【写真を見る】イランへの軍事攻撃の背景には「自らの政権を延命する意図も」激しく対立してきたイスラエルとイランの視点と思惑を元中東支局長が解説

■イスラエルにとって今回のイラン攻撃の意味は?

【秌場 元中東支局長】 
イスラエル政府、イスラエルのネタニヤフ首相にとってはイランは宿敵です。国連総会がある度に演説で、「イランが核を持ったら大変だ」ということを言い続けてきました。
それは一面、本当でもあります。実際にイランは「イスラエルという国はなくなるべきだ」というようなことをずっと言い続けてきた国家ではあります。
一面ではそうなんですけれども、もう一面ではやはり外に敵を作ることで、自分の政権の基盤強化とか、あるいはイスラエル政府がパレスチナの人たちに行っている行為から目を逸らさせる意図もあります。

現在行われている攻撃は、ある意味その延長線上にあるんですけれども、去年の「オペレーション・ミッドナイトハンマー」とトランプ大統領が誇らしげに言う、アメリカがバンカーバスターという貫通弾を使って地下深くにあるイランの核施設を叩いた作戦というのは、ネタニヤフ首相にとっては素晴らしい展開だったんです(イスラエルは常にアメリカを巻き込みたかった)。
けれども、実際それで本当にイランの核計画を根絶やしにできたかというと、それは分からなかった(というより、懐疑的な見方が支配的だった)。
また、弾道ミサイルですね。こちらも叩いておきたいという考えもずっとありました。(昨年6月の応酬で、イスラエルはイランの弾道ミサイルによる「飽和攻撃」で防空網が破られ、死傷者を出した)

ただ今回、レジームチェンジ、つまりイランの体制を転換するということが本当にできたら、ネタニヤフ首相にとっては非常に大きな成果にはなります。 

彼は、ガザのハマスによる2023年10月7日の攻撃を許してしまったことについて、国内から強い批判もあります。あれだけの犠牲者を出す攻撃をなぜ察知できなかったのか、なぜ防げなかったのかというのはずっと言われてきているんですけれども、首相側は、「ガザでの戦闘が続いている間はそれを言うのはナシでしょう」というスタンスをとってきました。