(CNN) 米国とイスラエルによるイランへの攻撃に先立ち、米政府は過去数十年で最大規模の軍隊と、最も強力な兵器の一部を中東に配備していた。
トランプ大統領は、米国の「準備は万全」だと事前に警告。2月28日の攻撃でイランの最高指導者が殺害されたことで、その軍隊は破壊的な目的を果たした。
米中央軍司令部(CENTCOM)は3月1日、イランとの戦争でこれまでに使用された米国の兵器のリストを発表した。
国防総省が「壮大な怒り」と呼ぶこの作戦で、これまでに使用された兵器は以下の通り。
B2ステルス爆撃機:コウモリを思わせる翼を持つこの爆撃機のコストは1機10億ドル(約1570億円)以上。四つのジェットエンジンを搭載し、通常兵器も核兵器も運搬可能。大陸間の移動や空中給油にも対応できる。
2人の乗員で操縦するB2爆撃機は通常、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地を拠点に飛行する。昨年も同基地から飛び立ち、往復34時間かけてイランの核施設攻撃を遂行した。
米軍のB2ステルス爆撃機。今回は2000ポンド爆弾を使用し、イランの弾道ミサイル施設を攻撃したという(US Central Command)
昨年6月のこの作戦では、全19機のB2のうち7機が実戦任務に投入され、残りはハワイへの陽動作戦に充てられた。7機は米軍が保有する最大級の通常爆弾である3万ポンド級巨大貫通爆弾(MOP)を用いて、イランの核施設3か所を攻撃した。
中央軍司令部の発表によれば、今回は2000ポンド爆弾を使用し、イランの弾道ミサイル施設を攻撃したという。
ルーカス・ワンウェー・ドローン:中央軍司令部によれば、「壮大な怒り」作戦は米国が戦闘で当該のドローン(無人機)を使用した初の事例となる。
中央軍司令部は声明で、ドローン部隊「タスクフォース・スコーピオン・ストライク(TFSS)」が昨年末に中東で活動を開始したと発表。部隊は低コストで効果的なドローン能力を戦闘要員に迅速に提供することを目的としているという。

滑走路に配置された低コスト無人戦闘攻撃システム(LUCAS)のドローン/U.S. Central Command via CNN Newsource
ルーカスと称する「低コスト無人戦闘攻撃システム(LUCAS)」は、本質的にイラン設計のシャヘド136ドローンの模倣品であり、ロシアがウクライナ戦争で大量に使用している。中央軍司令部がソーシャルメディアへの投稿で明らかにした。
米軍艦艇:中央軍司令部によれば、今回は米空母とミサイル駆逐艦が実戦投入されている。
イラン攻撃開始時、米空母「エイブラハム・リンカーン」と「ジェラルド・R・フォード」は中東に展開中だった。前者はアラビア海、後者は地中海のイスラエル沖に位置していた。

2月28日、米空母エイブラハム・リンカーンの飛行甲板に着艦するF/A18Eスーパーホーネット/U.S. Navy/Getty Images via CNN Newsource
中央軍司令部はF/A18戦闘機とF35戦闘機がエイブラハム・リンカーンから離着艦する映像を公開。ジェラルド・フォードにはF35は搭載されていない。
イランは弾道ミサイルでエイブラハム・リンカーンを攻撃したと主張しているが、中央軍司令部はソーシャルメディア投稿でこれを「嘘(うそ)」と断じた。
米軍の映像には、誘導ミサイル駆逐艦がトマホークミサイルを発射する様子も映っている。同地域に展開するアーレイ・バーク級駆逐艦は最大96発のトマホークを搭載可能だ。
イージス弾道ミサイル防衛システムを搭載した駆逐艦は、同行する空母や陸上施設を保護する目的でも使用可能だ。

1日の「壮大な怒り」作戦で米ミサイル駆逐艦トーマス・ハドナーから発射されるがトマホーク対地攻撃ミサイル/U.S. Navy/Getty Images via CNN Newsource
パトリオットとTHAADミサイル防衛システム:「パトリオット」ミサイルと高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」は、イランのドローンや弾道ミサイルを迎撃するために使用される。
これまでに発射されたパトリオットとTHAAD迎撃ミサイルの数は不明。
ただイランは中東各地の標的に数千機のドローンとミサイルを送り込んでおり、アナリストらは懸念を表明している。12日間に及んだ昨年のイスラエルとイランの戦争に加え、ロシアの攻撃からウクライナを守るために供給された部隊によっても迎撃ミサイルの在庫は消耗。イランが長期にわたって報復攻撃を継続すれば、これらの在庫は枯渇する可能性があるという。
戦闘機:中央軍司令部によると、今回の作戦には初日から様々な戦闘機が参加している。これには空軍が運用するF16戦闘機、海軍と海兵隊が運用するF/A18戦闘機が含まれる。
ステルス性能を持つ空軍のF22と海軍・海兵隊のF35も関与していると中央軍司令部は述べたが、具体的な任務内容は明らかにしていない。同司令部は、空母から運用される双発のF/A18と単発のF35の映像を公開した。
双発の空軍A10攻撃機も配備されていると、中央軍司令部は発表した。
EA18G電子攻撃機:F/A18戦闘機をベースとするEA18Gグロウラーは、妨害ポッド、通信妨害装置、レーダーを搭載し、敵の電子脅威を識別・抑制する。この双発ジェット機は、レーダーや通信センターなどの電子信号を追尾するミサイルも装備可能だ。

2月28日、米空母ジェラルド・R・フォードの飛行甲板で、海軍水兵がE2Dホークアイの離陸準備を行う/U.S. Navy/Getty Images via CNN Newsource
早期警戒管制機(AWACS):米国は空軍のE3セントリーと海軍のE2ホークアイの2種類のAWACSを運用している。
空軍のAWACSはボーイング707旅客機をベースにした4発機。機体上約3.3メートルの支柱に大型の円形回転レーダードームを搭載している。約400キロの探知範囲を持ち、敵航空機や艦船の識別・追跡、米軍の詳細な戦場情報の監視が可能だ。収集した情報は指揮センターや海上艦艇と共有される。
海軍のホークアイ(双発ターボプロップ機)は、米空母から運用される際に同様の情報を提供する。
空中通信中継機:中央軍司令部は詳細を明かさなかったが、空軍のEA11戦域空中通信端末(BACN)機が攻撃前の数週間、中東で確認されていた。
製造元のボンバルディア社によれば、双発ビジネスジェットを基にしたEA11は「空のWi-Fi」とも呼ばれ、「山岳地帯や険しい地形、距離といった障害を乗り越えつつ、航空部隊と地上部隊間の音声・戦術データを中継する」ために使用される。
P8A海上哨戒機:商用のボーイング737型機を基にした海軍の双発ジェット機「ポセイドン」は、対潜水艦戦に加え、情報収集・監視・偵察(ISR)任務に投入される。
RC135偵察機:電子戦要員、情報操作員、さらには飛行中整備士を含む30人以上の乗員を搭乗させるRC135は、ベトナム戦争以来、米軍の作戦行動において常に重要な役割を担ってきた。
米空軍の資料によると、ボーイング707型機の民間機体をベースにした4発ジェット機は、ほぼリアルタイムでの情報収集・分析を可能とする。
MQ9リーパー:空軍は、遠隔操縦の単発ターボプロップエンジン搭載の MQ9ドローンを、主に「価値が高くてつかみどころのない、時間的制約のある標的」を攻撃するための攻撃機と説明している。このドローンは、敵の装甲車両や人員に対して使用できるヘルファイアミサイルや誘導爆弾を搭載し、偵察や情報収集のために戦闘地域上空を飛行する。

2025年5月、ハワイで演習を行う高速機動砲ロケットシステムHIMARS/Christopher Lee/Bloomberg/Getty Images via CNN Newsource
M142HIMARS:陸軍の高速機動砲ロケットシステムHIMARS(ハイマース)は、3軸トラックに搭載されている。製造元のロッキード・マーティン社は、その能力を「撃って逃げる」と形容する。つまりロケット砲発射後、反撃を受ける前に素早く新たな位置へ移動することができる。
HIMARSは必要な任務に応じて、約480キロ以上の射程を持つロケットを運搬することが可能。中央軍司令部はイランとの戦争開始以来、HIMARSが単発のロケット弾を発射する映像を公開している。
給油アセット:これには空中給油機と海上補給船の両方が含まれる。
米空軍は2種類の給油機を運用している。ボーイング707型機を基にした4発のKC135と、ボーイング767型機を基にした双発のKC46だ。B2爆撃機が米国本土から中東への長距離飛行を行う場合、空中給油は極めて重要となる。しかし現地の航空機もまた、飛行中の給油によって戦域付近に長時間位置し続けることが可能になる。
米軍艦艇は主に民間乗組員が運用する補給艦から海上給油を受ける。給油は艦艇が航行中に実施され、補給艦から軍艦へホースが海面を横切って射出される。さながら海洋の真ん中に現れた移動式のガソリンスタンドといった様相を呈する。
輸送機:C17グローブマスター輸送機とC130ハーキュリーズ輸送機は、イラン攻撃に投入された兵士や兵器の大半を中東へ運んだ。
