<為替> 円が対ドルで2週間ぶりの安値を付けた。日本政府が金融緩和に前向きとみられる2人の学識者を日銀審議委員に起用する人事を提示したことで売りが出た。
政府は日銀審議委員に浅田統一郎・中央大学名誉教授と佐藤綾野・青山学院大学法学部教授を起用する人事案を衆参両院に提示。高市早苗首相の意向が色濃く反映された人事案で、両氏とも金融緩和や財政拡大に前向きな「リフレ派」と受け止められている。
高市早苗首相が16日に日銀の植田和男総裁と官邸で会談した際に追加利上げに難色を示したという一部報道があったことも、引き続き円の重しになった。
エドワード・ジョーンズのグローバル上級ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「日本ではデフレからの構造的な脱却が進んでおり、日本の10年債利回りのほか、円相場に上昇圧力がかかり続けると予想される」と指摘。このため、円には上昇余地があるとの見方を示した。
終盤の取引で円は対ドルで0.36%安の156.44円。
主要通貨に対するドル指数は0.2%安の97.69。ユーロ/ドルは0.3%高の1.1806ドル。
市場では、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した広範な関税措置を違法とする判断を米連邦最高裁が下したことを受け、トランプ政権が発表した代替関税措置の影響を見極めようとする動きも続いている。
エドワード・ジョーンズのクルカファス氏は「20日の最高裁の判断以降、政策の不安定さが見られ、通商政策や政権の対応を巡る不確実性が高まっている」と指摘。同時に「米経済はなお底堅く、経済成長率は潜在成長率を上回るとみられるほか、生産性の向上や、企業収益の伸びが見込まれる」とし、「今年のドル相場はおおむね一定のレンジ内で推移する可能性が高い」との見方を示した。
こうした中、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ率が高止まりしていることを背景に、少なくとも6月までは政策金利を現行水準に据え置くとの見方が大勢になっている。
FRBの金融政策を巡っては、 セントルイス地区連銀のムサレム総裁が現在の政策金利は景気を巡るリスクに適切に対応した水準にあるとの認識を表明。カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は過度に高いインフレ率は依然としてFRBが対処すべき重要な問題との考えを示した。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが2日連続で上昇した。株式上昇に伴うリスク選好の高まりと、この日実施された5年債入札が軟調な結果に終わったことが背景にある。
債券投資家が株式市場の動向にも注目する中、人工知能(AI)関連銘柄に対する市場心理の改善を背景に、S&P総合500種(.SPX), opens new tabとナスダック総合(.IXIC), opens new tabは2週間ぶりの高値をつけた。
クレジットサイツの投資適格債・マクロ戦略責任者を務めるザカリー・グリフィス氏は「株式と債券の伝統的な関係が戻ってきたようだ」と指摘。S&P総合500種と10年債利回りの相関係数が0.72と、シリコンバレー銀行が破綻した2023年3月以来の高水準を付けたと述べた。
この日財務省が実施した700億ドルの5年債入札は需要が軟調。最高落札利回りは3.615%と、入札締め切り時点の水準をわずかに上回った。応札倍率は2.32倍で、過去6回の平均である2.36倍を下回った。
入札後、5年債利回りは2.3ベーシスポイント(bp)上昇し3.619%となった。前回1月の5年債入札以降、同利回りは約20bp低下している。
午後の取引で、10年債利回りは1.7bp上昇の4.05%。
30年債利回りは小幅上昇の4.696%。
2年債利回りは1.7bp上昇の3.471%となった。
2年債と10年債の利回り格差は57.5bpと、24日終盤の56.6bpから拡大した。
同利回り格差は前日まで10営業日連続で縮小し、15年11月以来最長となっていた。
トゥルーイスト・アドバイザリー・サービスのヒューイ氏は「1月の雇用統計発表以降、FRBの利下げ観測は若干後退しており、それが短期利回りの上昇圧力となりフラット化に多少寄与している」と述べた。
米金融・債券市場:
<株式> テクノロジー株主導で続伸し、2週間ぶりの高値を付けた。AIの破壊的影響やコストへの懸念が後退し、AIがもたらす潜在的な利益に対する楽観的な見方が再燃している。
主要株価3指数はいずれも上昇し、テクノロジー株が中心のナスダック総合(.IXIC), opens new tabが上げを主導した。
AI革命の最前線に立つ半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは、引け後に発表した第4・四半期決算で売上高が681億3000万ドルとアナリスト予想を上回った。同社株は時間外取引で約3%上昇した。
フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabはエヌビディアの決算発表を前に1.6%上昇した。
年初来23%下落していたS&Pソフトウエア・サービス指数(.SPLRCIS), opens new tabは2.9%高。
ホライゾン・インベストメンツのポートフォリオ管理責任者、ザック・ヒル氏は「市場の一部では、ネガティブなセンチメントと極端な値動きの間で綱引きの状態となっている」と指摘。
「現時点では投資収益への懸念よりも、(AIによる)破壊的変革への警戒感の方がより深刻な問題として浮上している。投資家は、事業の存続そのものを脅かしかねないリスクと向き合おうとしており、期待通りのリターンが得られないことよりも重大な問題だ」と語った。
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁もこの問題に言及し、AI導入で労働者が職を失うかどうかは明らかではないとし、この技術が労働者を支援し雇用市場の効率化に寄与する可能性があるという見解を示した。
S&P総合500種(.SPX), opens new tabの主要11セクターでは情報技術(.SPLRCT), opens new tabが上昇率トップとなった。一方、工業株(.SPLRCI), opens new tabが最も大きく下落した。
ホームセンター大手ロウズ(LOW.N), opens new tabは年間売上高見通しが予想を下回り、株価は5.6%下落した。
ロウズのさえない決算報告を受けて、住宅関連株(.HGX), opens new tabと住宅建設株(.SPCOMHOME), opens new tabもそれぞれ3%、3.7%下落した。
米国株式市場:
<金先物> 安全資産への需要から買われ、反発した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は、前 日比49.90ドル(0.96%)高の1オンス=5226.20ドル。これは1月下旬以来、約1カ月ぶりの高値水準。
トランプ米大統領は24日の一般教書演説で、関税政策を継続すると訴え、米史上最大規模の関税収入により景気を回復に導いたと強調した。米政権はこの日、連邦最高裁が無効とした相互関税を終了し、代替措置として全世界への一律10%の関税を発動した。米 関税政策を巡る不確実性に加え、インフレへの影響が懸念される中、安全資産としての金需要が高まり、金が買われた。
NY貴金属:
<米原油先物> 米イランの高官協議の行方が注視される中、米原油在庫の大幅な積み増しが重しとなり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比 0.21ドル(0.32%)安の1バレル=65.42ドル。5月物は0.21ドル安の 65.33ドル。
米エネルギー情報局(EIA)が午前に公表した週間在庫統計(20日までの1週間)によると、米原油在庫は前週比1600万バレル増と、市場予想(150万バレル増)をはるかに上回る積み増しとなった。ガソリン在庫は100万バレル減 (予想60万バレル減)、ディスティレート(留出油)在庫は30万バレル増(予想16 0万バレル減)だった。原油在庫の急増から需給の緩みが意識され、売りが後押しされた。
NYMEXエネルギー:
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