史上初の連覇を狙うフォーエバーヤング。(Photo by Shuhei Okada)
フォーエバーヤングが連覇へリード、昨年より充実のアメリカ勢を迎え撃つ
今年のサウジカップは連覇を狙うフォーエバーヤングが、昨年より質量とも厚みを増したダートの本場・アメリカ勢を迎え撃つ構図。世界的な芝の実力馬ロマンチックウォリアーとの一騎打ちとなった昨年から一転、ダートのスペシャリストが集う相手関係に変わり、スピードとパワーのぶつかり合いを楽しめそうだ。
昨年のフォーエバーヤングはロマンチックウォリアーと接戦だったものの、3着のウシュバテソーロ以下には大差をつけ、レースレコードの1分49秒09をマークとワンサイドともいえる勝利を収めた。サウジダービーと合わせて2勝のコース適性も申し分なく、実績は他を大きくリードしている。今回はスピードがテーマになりそうな相手関係だが、芝のトップマイラーでもあるロマンチックウォリアーをねじ伏せ、前走のBCクラシックでは果敢に先行して押し切ったように、よほどの乱戦に巻き込まれない限り不安はない。
BCダートマイルを制したナイソスは、BCクラシックの覇者フォーエバーヤングに対して最大のライバルとなる。今回の1800mはBCとの比較でナイソスには200m長く、フォーエバーヤングには200m短い。お互いに一歩譲った距離で真の王者を決める熱戦を期待したいところ。ただ、ナイソスには1700mまでしか経験がなく、海外遠征もコースも初めてで課題が少なくない。BCダートマイルを含む直近2戦は接戦をものにしており、スタミナ温存で終盤の競り合いに持ち込む形が理想か。
ナイソスと同じB.バファート厩舎のネバダビーチはBCクラシックでフォーエバーヤングと直接対決し、11馬身余りの差をつけられて7着に完敗した。前走は1700mでナイソスとアタマ差の接戦を演じたものの斤量が2ポンド(約1kg)軽く、両雄との比較で一枚落ちの感は否めない。BCや前走から変わる距離、明け4歳の成長力に活路を見出したい。
ビショップスベイは通算13戦12連対(9勝)の安定感を誇る。前走のシガーマイルハンデキャップを含む重賞4勝を全て1600mで挙げており、サウジ王族の率いるKASステーブルが昨年11月に遠征を見据えて購買した。G1の出走経験が一戦しかなく、しかも唯一の連逸(6着)を喫しているものの、当時の1400mは不適というのがオーナー関係者の見解。今回は試金石ながら侮れない。
昨年のBCダートマイルを制したナイソス。(Photo by Shuhei Okada)
ラトルンロールは昨年のサウジCでフォーエバーヤングから12馬身余りの5着。次戦のドバイWCでも6馬身少々離されており、ここで勝ち負けまでは難しそう。ただし、その2戦ともウィルソンテソーロには半馬身も後れを取っておらず、日本のダート馬のトップクラスとそん色ない実力を示している。
バニシングは昨年だけで1200mから1800mのレースを計12戦し、今年もペガサスWC(6着)から中2週でサウジ遠征ととにかくタフ。1400mのチャーチルダウンズSは出遅れを挽回してナイソスに先着(アタマ差)、1800mのルーカスクラシックSでは先行してラトルンロールや昨年のドバイWC優勝馬ヒットショーに先着、チャールズタウンクラシックはロングスパートで勝利とつかみ所がない。基本的には差しだが、はまった時には爆発的なレースをするタイプで不気味さは一番。
サンライズジパングは同世代のフォーエバーヤングと2024年のジャパンダートクラシック以来の対戦。当時は6馬身1/4差をつけられて完敗したが、前走の有馬記念で小差の5着など、芝の一線級に通用するスピードがあるのは魅力。芝の強豪が活躍してきたサウジCなら、今まで以上のパフォーマンスを発揮しても不思議はない。前川恭子調教師と師匠の矢作芳人調教師でワンツーフィニッシュという結果も期待したくなる。
ルクソールカフェは全兄のカフェファラオが3年前のサウジCで3着。東京競馬場ダート1600mの適性など個性が似ており楽しみはある。明け4歳を迎えたばかりでG1勝ちがなく、フェブラリーS連覇などの兄に実績は追いついていないが、11月の武蔵野Sでは大きく出遅れたコスタノヴァはさておき、その他の古馬たちを一蹴して兄に続けるだけの素質をうかがわせた。今回はフォーエバーヤングに食らいつき、先につながる内容を残したい。
カタールのタンバランバはアメリカからの移籍馬。BCダートマイルで2年連続の4着という実績があり、昨年はナイソスから4馬身圏内だった。BC後にカタールへ移籍して2戦し、前走はドバイのアルマクトゥームチャレンジで2着と中東の競馬に適応している。アメリカでは重賞入着が8回(G3を2勝)。今回のアメリカ勢に大きく見劣っている訳でもなく、中東でのアドバンテージを生かして上位進出も。
地元のサウジ勢は前哨戦の二聖モスクの守護者杯で接戦を演じたムハリーと紅一点のアミーラトアルザマーンが上位か。前哨戦では同じような位置から内を立ち回ったムハリーが、外を回ったアミーラトアルザマーンに1馬身足らずの先着と力量に差は感じられない。ただし、走破時計の1分54秒230は昨年の優勝馬ラトルンロールの1分52秒953に劣り、サウジCとの比較では5秒余りも遅い。ムハリーは昨年のサウジダービーで3着だが、当時の相手関係にも疑問符がつき、今回は荷が重いのではないだろうか。
(渡部浩明)
