昨年の菊花賞馬アーバンシック。(Photo by Shuhei Okada)

歴史的に強い欧州勢が充実の布陣、アーバンシックも引けを取らず上位拮抗

今年の香港国際競走は香港マイルが混戦の下馬評だが、この香港ヴァーズも上位勢が拮抗して優勝候補は五指に余る。連覇を狙うジアヴェロットら充実した布陣の欧州勢が中心も、アーバンシックも引けは取らずチャンスは十分にある。

香港ヴァーズは歴史的に地元勢が手薄で欧州勢が強く、近年は日本勢が割って入る形になっているが、その傾向は今年も変わらない。しかも、今年の欧州勢はG1ホースが5頭と昨年に増して強力。これにアーバンシックを加えた6頭のうち、どの馬が勝っても不思議のない構図になっている。

ジアヴェロットは今季4戦でG1は未勝利だが、シーズンの大目標に香港ヴァーズを据えており勝負度合いは欧州勢で随一。春を2戦で終わらせて迎えた今秋は復帰戦のG3セプテンバーSで凱旋門賞の前売り1番人気だったカルパナを完封し、道悪なら回避と条件をつけていた凱旋門賞にも挑んで4着と望外の結果を残した。2戦の内容に目下の充実ぶりが見て取れ、順調に来た今回は上位争い必至と思える。

このジアヴェロットに対し、ソジーの実績と勢いは互角以上。今年は4月にガネー賞、5月にイスパーン賞とG1連勝し、前走の凱旋門賞ではアタマ差ながらジアヴェロットに先着した。良績がパリロンシャン競馬場に偏っており、初めて国外に出た7月のエクリプスSで見せ場なく敗れた点に死角も見えるが、2023年のジュンコなど香港ヴァーズを2勝しているA.ファーブル調教師の管理馬でもあり軽視はできない。

アルリファーはガネー賞でソジーの瞬発力に完敗したが、その後に長距離路線に転じて一旗あげた。ガネー賞ではソジーに置き去りにされる格好になったものの、自身は止まることなく巻き返しにいっており、当時から300mの距離延長で差が縮まる可能性は十分。遠征実績がないソジーに対し、前走の豪州など7カ国でのレース経験は群を抜いており、それらを合わせて逆転も狙えるだろう。



香港ヴァーズ連覇がかかるジアヴェロット。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

A.オブライエン厩舎のロスアンゼルスは今回が引退レース。今年はタタソールズゴールドCなど2連勝でスタートしたものの、その後は勝ちあぐねて前走の凱旋門賞で最下位の17着に惨敗した。ただ、内側しか伸びない馬場状態で馬群の外に置かれ続けた影響はあったはず。オブライエン師は香港でなかなか勝てなかったが、2015年の香港ヴァーズ(ハイランドリール)で初勝利を記録してから、このレースだけで3勝を積み上げている。ロスアンゼルスに適性ありと見たなら、負けすぎの前走を度外視する必要も。

ゴリアットは昨年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを快勝し、ジャパンCでも見せ場を作るなど実力は確か。しかし、今年は初戦の香港(クイーンエリザベス2世C)で9着に大敗すると、サンクルー大賞では最下位、そして前走のBCターフも11着に沈んだ。その間にバーデン大賞など2勝しているものの、今回と比較して相手関係は格段に薄く、再び香港に戻ってきてキングジョージのような走りを再現できるか。

欧州のもう1頭、エイドンは明らかに格下で、前走はイタリアでG2勝ちもキャンターのようなスローペースを利しての逃げ切り。前々走は英国のリステッドで4着ながら大きく離されており、この相手関係では苦しいだろう。

強力な欧州勢に単騎で臨むアーバンシックにも勝機はあるはず。昨年の香港ヴァーズではステレンボッシュがかなり負荷の高いレースをしながらジアヴェロットの3着に粘った。3馬身半差をつけられたが、早めの進出でアシストしてしまった面もある。同世代で接戦を演じてきたダノンデサイルはドバイでジアヴェロットを問題にしておらず、そうした関係からアーバンシックの力が劣っているとは考えにくい。ゲートに課題があるだけに、ある程度の位置で流れに乗れれば菊花賞以来の白星が見えてくる。

(渡部浩明)