【特集】2026年3月3日 皆既月食 – アストロアーツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年3月3日の宵に皆既月食が起こります。見やすい時間帯・見やすい高さの月食で、観察や撮影がたっぷりと楽しめます。

場所の下調べや機材の準備などを万全にして、「ひな祭り月食」を迎えましょう!当日はライブ配信も予定しています。

アストロアーツでもライブ中継を予定しています。お楽しみに!

2026年3月3日 皆既月食 天体写真ギャラリー

今夜の月食、どこに見える?

全過程は18時50分ごろ~22時20分ごろ、
食の最大は20時34分

東京で見た月食の様子。囲み内は月の拡大像(正立像)(ステラナビゲータでシミュレーション)。
[YouTube]

今回の月食は、まず18時50分に東の低空に見える満月が地球の影(本影)に入って欠け始めます(部分食の始まり)。月の高度は10度前後しかありませんので、東の空がよく開けたところで観察しましょう。

その後、月は東の空をゆっくりと上っていきながら、だんだん欠けていきます。そして部分食開始から約1時間15分後の20時5分ごろに月全体が地球の影に入り、皆既食の状態となります。地球の影に最も深く月が入り込む食最大の20時34分をはさんで、約58分間、皆既状態が続きます。皆既中の月の高さは30~40度ほどです。

21時3分ごろに皆既食が終了すると、月は再び明るさを取り戻していきます。約1時間15分後の22時17分、満月が南東の空50度くらいまで高くなったところで、部分食も終了します。

全国どこでも同時に起こる

月食は、月が見える場所であればどこでも同時に起こります。日食のように観察地によって時刻が変わるということはなく、全国どこでも(日本以外でも)同じタイミングで始まって終わります。また、同じ時刻で見れば欠け方も同じです。

ただし、同じ時刻であっても月が見える方位や高度は異なります。また、日の入り時刻や薄明終了時刻も異なり、とくに西日本では部分食の始まりのころは明るさが残る空の中での現象になります。撮影の設定が難しいので、事前のシミュレーションや練習をしておきましょう。

福岡・東京・札幌での見え方。月の高度や空の明るさなどは異なるが、欠け方は同じ(ステラナビゲータでシミュレーション)。

時刻の出典:ステラナビゲータ

国立天文台 暦計算室の予報とは少し時刻が異なりますが、これは地球の影の大きさをどう見積もるかの違いによります。
地球の影の境界はシャープではありませんので、開始・終了時刻は目安とみておくのがよいでしょう。

部分食の前後には「半影食」(» 解説)という現象があります。月がわずかに暗くなっていますが、部分食の開始直前や終了直後を除くと、眼視ではわかりにくい状態です。

月の色や明るさに注目

皆既月食の際には満月が赤っぽくなり、この色はよく「赤銅色(しゃくどういろ)」と形容されます。

月が赤銅色になるのは、地球の大気を通った太陽光のうち赤い成分のほうが月に届きやすいためです(» 解説)。大気の状態によって届く光が変化するため、月の色や明るさは月食ごと異なり、明るいオレンジ色や暗い茶色のように見えることもあります。前回の2025年9月8日の皆既月食では「かなり暗い」と感じた方が多かったようです。今回の見え方はどうなるでしょうか。

また、地球の影には濃淡があるので、部分食の時だけでなく皆既中も月の色や明るさが変化します。

明るさの異なる月食のシミュレーション画像

明るさの異なる月食のシミュレーション画像。画像クリックで表示拡大(ステラナビゲータで作成)。

空の明るさや天の川にも注目

食の前半では月が欠けていくにつれて月明かりが弱まるため、空が暗くなっていきます(薄明が終わっていく影響もあります)。3等星4等星といった暗い星々の見え方が変わるので、注意して観察してみましょう。反対に皆既食の終盤では再び月明かりの影響が強くなり、暗い星々が見えづらくなっていきます。

皆既食の間は、空の条件の良いところであれば冬の天の川も見えるかもしれません。月が見えている南東の空だけでなく、天頂や南の空の様子も観察してみましょう。

月食セール 3月2日まで!

月食を「見る・撮る」ガイド

月食観察のポイント

月の色や形が変化していく様子は肉眼でもよく見えるので、月食観察に特別な機材はいりません。ふだん月を見ているのと同じように、空を見上げるだけで月食を楽しめます。「月の模様や変化をじっくり眺めたい」という場合には、双眼鏡や天体望遠鏡を用意しましょう。

車の往来や足元を確認するなど、安全にじゅうぶん注意しましょう。
子供だけで観察したり、少人数で暗いところに行ったりしないようにしましょう。
私有地への立ち入りや大騒ぎすることは厳禁です。ルールやマナーを守りましょう。

アストロアーツ オンラインショップ

上級者向け情報:
6等星の食

月食中に、しし座の5.9等級の恒星が月に隠される現象(恒星食)が起こります。19時15~30分ごろに星が隠され、20時~20時20分ごろに再び現れます。

東京での見え方

東京での見え方。恒星が潜入・出現する時刻や位置は観察場所によって異なる。画像クリックで表示拡大(ステラナビゲータでシミュレーション)。

モバイルアプリで調べる

iOS/Android用「星空ナビ」などのモバイルアプリを使うと、事前に月の欠け方や方位・高度を調べることができます。月食当日は、周りの星や星座の名前を知るのにも便利です。

iステラでのシミュレーション

iステラで月食をシミュレーション。画像クリックで表示拡大。

観望会やインターネット中継

公開天文台や科学館などで開催される月食観望会(観察会、観測会)、詳しい解説を聞いたり参加者同士で体験を共有したりしながら月食を楽しむことができます。望遠鏡で月を拡大して見せてもらえるかもしれません。全国プラネタリウム&公開天文台情報ページ「パオナビ」などで、イベントの実施状況や申し込み方法を調べましょう。

残念ながら当日曇ってしまったり外に出られなかったりして見られない場合には、インターネットの中継などで楽しむ方法もあります。複数地点の中継を見ると、月食はどこでも同時に起こり同じように進行することが実感できます。

月食撮影のポイント

月や月食をきれいに撮影するコツは、露出やシャッター速度などを調整して取り入れる光の量を上手くコントロールすることです。欠けている割合が小さく月が明るい時には光量を少なくし、反対に大きく欠けている時は暗すぎるので多くの光を取り入れるようにします。天体写真ギャラリーなどを参考にしてください。

2025年9月8日 月食の経過と富士山

2025年9月8日の月食の経過と富士山。ステラナビゲータで事前に構図を調べておくと便利(撮影:hamさん)。
画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ(以下同)。

2025年9月8日 地球の影の表現

シミュレーションで調べた位置に合わせて月の画像を合成すると、地球の影を表現できる(撮影:くおんさん)。

2025年9月8日 月食の経過

微妙な色合いや濃淡も表現したい。青っぽい部分は「ターコイズフリンジ」と呼ばれる(撮影:豊田敏さん)。

スマートフォンのカメラでも月の色や明るさの変化は写りますので、手軽な記念撮影としてはじゅうぶん楽しめます。
観望会などでは、天体望遠鏡のアイピースにスマートフォンのレンズを当てて拡大撮影をさせてくれる場合もあります。
コンパクトデジタルカメラでは夜景モードやマニュアルモードに設定し、シャッタースピードを調整しましょう。月が明るい時には速めの(短い)、暗い時には遅めの(長い)露出にします。オートモードしかない場合は明るい前景を入れると露出を短くできることがあります。
望遠レンズや望遠鏡を取り付けて月を大きく写すなら、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラを三脚に載せて撮影するのがおすすめです。必要に応じて赤道儀も使用しましょう。
天体撮影ソフト「ステラショット」では、欠け具合に応じて露出を自動的に補正することもできるので、たいへん便利です。
多重露出による月食の連続写真も面白いものです。適当な時間間隔ごとに撮影したものを画像処理ソフトで合成すれば、食の経過を記録した画像が簡単にできあがります。

ステラショットで月食撮影

天体撮影ソフト「ステラショット」で月食を撮影。撮影間隔などの基本設定だけでなく、露出を段階的に変化させるブラケットや、欠け具合に応じて露出を長くする補正も行うことができる。画像クリックで表示拡大。

「ステラナビゲータ」でシミュレーション

地上風景を入れた連続撮影の場合には、ロケハンをして前景の方向や高さなどを確かめておくことが大切です。天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では方位・高度の線や写野角の表示、時間を変化させてのシミュレーションができるので、連続撮影の計画を立てるのに便利です。撮影後の画像合成時には月の位置合わせにも活用できます。

▶ 試用版はこちら。1か月間無料で機能をお試しいただけます。

星ナビ3月号は月食特集!

皆既月食の観察や撮影方法を、本誌(8ページ)と付録小冊子「皆既大作戦」(14ページ)で大特集しています。

▶ 誌面紹介

「星ナビ」2026年3月号

月食セール 3月2日まで!

月はなぜ赤くなる?

月食が起こる理由

宇宙空間では、太陽に照らされた地球の後ろ側(夜の方向)に地球の影が伸びています。地球の周りを回る月がこの影の中に入ってくると、月面にその影が落ち、月食が起こります。このとき太陽‐地球‐月は一直線に並んでいますから、月食は必ず満月のタイミングで起こります。

しかし反対に、満月のときに毎回月食が起こるわけではありません。これは、月の公転軌道が地球の公転軌道(つまり、地球の影の中心が位置する場所)に対して5度ほど傾いているからです。この傾きのため、満月はたいてい地球の影の上下(黄道面の南北)にずれます。このずれの量が小さいときには地球の影と月が重なるので、月食となって見えるわけです。1年間では2~5回の月食が起こりますが、ほとんどの年は3回以下です(2027年や2031年のように半影食しか起こらない年もあります)。

地球の影の中を月が通過する

月食は、月が地球の影の中を通るときに起こる。画像クリックで表示拡大。

月食の時に満月が赤くなる理由

皆既食や深い部分食のときには月全体(または大部分)が地球の影の中に入っているので、月がほとんど見えなくなってしまうように思います。しかし実際には、赤っぽい色になった満月を見ることができます。これはなぜでしょうか。

地球の大気の中を太陽光が通過するとき、その光は大気によって曲げられて(屈折して)月まで届き、ほんのりと月を照らします。このとき、光の成分のうち波長の短い青い光は大気に散乱されるためほとんど月まで届きません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、月まで届いて月面を照らします。このため、月は真っ暗になることはなく、赤っぽい色に見えるのです。大気中の塵や水蒸気の量によって、非常に濃い茶色や赤色のように見えることもあれば、明るいオレンジ色のように見えることもあります。

また、「ターコイズフリンジ」と呼ばれる欠け際の青い部分が見えることもあります(撮影するとわかりやすくなります)。先ほどの説明とは反対に、赤い光のほうが地球大気のオゾン層に吸収されて届きにくくなり、青い光の一部が月に届いている部分と考えられています(詳しくは「星ナビ」2021年11月号参照)。

地球大気を通った赤い光が月面を照らす

地球大気を通った赤い光が月面を照らす。画像クリックで表示拡大。

月食の種類

地球の影の大きさ(見かけの直径)は、月3個分ほどです。この影の中に月が全部入ってしまう状態を「皆既食」と呼び、そのような皆既状態が見られる月食を「皆既月食」と呼びます。月が地球の影の中心に近いところを通れば皆既状態が長く続くことになり、今回は約58分です。

また、月の一部だけが地球の影に入っている状態は「部分食」で、月食全体を通じて部分食しか見られない月食を「部分月食」と呼びます。皆既食の前後にも部分食が起こっていて、月が地球の影の中を動いていくにつれて白い満月→部分食→皆既食→部分食→白い満月、と変化していきます。

月食の種類

月食の種類。画像クリックで表示拡大。

さらに、地球の影(正確には「本影(ほんえい)」)の外側には一回り大きな「半影(はんえい)」が広がっていて、この半影の中に月が入っている状態を「半影食」と呼びます。半影は薄いので、半影食のときに月が暗くなっている様子は眼視では気づきにくいかもしれません。写真で記録するとわかりやすいでしょう。

※月食全体としては皆既月食でも、観察場所によっては皆既食中の月は地平線の下にあって見えず、その場所からは部分月食となる場合もあります。同様に、皆既月食や部分月食であっても場所によっては半影食しか見えない(半影月食となる)こともあります。

部分食が始まる直前にすでに月の端が欠けているように見えるのも、この半影食のためです。月面上で地球の半影に入っている部分から見ると、太陽が地球によって隠されていますが(» 解説)、半影食が進むと隠されている部分が増えて太陽光は弱くなり、部分食開始の直前にはほとんど太陽が見えなくなります。これを地球から見ると、月の端が暗くなって部分食が始まったように見えるというわけですが、実際には太陽光は完全には失われていないので「まだ部分食は始まっていない」のです。月が地球の本影に入る部分食開始のタイミングは、視点を変えると、月の縁から見て太陽が地球によって完全に隠されたときになります。

部分食開始前の月と太陽の見え方

半影食や部分食のタイミングにおける、地球からの月の見え方と、月(アインシュタインクレーター)からの太陽・地球の見え方。画像クリックで表示拡大。

近年の主な月食

2022年から2032年まで掲載(半影食のみの現象は含みません)。

日本で次回見られる部分月食は2年4か月後の2028年7月7日、皆既月食は約3年後の2029年1月1日です。

月出帯食:月が欠けた状態で昇ってくること/月没帯食(月入帯食):月が欠けた状態のまま沈むこと
(この表では本影食の状態で判定しています)

食最大の日時
(日本時)
部分食時間
皆既食時間
備考

2022年 5月16日
13時12分
207分
85分
日本からは見えず(大西洋方面)

2022年11月 8日
19時59分
220分
85分
同時に天王星食も起こった

2023年10月29日
5時14分
77分

2024年 9月18日
11時44分
63分

日本からは見えず(大西洋方面)

2025年 3月14日
15時59分
218分
65分
日本からは北日本で部分月食の月出帯食(南北アメリカ方面)

2025年 9月 8日
3時12分
209分
82分

2026年 3月 3日
20時34分
207分
58分
今回

2026年 8月28日
13時13分
198分

日本からは見えない(南北アメリカ方面)

2028年 1月12日
13時13分
56分

日本からは見えない(南北アメリカ方面)

2028年 7月 7日
3時20分
141分

東北、北海道では月没帯食(インド洋方面)

2029年 1月 1日
1時52分
209分
71分

2029年 6月26日
12時22分
220分
102分
日本からは見えない(大西洋方面)

2029年12月21日
7時42分
213分
54分
日本からは部分月食の月没帯食(ヨーロッパ、アフリカ方面)

2030年 6月16日
3時33分
144分

中部地方より東では月没帯食(インド洋方面)

2032年 4月26日
0時14分
211分
66分

2032年10月19日
4時03分
196分
47分

月食と月の満ち欠けの違い

月食時の月の欠け方は、月の満ち欠けの変化と同じように思うかもしれませんが、実際には様々な点が異なります

満ち欠けによる変化では、月の明暗の境界は必ず月の(ほぼ)北極から(ほぼ)南極を通るカーブになります。月食時は、明暗の境界(地球の影)は極に限らず様々な場所を通ります。
満ち欠けの明暗境界は非常にシャープですが、月食の境界はぼんやりしています。
満ち欠けの明暗境界の曲がり具合は月齢によって様々ですが、月食の境界は地球の影を表す円周の一部であり、曲がり具合は常にほぼ一定です。
月食時には、境界の外側はほとんど暗くならないので、いわゆる「十日月」のような半月より太った形に見えることはありません。

欠けた月の形

満ち欠けによる月の形の変化と、月食時の欠けた月。画像クリックで表示拡大。

地球による日食

今回の皆既月食時に、月(探査機「スリム」着陸地点)から見た太陽と地球の様子(ステラナビゲータでシミュレーション)。

ところで今回の月食は、昨年9月の皆既月食のほぼ半年後の現象です。この間に地球は太陽の周りを半周公転したので、満月(=太陽の反対に見える月)が位置する星座も天球上の反対の星座になります。前回9月の月はみずがめ座、今回の月はしし座、という具合です。

このとき、満月から見た地球の位置する星座もちょうど入れ替わることになります。月食中の月から見ると、9月にはしし座方向に見えていた地球(と太陽)が、今回はみずがめ座方向に見えるという具合です。地球・月・太陽の位置関係や天体の動きを想像してみてください。

月食時の地球と月、太陽の位置関係、および見え方

(上段)2025年9月8日と2026年3月3日の月食時の、地球と月、背景の星座の位置関係の模式図。天体の大きさや距離は実際のスケールとは異なる。(下段)それぞれの月食時の、地球から見た月の位置と、月から見た地球(と太陽)の位置。画像クリックで表示拡大(ステラナビゲータで作成)。

月食セール 3月2日まで!

🔝 ページ先頭へ

Copyright © AstroArts Inc. all rights reserved.