(CNN) 鮮やかな緑色の目と細身の体格を特徴とするガルパーシャークは、先史時代から数百万年にわたり生息している。世界中の水深200~1500メートルの海域に生息しているが、その生態についてはいまだ多くの謎が残されている。

しかし今、ガルパーシャークは4分の3が絶滅の危機にひんしている。その理由は肝油を標的とした乱獲だ。肝油には、抗酸化作用と保湿作用を持つスクアレンと呼ばれる化合物が豊富に含まれており、化粧品によく用いられる。国際動物福祉基金(IFAW)によると、サメの肝油は、化粧品、日焼け止めから、ニコチンパッチ、痔(じ)の治療薬まで、幅広い製品に使用されている。

国際取引に対する新たな保護規制は、この種に希望をもたらす可能性がある。今月24日から12月5日にかけてウズベキスタン・サマルカンドで開かれている、絶滅のおそれがある希少種の国際取引を規制するワシントン条約(CITES)の第20回締約国会議には数千人の科学者、自然保護活動家、弁護士、貿易専門家が集結し、27日の会議ではすべてのガルパーシャークをCITES付属書IIに掲載する提案が議論された。このリストは、該当種の越境取引を規制し、監視を強化するためのものだ。

2024年にサイエンス誌に掲載された、深海に生息する521種のサメとエイの状況を調査した研究によると、絶滅危惧種の深海ザメの約3分の2が肝油製品に利用されていることが明らかになった。中でもガルパーシャークは、肝油に含まれるスクアレンがサメ科の中で最も高い70%以上であることから、特に重宝されている。その結果、一部地域ではガルパーシャークの個体数が80%あまり激減した。

IFAWの政策担当シニアディレクター、マット・コリス氏は、こうした個体数の減少は過去20~30年の間に起きたと説明する。これはとりわけガルパーシャークの肝油の価値が理解されたことに加え、漁業の高度化が進み、深海ザメを狙いやすくなったことが大きいという。

このような大幅な個体数の減少は、成熟に時間がかかり繁殖率も低いガルパーシャークにとって壊滅的な打撃になりうる。ガルパーシャークはオーストラリアで深刻な乱獲に見舞われており、元の個体数のわずか25%を回復するのに86年かかるという科学的推計もあるほどだ。

数百万ドル規模の産業

肝油に含まれるスクアレンが高濃度であることからガルパーシャークは乱獲されている/Courtesy IFAW
肝油に含まれるスクアレンが高濃度であることからガルパーシャークは乱獲されている/Courtesy IFAW

深海ザメは数百万ドル規模の産業にさらされている。市場調査会社グランド・ビュー・リサーチによると、スクアレンの推計世界市場規模は2023年に1億5000万ドル(約234億円)。その80%は主にオリーブオイルなどの植物由来だが、1トンのスクアレンを抽出するのに必要なサメの数は約3000匹に上ると同社は指摘する。サメ肝油の年間取引量に関するデータは限られているが、12年の世界需要は推計約2000トンだ。

スクアレンの最大の消費者は化粧品・パーソナルケア業界で、売上高シェアの70%超を占める。ロレアルやユニリーバなど一部の企業は08年にサメ肝油の使用を中止し、植物由来に切り替えるとしたが、その他の企業は使用を続けている。フランスの海洋保護団体ブルームが15年に実施した世界規模の調査によると、72種類の保湿クリームをテストした結果、20%にサメ由来のスクアレンが含まれていた。該当するクリームはアジアのブランドのものが多くあったという。