
3月6日のトランプ大統領(写真:ブルームバーグ)
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2月28日、アメリカとイスラエルは、イランに対する大規模な軍事攻撃に踏み切った。最高指導者ハメネイ師を含む政権幹部が殺害されたイランは、湾岸諸国の米軍基地やアメリカ大使館を標的に報復攻撃を開始。空港や商業施設にも攻撃が及び、中東情勢は一気に緊張を増している。
ワシントンDCで取材を続けていると、イラン攻撃の数日前から、空気が微妙に変化しているのを感じた。論点は「攻撃するのか否か」ではなく、「いつ踏み切るのか」に移っていた。アメリカ政府高官や政府関係者の発言や動きは、攻撃ありきで進んでいるように見えた。そして、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まった。
「差し迫った脅威があった」と強調
攻撃開始直後、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、SNSに投稿した動画で、目的は「凶悪な集団であるイラン政権からの差し迫った脅威を取り除き、アメリカ国民を守ること」だと説明。具体的には、核兵器開発と長距離ミサイル開発の再開を「差し迫った脅威」と位置づけた。
そのうえで、イラン国民に対して、自由の時は目前だとし、「われわれの攻撃が終わったら政府を掌握するのだ」と蜂起を呼びかけ、体制転換を促した。
この発言を読み解くと、アメリカのイラン攻撃は「差し迫った脅威」が理由で、「体制転換」が目的のように思える。

アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のコリ・シャーキ上級研究員(写真:AEI)
では、この発言はどのように受け止められているのか。ワシントンDCの安全保障専門家は、政権の説明には明確な戦略が見えにくいと指摘する。
保守系大手シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)で上級研究員を務めるコリ・シャーキ氏は、筆者の取材に対し、「体制転換という大風呂敷を広げたが、それを実現させるための根拠や具体的な行動に欠けている」と述べた。
その後、トランプ政権の説明は日を追うごとに変化した。
