夜空に広がる天の川銀河の姿が、これまでにない鮮明さで明らかになった。国際電波天文学研究センター(ICRAR)の研究チームが、低周波電波による銀河面の観測画像としては史上最大規模のものを完成させたのだ。72〜231MHzという低周波数帯で銀河を捉え、異なる波長の電波光を色として表現することで、星の誕生から終焉までのドラマティックな過程を可視化している。

「この周波数帯で銀河を捉えた画像は前例がありません」と、オーストラリアのカーティン大学の博士課程研究員であるシルビア・マントバニーニは説明する。「銀河のさまざまな領域における星の形成から、他の天体との相互作用、その最期に至るまで、星の進化に関する貴重な情報を提供してくれるでしょう」

マントバニーニらの研究チームは、西オーストラリア州のワジャリ・ヤマジ・カントリーにあるマーチソン広視野干渉計(MWA)を用いて、天の川銀河の南半球側の銀河面を観測した。2013年から14年にかけて実施した28回の観測結果(GLEAMサーベイ)と、18年から20年にかけて実施した113回の観測結果(GLEAM-Xサーベイ)を組み合わせることで、約3,800平方度という広大な領域をカバーした画像を実現したのだ。

南半球から観測した天の川銀河の様子。上は電波の波長に基づくもので、下は光学系によって観測したもの。

南半球から観測した天の川銀河の様子。上は電波の波長に基づくもので、下は光学系によって観測したもの。

Photograph: S.Mantovanini/the GLEAM-X team, Axel Mellinger/milkywaysky.com

今回の成果は、19年に公開された以前の画像と比べて解像度が2倍、感度が10倍、カバー範囲が2倍と飛躍的な進歩を遂げている。また、ノイズレベルも従来の約10〜20分の1にまで低減した。これにより、これまで可視化が困難だった銀河の微細な構造を詳細に調べられるようになるという。

左側は電波の波長で捉えた天の川銀河の中心部。右側は可視光線で観測した同じ領域の様子。

Video: S.Mantovanini/the GLEAM-X team, Axel Mellinger/milkywaysky.com電波による色の違い

マントバニーニの研究は、超新星残骸と呼ばれる天体に焦点を当てている。これは、星が生涯を終えて爆発したときに生み出されるガスとエネルギーの雲だ。天文学者たちはすでに約300個の超新星残骸を特定しているが、理論上は銀河内に少なくとも1,000個以上が存在すると予測されている。

新たな画像のおかげで、形成途中の星を取り巻く物質と、死んだ星が残したガスを明確に分離できるようになった。つまり、銀河全体の構造がより鮮明に浮かび上がってくることを意味する。

この画像では、超新星残骸は大きな赤い円として表現されている。一方、より小さな青い領域は“星の保育園”とも呼べる星形成領域を示している。この色の違いは、それぞれの天体が放つ電波の周波数特性を反映したものだ。

水素ガスが電離しているHII領域は、低周波の電波が周囲のガスに吸収されてしまい、青く写る。対照的に、超新星残骸は低周波になるほど電波が強くなることから、赤く表示される。

さらに、今回の画像はパルサーの研究にも新たな手がかりを提供してくれるかもしれない。パルサーとは、超新星爆発後に残された中性子星が高速で自転しながら、磁極から電波やX線などの電磁パルスを規則的に放出する天体である。