
1月8日 日銀が8日開いた支店長会議では、企業収益が高水準で推移し、人手不足感が強い状況が継続する中で「2026年度も2025年度と同程度の賃上げを行う必要があると考える企業が多い」との報告が多数出された。2017年9月、都内で撮影(2026年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 8日 ロイター] – 日銀が8日開いた支店長会議では、中国政府による日本への渡航自粛要請を巡り、現時点では影響が一部にとどまっているとの報告が多い半面、先行きは宿泊業を中心に「春節期間にマイナスの影響が一段と拡大することを懸念する声も聞かれる」との報告が出された。会議後に記者会見に臨んだ支店長からは、中国による軍民両用品の輸出管理強化について、影響を注視していくとの声があった。
正木一博大阪支店長(理事)によると、大阪支店管内のホテルや小売りから「11月半ば以降、中国人のツアー客数や来店人数が減少した」といった声のほか、先行きの売り上げ減への懸念の声が聞かれる半面で、「団体旅行ははっきり減少しているものの、大部分を占める個人旅行への影響は見られていない」、「中国人以外の旅行客が増加しているので全体で見た影響は限定的」との声も少なからず聞かれているという。正木支店長は「対中関係が関西経済に与える影響は予断を持つことなく丁寧に点検していきたい」と述べた。
上口洋司名古屋支店長は、対日輸出規制強化について「具体的な内容や強度によって影響が及び得ると考えている企業は相応にいる」とし、「引き続きよく見ていく必要がある」と話した。
<ゼロノルムに戻る蓋然性「相当小さい」>
昨年12月の利上げの決め手の1つとなった賃上げについて、支店長会議では高水準の企業収益と人手不足感の強まりを背景に「2026年度も2025年度と同程度の賃上げを行う必要があると考える企業が多い」との報告が多数出された。
最低賃金の改定でパート労働者の賃金を引き上げる中で、正社員についても「相応の賃上げが必要になっている」との報告もあった。一方で、関税引き上げによる収益減や価格転嫁の遅れなどから、中小企業を中心に「25年度並みの賃上げは難しい」との声が聞かれるとの報告もあった。
価格設定に関しては、仕入れコストや人件費、物流費等の上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。一部の企業では、最近の為替円安によるコスト増を受け「価格転嫁の必要性を検討している」との報告もあったという。
上口名古屋支店長は会見で「企業の賃金・価格設定行動は積極化しており、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっていることに留意する必要がある」と述べた。
昨年末の利上げについて、正木大阪支店長は、賃金も物価も緩やかに上昇する中で「金利もそれに応じて上昇することについては、企業経営者や財界関係者と話す中で理解を得られるようになっているのではないか」と話した。その上で、昨年までの3年間、春闘で高い賃上げ率が実現し、賃金上昇を伴って物価が上昇するサイクルが続いてきているとして「再びゼロノルム(賃金も物価も動かない慣習)に戻る蓋然性は相当小さくなっているのではないか」と語った。
日銀が同日公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域の景気判断を据え置いた。
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