
トランプ米大統領は5日夜、2020年の大統領選での自身の敗北が不正行為によるものだと主張する内容の1分間の動画を自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。1月撮影。REUTERS/Annabelle Gordon
[ワシントン 6日 ロイター] – トランプ米大統領は、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に5日夜に投稿された動画が人種差別的との非難が相次いだことを受け、動画を非難した。ホワイトハウスは6日、投稿から約12時間後にこの動画を削除していた。
動画では最後のシーンで民主党のオバマ元大統領とミシェル夫人の頭部が踊る霊長類に重ね合わされており、アフリカ系住民への人種差別的なイメージを想起させるとして、身内の共和党からも非難が相次いでいた。
トランプ氏は同日遅く、記者団からこの投稿を非難するかどうか尋ねられ、「もちろん非難する」と答えた。
ホワイトハウスはこの動画を当初は擁護していたが、その後「ホワイトハウスのスタッフが誤って投稿した」とし、動画は削除されたと説明。動画は人工知能(AI)が生成したとみられている。
トランプ大統領の側近によると、この動画が5日夜に投稿された際、トランプ氏本人は見ておらず、投稿されているのを確認した後に削除を指示した。ホワイトハウスはこの動画を投稿したとされるスタッフの身元は明らかにしていない。
トランプ氏は、動画の「冒頭部」は見たが、批判を浴びた最後のシーンは見ていないと説明。「冒頭部は、投票装置における不正がどれほど腐敗していて不快なものかという内容だった。その後、動画を人々に見せた。通常彼らは全部を確認するものだが、気づかなかった人がいたのだろう」と述べた。
動画が削除される前、ホワイトハウスのレビット報道官は、投稿された動画に対する非難が「偽りの怒り」を招いたとしたほか、「これはトランプ大統領をジャングルの王、民主党員を『ライオン・キング』のキャラクターに見立てたミーム動画からの引用だ」とも述べていた。トランプ氏が投稿した動画には、「ライオン・キング」の楽曲が含まれていた。
動画に対しては、トランプ氏の盟友で黒人のティム・スコット上院議員(共和党)をはじめとして批判が相次いでいた。スコット氏はSNSのXで「ホワイトハウスで見た中で、最も人種差別的な行為だ。偽物であることを祈る。大統領は削除すべきだ」と非難。他の共和党議員からもトランプ氏に対し謝罪を求める声が上がったほか、一部の共和党議員は非公式にホワイトハウスと連絡を取り、懸念を伝えていたという。
この件について、オバマ夫妻の広報担当者はコメントを控えている。
白人至上主義者は何世紀にもわたり、黒人の人間性を奪い支配するための運動の一環として、アフリカ系住民をサルのように描いてきた。オバマ氏の元側近のベン・ローズ氏はXに「将来の米国民がオバマ夫妻を愛すべき人物として受け入れる一方、トランプ氏を歴史の汚点として研究するであろうことを、トランプ氏とその人種差別主義の支持者たちは忘れてはならない」と投稿した。
これまでも人種差別的な言説を広めてきたトランプ氏は、オバマ氏が米国生まれではないという誤った主張を繰り返してきた。昨年12月には、ソマリア人を「ゴミ」と呼んで国外追放すべきだと発言したほか、黒人であるハキーム・ジェフリーズ民主党院内総務に口ひげとソンブレロ(メキシカン・ハット)を重ねて描いたことでも批判を浴びた。
公民権擁護団体は、トランプ氏の言動はますます大胆、常態化しており、政治的に許容されるようになっていると指摘している。
トランプ氏は政策発表のほか、さまざまな問題への言及にソーシャルメディアを活用。トランプ氏の交流サイト「トゥルース・ソーシャル」のフォロワー数は約1200万人に上る。大統領の投稿で市場の相場が動いたり、敵対勢力が刺激されたりする可能性があるため、今回の動画投稿を巡りトランプ氏のソーシャルメディア発信の安全管理体制を危ぶむ声も出ている。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab


