中東と深く長い縁も、政治決戦前に「3高経済」の衝撃襲う

玉置 直司

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2026.3.14(土)

イランへの攻撃で韓国の株価は大幅な下落に見舞われた(3月9日、写真:ロイター/アフロ)

 韓国でもこの10日以上、米国とイスラエルによるイラン攻撃のニュースで持ち切りだ。

 ガソリン料金がすでに上昇するなど国民生活に影響が出ているほか、ブームが続いていた株価は主要国の中で最大の下げに見舞われている。

「この時期に中東地域に2万人も韓国人がいるという報道を見て驚いた。中東はいまも韓国人にとって特別な地域なのだと改めて感じた」(韓国の外交官OB)

2万人の韓国人が中東に

 韓国政府と与党・共に民主党は米国とイスラエルがイラン攻撃に乗り出した直後の2026年3月3日、共同で対策会議を開き、イランと周辺の中東13か国に合わせて2万1000人の韓国人が滞在していることを明らかにした。

 日本のメディアによると同じ時期にイランの周辺7か国に日本人は7700人ほどいたというが、韓国人の数は相当多かったことになる。

 韓国の大企業グループと中東は密接な関係にある。エネルギー関連の大型プラントや大型建設工事を数多く受注している。

 官民一体となって大型プロジェクトに積極的だ。李明博(イ・ミョンパク)大統領の時代に、UAE(アラブ首長国連邦)から初の原子力発電所の建設を受注した。

 2022年秋にはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が韓国を訪問し、尹錫悦(ユン・ソンリョル)大統領(当時)と会談したほか、サムスン、SK、現代自動車などの財閥トップを宿泊先のホテルに招いてサウジの大型開発プロジェクトなどについて話し合った。

 現在の李在明大統領も就任した2025年にUAEを訪問している。だから韓国企業の駐在員も少なくない。

イラン女子バレー監督、韓国女子プロゴルファーもドバイで合宿

 韓国メディアによると、2月末時点で韓国の92の企業グループが中東10か国に140社の現地法人を設立しているという。イランにも現代自動車、SKなどが現地法人を置いている。

 こうした企業の駐在員や出張者以外に、今回の事態で、数多くの韓国人が中東に滞在していたことが分かった。

 イランの女子バレーボールナショナルチームの監督は韓国人だった。韓国政府の手配でいち早く国外に退去した。

 韓国の女子プロゴルフ選手10人以上がドバイで冬季練習中だった。ドバイは冬でも温暖でプロの練習にも適したゴルフコースや夜間練習施設などもあるという。

 中東を観光中のツアー客も少なからずいたようだ。

 韓国政府は空路陸路を使って韓国人の退避を進めている。11日にはサウジアラビアから成田空港に到着した日本政府のチャーター機に11人の韓国人が搭乗していた。

 元外交官が「特別な地域」と言ったのは、かつて年間に10万~20万人もの韓国人が中東に滞在していたことを指している。

 韓国の大企業と中東との関係は半世紀にも及ぶ深い関係なのだ。