10/31に福のラジオおよび地底人ラジオで解禁された「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」の主題歌「心音」のフルバージョン.
今回も早速弾き語ってみました.
フルで聴くと,打ち込み主体の現代的なサウンドに乗せて普遍的な恋心が歌われていて,これまでのラブソングとは一味違った楽曲になっているように感じます.
やはりこの曲のボーカルは難しい….
全編通して優しい声色なのに,そこに様々な表情をつけなければならない,それに加えて音のアップダウンも大きい.
素人には到底歌いこなせない曲でした.
アルバムの映像特典で福山さんご本人はカポなしで弾いていましたが,諸々のフレーズの弾きやすさを優先して2カポで弾いています.
【心音に込められた”歌力”】
福山さんのファンになってかれこれ10年近くになります.
当初は,演奏や楽曲のアレンジのカッコよさに惹かれており,彼を評する言葉として「歌が上手い」が真っ先に上がるアーティストではないと思っていました.しかし,福山さんの歌唱力は年々磨かれ,デビュー30周年を迎えた今,いっそう円熟味を増しているように思います.
”心音”は「クルーナー唱法 (優しく語りかけるような歌い方)」を用いて歌われているとラジオで述べられていました.これは福山さん自身にとって全く新しい挑戦というわけではなかったと思います.普段の会話のときから息が多めで深い発声をする福山さん.バラードでは今回と似たような歌い方をよくされています (e.g. Squall,milk tea,最愛 etc…).特に9thアルバム”残響”リリース時には,最愛を歌うにあたって「あっさりと歌うことを意識した」というインタビューもありました.”Dear”のように歌い上げるバラードと,一つひとつ言葉を置くように歌うバラードは明確に区別されていると思います.では,今回なぜわざわざ歌い方について取り上げたのか.それは,今回の”心音”は,先述のどちらにも当てはまらない「進化した福山雅治」が垣間見えるからです.
”心音”の特徴はやはりソフトな声で,ささやくような歌い方.ここに今回加えられたのが歌声の「表情」です.一見単調な歌い方に聴こえるのに,しっかりと声に感情が乗せられていて,張り上げて盛り上げる歌い方ではないのに気持ちが惹きつけられる,とても魅力的な歌声です.1曲の中で,実に表情豊かな歌声を聞かせてくれます.
頭サビの「好きになってたんだって」では,声のリリースポイントを普段より後ろに持っていき,少しこもった「泣き」の声.1Aの「誰にも邪魔させない」の「だれにも」は,エッジをかけてしゃくり上げるいつもの福山節ながらも,息が多めで色気を感じます.
感情を落ち着けていた1番と比較して,2Aの「変えられないって思ってた」「揺れるこの心音」では少し強めの福山節が顔を出します.バックトラックが落ち着きを見せているところなので,ボーカルが際立ちますね.2サビの「自分らしさに」の最後にかかる細かいビブラートが実に素晴らしい (けど真似は難しい).
Cメロはバックトラックの曲調も変わり,ボーカルも拍が強調された歌い方に.「二度と逢えなくても」の「逢えなha」と息を漏らす感じが,切なく儚げでこの曲の雰囲気を作っています.
極めつけは大サビ,ここにこの曲のすべてが,そして今の福山雅治の歌力のすべてが詰まっていると言っても過言ではないでしょう.「恋なんてしないって」のリズムが頭サビと変わっています.より日本語の音節に近くなって,主人公のつぶやきのように聴こえます.それに続くエッジを効かせた「決めてたんだよ」「言えないんだよ」.この連続にはやられました.優しいと儚いが交互に押し寄せてくるこの感じ,決して歌い上げているわけではないのに,確実に歌の世界観に引き込まれる歌声.圧倒されました.
今までの楽曲は,まずアレンジや演奏についてコメントしたくなることがほとんどでしたが,”心音”を語るなら絶対にボーカルからだと,初めて聴いたときから思っていました.個人的に”心音”は楽曲単体としての出来も,近年トップクラスだと思います.しかし,それをここまで素晴らしいものにしたのは,この確かな歌唱力によるボーカルの説得力があってこそだと感じました.これはリリース時には是非とも,良い音源で,良い環境で聴きたいものです.
