ここ数カ月、Metaは次世代のVRハードウェアや体験を開発するペースを緩めているように見える。一方、「TikTok」を提供する中国の字節跳動(バイトダンス)はその逆だ。同社はゲームの枠を超えた領域へと、事業を拡大することに注力しているようだ。

 今週バルセロナで開催中のMobile World Congress(MWC)で、バイトダンス傘下のPICOは次世代XRヘッドセットに向けたプロジェクト「Project Swan」を発表した。「年内」に発売予定としており、価格は決して安くはなさそうだ。搭載されるマイクロOLEDディスプレイは、1度あたりの画素密度(PPD)が40ピクセルで、Appleの「Vision Pro」やサムスンの「Galaxy XR」が提供する水準に匹敵する。パススルーカメラを使用して、現実の世界にグラフィックスを重ね合わせる複合現実(MR)機能も備えている。

 このヘッドセットは独自のデュアルチップ・カスタムプロセッサを搭載。バイトダンスは、これがMetaの「Quest 3」「Quest 3S」、サムスンのGalaxy XRの強化版に採用されているQualcommの「Snapdragon XR2 Gen 2」チップの2倍の性能を持つと主張している。Vision Proに搭載されたAppleの「M5」チップには及ばない可能性があるが、MRヘッドセットとしては非常に強力だ。

 PICOのプレビュー情報に表れているコンピューティング志向は、「ゲームを超えるもの」への野心を示唆している。Project Swanは、Vision ProやGalaxy XRと同様に、モニターの代替品として十分に機能する視覚的な性能を目指している。PICOの最新OSは、Metaの「Horizon OS」よりも「visionOS」や「Android XR」に近い見た目となっている。もっとも、Horizon OSもAppleやGoogleのものに似たデザインへとシフトしつつある。ゲームも依然としてこのヘッドセットの対象ではあるが、それを超える活用法が用意されているのは明らかだ。

 Project Swanの価格や、どのようなソフトウェアが動作するかについてはまだ不明だ。PICOのヘッドセットはAndroidアプリを実行でき、Windows PCとの接続も可能だが、VR/ARを取り巻く状況は急速に変化している。

 Appleやサムスンのヘッドセットは、未来のコンピュータに向けた試作機のようにも感じられるが、まだ独自のソフトウェアが十分に揃っていない。Metaがより小型のARスマートグラスに重点を置いていることは、Googleやサムスンが計画している動きと重なり、Appleもそれに続く可能性がある。

 一方、2026年内に登場するValveのゲーム特化型ヘッドセット「Steam Frame」は、この分野に新たな面白い変化をもたらしている。Valveはより小型のArmチップ上で「Steam」を動作させており、これは将来的に他のXRハードウェアでも「SteamOS」が動作する可能性を意味している。そもそもVRヘッドセットに最も求められているのは、小型のチップセットでより多くの種類のソフトウェアを動かすことだ。

 それでも、私はProject Swanに興味を持っている。少なくとも、現在Metaがペースを緩めているように見える中、他の企業がハイエンドなヘッドセットの開発を続けていることを示すものだからだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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