2026年3月10日7時0分







2月11日からの4日間、カタール競馬の祭典「HH・ジ・アミール・スウォード・フェスティバル」が開催された。今年はディープモンスター(牡8、池江)が日本馬では初めて、メインのアミールトロフィー(G2、芝2400メートル)を制覇。日本での馬券発売こそなかったが、これまで以上に日本でも注目された。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は現地に向かった東京・牛山基康記者が、舞台のアルライヤン競馬場の様子などをリポートする。

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祭典の名称のアミールとは指導者や司令官を意味するアラビア語で、カタールでは首長の称号とのこと。日本語なら「首長殿下の剣祭り」といったところか。カタール首長、タミーム・ビンハマド・アールサーニ殿下の後援で行われ、今回も最終日の表彰式には殿下が来場されていた。その警備が厳重。取材は2年ぶり2回目だが、前回に続いて今回も表彰式の撮影場所にたどり着けなかった。殿下の通路の周辺は通行が制限されてしまうのだ。殿下の姿を見たい地元のファンが子どもから大人までスマートフォンのカメラを構えて殺到。馬券発売のないカタールでも、これだけの人が集まるのかと驚く瞬間だ。そのため、混乱を招かないように誰であっても通さないのだろう。次のレースの鞍をスタンドの検量室まで取りに来た厩舎関係者ですら足止めされていた。

アミールトロフィー表彰式の撮影場所にたどり着けず隙間から撮影したディープモンスターの池江泰寿調教師(左)とカタール首長のタミーム殿下(右)アミールトロフィー表彰式の撮影場所にたどり着けず隙間から撮影したディープモンスターの池江泰寿調教師(左)とカタール首長のタミーム殿下(右)

この祭典のメインは2本立て。サラブレッドのアミールトロフィーと純血アラブのアミールスウォードだが、今年は地元馬の優勝もあり、場内が盛り上がっていたのは圧倒的にスウォード(剣)だった。そもそもカタールでは純血アラブが主力。レースの名称が祭典の名称になっていることからも、それが分かる。優勝馬の馬主に贈られるのは金の剣。剣はカタールでは伝統的に誇りや尊厳、名誉の象徴とのこと。国章にも剣が描かれている。

もちろん、サラブレッドにも注力している。日本馬の招待こそが、その表れだろう。G3に格付けされた一昨年から日本馬が参戦。レースレベルが上がり、今年はG2に格上げされた。その結果、今年は地元馬の出走がなく、遠征馬だけの7頭立てになってしまったが、世界の注目は集めた。2本立てのメインはどちらも1着賞金が142万5000ドル(約2億2100万円)。右回りの芝2400メートルという条件が合えば、かなり魅力的な金額だ。ほかにも国際招待競走が純血アラブを含めて4鞍。国を挙げてのスポーツイベントに成長させようとしている主催者のQREC(カタール競馬・馬術クラブ)の意気込みを感じる。

アミールTを制したディープモンスターとマーカンド騎手、迎えた天本助手を見つめるアルライヤン競馬場のファンアミールTを制したディープモンスターとマーカンド騎手、迎えた天本助手を見つめるアルライヤン競馬場のファン殿下から授与されたトロフィーを手にするディープモンスター陣営殿下から授与されたトロフィーを手にするディープモンスター陣営

中東情勢の悪化で中止となった2月28日だけでなく先週の開催日もすべて中止となったカタールの競馬。QRECの広報、パトリシア・ミュジアルさんによれば、レースは追って通知があるまで中止となるとのこと。現在はリモートワークで安全が確保されているそうだが、まずは関係者の無事を祈りながら、何の心配もなく開催される日が来ることを願っている。

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