NISMOが手がけた「GT-R(R35)」と「オーラNISMO」に試乗した

 NISMOが用意したのは「R35 GT-R」「オーラNISMO」「エクストレイルNISMO」の3台。

2013年モデルのGT-Rが別物の走りに

 ニスモの大森ファクトリーが手がける「CRS(CLUBMAN RACE SPEC:クラブマン・レース・スペック)」とは、歴代GT-Rをベースに、ハイスペックなサスペンションや強化パーツを装着し、高いコーナリング性能と優れたステア応答性を持ちつつ、サーキットへ自走で行って楽しんで帰れることをコンセプトにした仕様のこと。

 今回の試乗車は、2013年モデルのGT-R(R35)をベースにしたCRSで、注目すべきは最終仕様の日産純正サスペンションの主要部品をキット化した「T-specサスペンションバージョンアップキット」を装着している点だ。

装着されていた「T-specサスペンションバージョンアップキット」は、2025年12月11日から受注生産で発売されているサスペンションバージョンアップキットの適合は、2007年~2022年のPure edition/Black edition/Premium edition、2014年~2022年のNISMO/Track edition

 ニスモは、R32~R34の第2世代のスカイラインGT-R向けの生産終了になった純正部品を復刻する活動を2016年から行なっている。一度製造が終わったパーツを復刻するのはものすごく難しいが、その経験を活かし、生産終了を迎えたR35もこれからヘリテージ領域に入ってくるクルマであることから、パーツの製造を廃止することはやめて、継続していこうと活動している。

 ただし、2007年に発売されたクルマなので部品のバリエーションが多く、すべてのモデルイヤーの部品を継続供給し続けるのは非常に難しい。そこで、サスペンションに関しては、最新モデルの製品をバージョンアップという形で設定して、将来的にはヘリテージパーツとなり、補修部品として古い年式のモデルにも用意できるような形でプロジェクトを進めていく予定という。

ホイールはニスモ純正。タイヤはダンロップ「スポーツMAXX GT 600DSST」でサイズはフロントが255/40R20、リアが285/35R20

 その第1弾として用意したのが、GT-Rの最終仕様の日産純正サスペンション主要部品を使用し、2方向の性能深化を体感できるキットで、“グランツーリスモ(洗練)”を追求したのが「T-specサスペンションバージョンアップキット」、“レーシングテクノロジー(速さ)”を追求したのが、「NISMOサスペンションバージョンアップキット」となる。

T-specサスペンションバージョンアップキット KIT Bのセット内容

 ベースモデルの年式によってキットの内容と価格が異なり、2007年~2009年モデルは「KIT A」で140万8000円。2010年~2013年モデルは「KIT B」で147万4000円。2014年~2015年モデルは「KIT C」で121万円。2017年~2022年モデルは「KIT D」で105万6000円。今回の試乗車は2013年モデルなので、KIT Bが装着されている。

 そのほかにも、軽量化とダウンフォース増加の両立を図り、GT500空力エンジニアが設計し、日産GT-Rのデザインチーム監修による、最新の空力解析を駆使して開発されたエアロパーツが装着されている。

 ベース車は2013年モデルと10年以上前のGT-Rだが、その走りは見違えていた。引き締まった中にもしなやかさがある乗り味になり、路面追従性が格段に向上し、より軽快でスムーズなハンドリングを楽しめるようになっている。

 最新モデルに比べるとボディ剛性やタイヤも違うので、さすがに本物のT-specと同じといわないまでも、近いフィーリングは味わえる。乗りやすく快適にGT-Rの性能を楽しめるようになっている。その感覚はコースでももちろん、一般道に条件の近いモビリティリゾートもてぎの構内路を走ってもよく分かった。

GT3仕様のカムシャフトを組み込み、専用ECMでセッティングを施したS1仕様のエンジン。取材時はまだ試作段階だったものの、2025年11月27日から販売チャンネル限定で販売開始しているエンジン本体にはS1エンブレムと、管理用のシリアルナンバーを刻んだプレートが付けられるマフラーは高純度チタン合金を使用し、9.4kgと純正マフラーよりも8kgほど軽量で、価格は50万円

 当時のGT-Rは凹凸や起伏のある路面だとガツガツして路面からタイヤが離れている時間がそれなりにあったように記憶していることを思うと、この足まわりは別物で、普通に乗れて衝撃も小さい。コンフォートモードにしなくても、標準モードでもT-specっぽい雰囲気がある。コンセプトどおり、サーキットでのスポーツ走行と公道走行の両立を図り、サーキット走行を1日楽しみ、自走で帰宅できるクルマに仕上がっていた。

サーキット走行を1日楽しみ、自走で帰宅できるコンセプトに沿ったクルマとなっていた

 この仕様にするには、ベースモデルの年式によって若干異なるが、ショックアブソーバーだけではなくリンクなども換えなければならないので、それなりの出費にはなる。とはいえ、しなやかな乗り心地というほどではないにせよここまでできるなら、現在年式の古いGT-Rに乗っている人や、これから中古のGT-Rを買おうという人には朗報といえるアイテムだろう。

 S1仕様のエンジンもパワー感は十分すぎるほどで、中間トルクも厚く、上までよく伸びる。そのよさをいかにも高純度チタン素材らしく、エンジンを回すほどに軽快さを増していくスポーツチタンマフラーがさらに引き立てている。

 GT-R特有のいかにもなスゴさを、T-specならではの乗り心地とともに味わえるのが、この仕様の偉いところ。2013年モデルでもここまでできると知ったら、自分もそうしたいというオーナーは少なくないんじゃないかと思う。

これから中古のGT-Rを買うなら要注目のチューニングメニューだエクストレイルNISMOをよりニスモらしくニスモパーツをふんだんに装着することでスポーティさが増している

「情熱体験をもたらすグランドツーリングSUV」をコンセプトに開発されたというエクストレイルNISMOは、南コースではなくモビリティリゾートもてぎの構内路で試乗してみた。

 走りに関しては手が加えられていないが、ニスモの最新ラインアップのアクセサリーがふんだんに装着された仕様となっている。

 最新のエクストレイルには、ニスモ仕様が設定されたのも快挙だと思うが、それをよりニスモらしくスポーティに演出するとともに、SUVとしての力強さをも両立したデザインは、アグレッシブさも際立たっていて、なかなか魅力的だ。

ピラーガーニッシュは3万5000円、ウイングサイドガーニッシュは1万6000円、アンテナガーニッシュは1万2000円、バックドアガーニッシュは1万2000円