストロングからコースイン。アームストロングの5分44秒3というタイムが暫定ベストとなり、各車これをベンチマークにアタックしていく。続いて、スーパーサンデー3番手につけるエバンスがアームストロングのタイムを7.6秒上まわり、暫定ベストタイムを更新。続くヌービルはセカンドベスト、その後にコースインしたオジエが暫定タイムを更新、さらにソルベルグもオジエのタイムを上まわってみせた。目まぐるしく暫定ベストが切り替わる展開のなか、ヒョンデのエサペッカ・ラッピはSS5番手タイムでまとめ、4位以上を確定。エースのヌービルが苦しむなか、仕事をきっちりと果たしてみせた。

M-SPORT

そして走行は注目のトップ3へ。トヨタのサミ・パヤリは荒れたセクションではリスクを避けてペースをコントロールし、きっちりとヤリス・ラリー1をフィニッシュまで運ぶことに成功、3位表彰台以上のリザルトを決めた。続くフルモーも慎重なペースを保ってSS5番手タイムをマークし完走。2位表彰台以上を手中に収めた。

そして上位陣最終走者の勝田がコースイン。勝田はステディな走りに徹してSS9番手タイムをマークし、ついに悲願のWRC初勝利を手にした。フィニッシュのインタビューでは感極まり涙ながらの受け答えとなったが、チームや家族への感謝とともに、アドバイザーを務めるオィット・タナック、豊田章男会長へのコメントを残した。
「どうやって言葉にしたらいいのか分かりません。ここまで、本当に苦しい時期が何度もありました。アーロン(ジョンストン)は僕と一緒に一生懸命戦ってくれましたし、チームは僕が失敗した時も、いつも信じ続けてくれました。みんなに心から感謝しています。そして、オィット(タナック)さんにも感謝を伝えたいです。彼はどんな時も僕を気にかけて、メッセージを送り続けてくれました。章男さん、ついにやりました。ありがとうございます」

初日からインカムのトラブルや2度のダブルパンクに悩まされたうえ、チームメイトが次々と戦列を去る事態となり、その両肩にのし掛かっていたプレッシャーはいかばかりだっただろうか。それを見事にはねのけて、自身初勝利を飾ってみせた。トヨタにとってはこれでサファリラリー6連勝となる。

最終SS終了時点での暫定トップ4は、勝田、フルモー、パヤリ、ラッピという順位。スーパーサンデーはエバンスがトップ、勝田、ソルベルグ、パヤリ、フルモーが続いた。この結果、ドライバーズポイントは勝田が25点(25点+0点+0点)、2位のフルモーは19点(17点+1点+1点)、3位のパヤリは15点(15点+0点+0点)を獲得した。ドライバーズランキングはエバンスが66点でトップ、ソルベルグが58点で2番手、勝田が55点で3番手となっている。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが157点とし、ヒョンデが114点、TGR-WRT2が35点、Mスポーツが23点となっている。

なお日本人ドライバーのWRC優勝は1992年第12戦コートジボワールの篠塚建次郎/ジョン・メドウズ(三菱ギャランVR-4)以来となる。サファリラリーとしては、1995年の藤本吉郎/アーネ・ハーツ(トヨタ・セリカ・ターボ4WD)以来の優勝だ。

第5戦の舞台は、4月10日〜12日にかけて開催されるターマックラリーのクロアチア。WRCとして開催されるのは2024年以来となる。これまでは内陸部の首都ザグレブを拠点としてきたが、今大会はアドリア海に面した港湾都市リエカのグロブニクサーキットにサービスパークが設けられ、SS群も沿岸地域の山岳路など、これまでの農道コースとは趣を異にするステージが増えそうだ。2024年はオジエが勝利を飾っている。

WRCサファリ 暫定結果
1. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:16:05.6
2. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +27.4
3. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:26.1
4. E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1) +6:07.3
5. R.ビルブス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +11:38.7
6. G.グリーンスミス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +12:09.0
7. F.ザルディバール(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:20.0
8. A.ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:30.7
9. D.ドミンゲス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +13:28.4
10. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +16:44.5