12月12日に名古屋鉄道が急きょ発表した、名駅周辺の再開発スケジュールの変更。解体工事が延期となった名鉄百貨店は閉店セールの真っただ中ですが、買い物客の反応は?

「当初予定していた2026年度中の解体工事に、着手できない状況となりました。スケジュールをすべて『未定』に変更します」(名古屋鉄道 高崎裕樹 社長)

 名古屋駅周辺に高さ約170mのビル2棟を建設するとしていた再開発計画。

 商業施設や最高級ホテル「アンダーズ」が入る予定で、対象区域は2026年度から解体、2027年度に着工し、2033年度にはほぼ完成する見通しでした。

「計画を白紙にするわけではなく、計画の再検証と見直しに着手するというもの」(高崎社長)

名鉄百貨店は予定通り閉店、多くの惜しむ声

 2026年2月末の営業終了が決まっている名鉄百貨店。

 週明けの15日も朝から閉店セールで賑わっていました。

 解体工事の着手のめども決まっていませんが、予定通り閉店するということです。

 11月下旬に設置されたメッセージボードには、「閉店を先送りにしてほしい」という声も。

「閉店して、そのあと“白紙”になっているなら、可能であれば続けてほしい」(客)

「『名鉄百貨店行こう』がお出かけの合言葉でした。残念ですね。これからどうしようかな」(客)

 閉店を惜しむ声は、すでに3000枚以上集まっています。

 カードはもともと2000枚しか用意しておらず、急きょ2万枚ほど追加することになりました。

「『名鉄百貨店ついに閉店するんだね』とか、『なくなっちゃうんだ、寂しい』と言ってくれるお客さんが非常に多くて、名鉄百貨店をこれまでご愛顧いただいたお客さんがたくさんいることを改めて実感した」(名鉄百貨店 広報 上村嘉臣さん)

名鉄「営業できる施設は継続」

 一方、同じように営業終了が決まっていた名鉄バスセンターや名鉄グランドホテルの終了時期はいったん「未定」に。

 名鉄は、営業できる施設は継続するとしています。

 名鉄バスセンターは11月29日に「59年間ありがとうイベント」を開催したばかりでした。

「大学生活のうちに、再開発したところで楽しみたかった。もうちょっと計画性を持ってやってほしかった」(大学生)

「再開発するって、いろんなところやリニアも盛り上がっているけど、どうなるか。名駅に来ても寂しいなって感じになると思う」(名古屋市民)

再開発計画の遅れは岐阜市でも

 再開発計画の遅れは、ほかにも。

 JR岐阜駅の北側で2028年に完成予定だったツインタワー。

 予定地では一部で解体工事が始まっているものの、テナントが撤退したままの複数のビルが残されています。

 当初の計画では、JR岐阜駅北側の金華橋通りを挟み、34階建て130mの高層ビル2棟を2028年に完成させる予定でした。

 しかし今年2月、市と再開発組合は建設費の高騰などを理由に計画の見直しを発表。

 ビルの完成時期をそれぞれ2029年と2030年に遅らせ、高さも32階と20階程度に縮小する見通しです。

 街の人は――。

「そんなに建物、箱モノを作るんだったら、毎日の生活の必需品をもっと整備してほしい」(70代)

「この界隈(岐阜駅前)が結構いいから、ツインタワーができたらさらにいいなと」(80代)

専門家「マイナスの影響は出てくる」

 再開発計画で相次ぐ遅れ。当初の想定に「甘さ」はなかったのでしょうか。

「3年前くらいからインフレ基調がしっかりとしたものになって、人件費や建築資材の高騰が想定以上だったということもあるし、その辺りの見通しもやや甘めに見ていた」(中京大学 経済学部 内田俊宏 客員教授)

 名駅地区のにぎわいや、今後の再開発に与える影響は?

「リニアの開業に計画が間に合うか微妙になってくることで、名古屋の玄関口としての開発の遅れは、東京や大阪といった交流人口の流入や、若者の吸引力とかインバウンドの取り込みでもマイナスの影響は出てくる」(内田客員教授)

再開発計画の見直しは全国でも…

 再開発計画の見直しは、各地でも発表されています。

 東京では「中野サンプラザ」の跡地の再開発が事実上の“白紙”に。
 今年6月には、再開発事業者との協定も「解除」したということです。
 原因は事業費の上昇。900億円不足していると言います。

 また大阪では、「大阪ガスビルディング」のリノベーション計画について、去年の着工を予定していましたが、現在は「着工時期の延期」が発表されています。
 こちらも原因は、建設資材の高騰だということです。

 そして福岡県では、JR九州が2019年3月から進めていた博多駅の線路上空を活用する「博多駅空中都市プロジェクト」計画の「中止」を発表しました。
 原因は工事費高騰の影響だということです。

 中京大学の内田客員教授は「建築資材の高騰は円安が続く限り継続するし、人件費の高騰もこれからさらに加速する可能性が高い。より大規模な計画ほど難しくなる時代だと思う」としています。