Nintendo Switch 2で、新作のバイオが遊べる! しかも、かなり快適に。
『バイオハザード レクイエム』(以下、レクイエム)のメディアレビューが解禁された。IGN JAPANでも9点のスコアで掲載しているが、筆者がレビューを担当していたとしても同様のスコアをつけたのだと思う。しかし、多くのレビューがPS5版やPC版に基づいているのに対して、筆者は最初から最後までNintendo Switch 2版の携帯モードで遊んでいるので、この記事でその感想をお届けしたい。
モダンバイオファンの視点から見た「レクイエム」
具体的な感想に入る前に、筆者が「バイオハザード」シリーズの昔からのファンでないことを強調しておこう。古いシリーズ作品は『バイオハザード コード:ベロニカ』とオリジナル版『バイオハザード4』を途中まで遊んだだけで、シリーズで初めてクリアしたのは『バイオハザード7 レジデント イービル』だ。その後、『バイオハザード RE:2』、『バイオハザード RE:3』、『バイオハザード ヴィレッジ』をクリアし、『バイオハザード RE: 4』もクリアこそしなかったものの終盤までプレイはしている。「レクイエム」をクリアした今は「バイオハザード」作品を5本網羅しているわけだが、あくまでシリーズのモダンファンであることを留意してほしい。

モダンファンが言っても説得力に欠けるが、リブートの意味合いが強く感じられた「7」や、同じ主人公が続投した「ヴィレッジ」と比べて、「レクイエム」は旧バイオの礎の上に作られた印象が強い。シリーズの代表的なキャラクターのレオンを主人公のひとりに据え、ラクーンシティを再訪するストーリーを描き、シリーズの代表的な組織や敵の登場があるからだ。一方で、ベイカー一家やドミトレスク夫人といった強烈な個性を放つ新キャラクターはいないし、ゲームのシステムや進行の流れもより既視感がある。だが、その分クオリティは異常に高い。近年の「バイオハザード」は新作も好評だが、「RE」のリメイク作品がさらに高く評価されている印象がある。「レクイエム」はそうしたリメイクと同等の品質を届けられた新作と言える。モダンファンの筆者に「実はシリーズで最も評価された作品のリメイクでした」と嘘をついても間違いなく信じてしまう。それだけ、本作をプレイしていると「RE:2」や「RE:4」に初めて触れたときの感動が蘇った。
筆者はアクション満載の「RE:4」よりも探索に重点の置かれた「RE:2」を好むタイプだが、「レクイエム」をクリアしたことで前者が愛される理由をより理解できた。

レオンと並んで本作の主人公を務めるグレースは限られた能力と物資で、それでもなんとか前に進み続ける。まるで、新米の警官だった頃のレオンのように。序盤で訪れる療養所は「RE:2」の警察署のように複雑な構造で、まるでメトロイドヴァニアや3Dゼルダのダンジョンと言いたくなるような作りだ。パズルの秀逸さでは「RE:2」の警察署に軍配が上がるが、療養所で遭遇するゾンビたちの個性が飛躍的に進化していた。甲高い歌声でグレースを怯ませる歌手ゾンビ、狭い廊下でその巨体から逃げることすら困難な包丁を振り回す調理師ゾンビ、ひたすら電気の消灯にこだわるゾンビ、憑りつかれたようにトイレの掃除をするゾンビ。その個性は見ていて面白いだけでなく、一部は頭を使えばその裏をかくことができる。例えば、近くの電気スイッチを押せば、電気を消したがるゾンビを誘き寄せるかもしれない。
グレースは途中から「採血」をして、それを消費して弾薬や回復アイテムをクラフトできるようになる。倒したゾンビの血のほか、バケツや浴槽に入った血なども発見でき、探索して血を集めることでゲームを有利に進められるようになる。特に「破血アンプル」というクラフト可能なアイテムは重要だ。「レクイエム」のゾンビは倒してもしばらくすると復活することがあるが、「破血アンプル」を使えば確実に仕留められる。「破血アンプル」を大量にクラフトすることは難しいので、これで倒す対象を慎重に選ぶといいだろう。例えば、筆者は前述した調理師を仕留めることにした。ゾンビごとの個性がより強調されているからこそ、こうしたアイテムの存在意義も出ており、サバイバルホラーの代名詞であるリソース管理をさらに楽しいものにしてくれていると感じた。

それでも、非力なグレースとして療養所を攻略していると疲労も伴うことは事実で、マップを見て何度も迷子になりながら次から次へとパズルを解いていくことを強いられる。筆者はこのゲームスタイルが好きなので耐えられるが、3Dゼルダにしてもダンジョンを出るとハイラル平原を歩いたり街を訪れたりなどの息抜きパートがあり、そうしたメリハリがストレスの軽減につながる。
「レクイエム」でそのような役割を果たしてくれるのがレオンパートだ。レオンは「RE:4」以上に強力になっており、敵を怯ませてから後ろ廻し蹴りといった派手な体術も、敵の位置などに応じてダイナミックに変化するようになった。常に携帯している手斧で近接攻撃やパリィも行えて、さらに接近したゾンビの顔に銃を突き付けて黙らせるという近接アクションも加わった。「RE:4」はナイフによるパリィや敵に忍び寄ってからのステルスキルを加えることで「4」のアクションを進化させたが、「レクイエム」ではチェーンソーなど敵の落とした武器を拾うといったアクションも加わり、さらに磨きがかかっている。

過剰に暴力的で爽快な作りはまさに「RE:4」を正当に進化させたもので、グレースと違って物資も豊富に揃っているので――序盤は特に――惜しみなくありとあらゆる手を使って敵を倒せる。「4」の武器商人ほどアイコニックではないとはいえ、敵を倒すことで得たリソースを使って新武器の購入や既存武器のアップグレードもできる。
「RE:4」が人ほど好きではない筆者は、最初こそ「やっぱりグレースパートの方が好みだな」と感じていたが、グレースパートのステルス中心の戦闘や謎解きの連続にちょうど疲れを覚え始める頃合いに、レオンとして派手に立ち回るパートに移行し、それを歓迎している自分がいた。
こうしたレオンとグレースのパートによる緩急がやめどきを失うリズムを作り出しており、筆者が本作を一気にクリアまで遊んでしまった所以だ。単に「RE:2」と「RE:4」のような体験が共存しているのではなく、それぞれを引き立て合っているわけだ。レオンパートが長続きするポイントもいくつかあったが、レオンパートの中にも「RE:2」っぽい探索と「RE:4」よりのアクションが両立しており、同じような緩急が楽しめた。

「RE:4」で軽口を叩くレオンが好きなプレイヤーは多いようだが、筆者は正直言ってこれもあまり魅了されてこなかった。だが、それも「レクイエム」で変わった。これも同様に、グレースと対照的であるからだ。ビビりで、心の余裕がまったくないグレースとしてプレイしたあとにレオンに戻り、敵を舐めたようなセリフを吐くと実に気持ちがいいのだ。
過去作の文法を洗練させた結果としての、リメイクのような秀逸さと既視感
筆者が「4」及び「RE:4」で特に巧みに思ったのは、シチュエーションやロケーションが常に変化し続けることだ。これはそのまま「レクイエム」の強みでもある。序盤で訪れるホテルや療養所は始まりに過ぎず、ゲームの中盤でラクーンシティを訪れてからも刺激的なロケーションが続く。レオンにとってラクーンシティは思い出深い場所で、シリーズの過去作を熟知しているユーザーなら特に感動するだろう。グレースがシリーズ初心者の器として機能しているとはいえ、それでも過去作を知っている方が楽しめることは変わらないと感じた。

ボス戦に熱中しているかと思えば、次の瞬間は離れた場所から狙撃銃でグレースの護衛を行っているのかもしれないし、大量のゾンビが暴れている施設からの脱出を図っているのかもしれない。ガラスの屋根の上での戦闘や突如として現れる巨大〇〇(ネタバレのため省略)など、斬新なシチュエーションや刺激的な敵やボスにも事欠かない。ステージごとに新しいアイディアを導入する3Dマリオのように、「レクイエム」はクリアまでひたすら新しい刺激を与えてくれた。非力なグレースパートもあることで、その変化が質・量ともに「RE:4」よりもさらに凄まじい気さえしてくる。
一方で、「レクイエム」が「RE:2」や「RE:4」ほど強烈なアイデンティティを有しているのかと言えば、残念ながらそうではない。前述したように本作のゲームデザインや設定はいずれもシリーズ過去作が土台になっており、「7」と「ヴィレッジ」ほどのオリジナリティも感じられない。ゲームの終盤で訪れるロケーションやラスボスを含めたボス戦の大半も既視感が否めない。
主要な敵キャラクターの一部もほとんど出番がないまま姿を消すようなことがあり、「過去イチ追い詰められる」と言われていたレオンの物語もあっさりしていたように思う。しかし、筆者は「バイオハザード」をストーリーのために遊ぶわけではないし、最後までほとんど休憩すらせず没頭してしまった。理屈抜きに、体が反応せざるを得なかったのだ。
Switch 2で妥協なしに満喫できる!

最後に、Switch 2版のクオリティにも言及したい。筆者は製品版を他プラットフォームでプレイしていないので、ほかのバージョンと比較はできない。が、東京ゲームショウ2026をはじめとする発売前イベントではすでにSwitch 2版のクオリティの高さが報じられており、他プラットフォームと大きな品質の差がなさそうだということが話題になっていた。筆者もその感想を抱いていたひとりで、約13時間で製品版クリアを迎えてもその感想が変わらなかったことは言っておこう。
『バイオハザード ヴィレッジ』や『バイオハザード RE:4』を発売時期にプレイしたときと同様の興奮がしっかりと味わえたし、Switch 2をプラットフォームに選んでいることで損をしているような感想を抱くことは一度もなかった。ごく一部の場面でフレームレートが少し低下したことはあったし、髪やライティングは最新のスペックにこだわる人なら気づくかもしれない。だが、Switch 2がメインデバイスのユーザーにとって、新作の「バイオハザード」が思う存分に楽しめることは大きな朗報と言えるし、クリア後にテレビモードで遊んでも感想は変わらなかった。任天堂プラットフォームで、「バイオハザード」のナンバリングタイトルがリリース初日から遊べるのは『バイオハザード4』以来と実に21年ぶりで、そういう意味でSwitch 2の未来が明るくみえた。
筆者はこれまでにSwitch 2で『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』や『HITMAN World of Assassination – Signature Edition』といった移植作をプレイしているが、他プラットフォームと同時期に発売を迎える大作を同機で遊ぶのは今回が初めてだった。「バイオハザード」に限らず、『プラグマタ』、『007 First Light』、『零 ~紅い蝶~ REMAKE』、FF7リメイクプロジェクトの3作目など、サードパーティーの大作は今後もSwitch 2でのプレイを前向きに検討したくなるほどだった。それだけ「レクイエム」のSwitch 2版はクオリティが安定していたし、携帯機として持ち運べる恩恵が大きく感じられた。
バッテリーの持続時間は3時間弱と、ほかの大作と同程度だった。決して長いわけではないが、最新の大作を外に持ち運んで遊べることを思えば妥協できる点だろう。しかし、充電ができるわけでもない限り、長時間のフライトで一気に「レクイエム」をクリアするようなことは難しい。
「レクイエム」は一人称視点と三人称視点で選べる。筆者はゲームのほとんどを後者で遊んだが、より粗が見えやすいはずの一人称視点で遊んでみても違和感はなかった。一人称視点のゲームである『メトロイドプライム4 ビヨンド』は――前世代機にも対応したいわゆる縦マルチプラットフォームタイトルでありながら――Switch 2の最も美しいビジュアルを誇るゲームのひとつとされるが、「レクイエム」はそれを遥かに凌駕するビジュアルに思えた。特にゲームの序盤で訪れる雨のニューヨークっぽい街は圧巻だった。街を彩る看板、マンションの非常階段、リアルタイムで街を歩く大量の通行人、自動車に地上を走る電車。路地裏の複雑に入り乱れた電線、電柱に居座るカラスの群れなど、最新のゲームならではのリッチな画作りに感動した。もちろん、本作はホラーゲームなので、そうした活気みなぎる都市が描写されるのは最序盤だけで、すぐにホテルの暗い廊下や部屋を探索することになった。
そこで、携帯モードに難があるとすれば、このように暗闇に包まれた場面が多いことが挙げられる。「レクイエム」はシリーズの中でも特に暗い場面が多い印象で、Switch 2を外に持ち運ぶと視認性がかなり悪くなってしまう。
しかし、たとえ視認性が悪い影響でうっかりゾンビに頭を喰われるようなことになっても心配はいらない。というのも、Switch 2版のロード時間は短く、ゲームオーバーからのリトライも早い。シューターがあまり得意でない筆者でも不要なストレスに苛まれることなく楽しめたので、その点も安心してほしい。
『バイオハザード レクイエム』は2月27日に発売予定だ。至高のサバイバルホラーとTPSアクションが共存するタイトルとして、歴史に残るほど素晴らしいアクションゲームだ。近年のシリーズ作品においても、新たな金字塔を築いたと言っても過言ではない――少なくとも、シリーズのモダンファンである筆者はそう思う。
