ポール・クルーグマン。Alejandro Martinez Velez/Europa Press via Getty Imagesポール・クルーグマンは、トランプ大統領の貿易政策がアメリカ経済の脅威だと警告している。トランプ大統領の戦略は、貿易相手国との関係に緊張をもたらすという。彼はアメリカと主要な貿易国の「離別」を予測している。
ポール・クルーグマン(Paul Krugman)は、政府の貿易政策による混乱で最終的に最大の敗者になるのはアメリカ人だと考えている。
ノーベル賞を受賞した経済学者のクルーグマンは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の貿易政策と攻撃的な交渉戦略は、世界に不安定をもたらし、結果的にアメリカにしっぺ返しがくると考えている。
さらにトランプ大統領は最近、手頃な価格の住宅に注力しているが、クルーグマンはトランプ大統領による貿易戦略がすでに苦境にあるアメリカの消費者にダメージをもたらすと考えている。
他のエコノミストやマーケットコメンテーターも同様に警鐘を鳴らしている。ムーディーズ・アナリティクス(Moody’s Analytics)のチーフエコノミストであるマーク・ザンディ(Mark Zandi)は、関税がアメリカの景気後退をもたらすと予測し、ヘッジファンドの億万長者であるレイ・ダリオ(Ray Dalio)は最近、関税が世界レベルの資本戦争を引き起こしかねないと指摘した。

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クルーグマンはサブスタックの投稿で、トランプ大統領による他国への強引な交渉の問題を指摘した。
「現在、アメリカと他国との関係は悪くなり、世界は離別へと向かって動いている」と彼は述べた。
「それによってアメリカ人ははっきりとわかるほど貧しくなるだろう」
「離別」の結果、アメリカの貿易相手国はその他の国同士の取引を増やし、アメリカとの取引を減らすという。
最近の調査で、アメリカの消費者はトランプ大統領による関税のコストのほぼすべてを負担している。だがクルーグマンは、トランプ大統領が交渉のツールとして関税を使い続けているため、アメリカの消費者はさらに別の代償を払うことになると考えている。
クルーグマンの考えでは、他の国がアメリカよりもEUとの取引に価値があると見ていることが、貿易データで示されているという。
2024年における『世界のその他の地域(Rest-of-world)』のGDPに対する輸入額の割合。Paul Krugman
2024年における『世界のその他の地域(Rest-of-world)』のGDPに対する輸入額の割合Paul Krugman
「この指標は、他国の生産量のうちどれだけがアメリカに販売されているかを示すものだ。それは平均して5%未満であり、カナダとメキシコを除けば、その数値はさらに低くなる」
クルーグマンは、欧州連合(EU)はこの数字が2倍になると付け加えた。単純に言えば、アメリカよりもEUに対して2倍の量が販売されているということだ。
他の国々はこの事実を認識しており、EUと良好な関係を維持するために、アメリカと距離を置こうとしているとクルーグマンは述べている。彼は、自身が提唱する「経済的離婚(economic divorce)」の潮流を強調するために、最近、インドがEUと結んだ貿易協定を例に挙げた。
「国際貿易をゼロサムゲームと考えているドナルド・トランプとは異なり、EUとインドの人々は、両者間の自由貿易協定が双方にとって非常に有益な取引であることを理解している」

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