今年の米株式市場の上昇相場は既に終わりを迎えつつあるのではないか、との懸念がトレーダーの間で広がっている。
S&P500種株価指数は6月以来最大の週間変動幅を記録した。エヌビディアの好決算や、人工知能(AI)はバブルではないとのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)の説明も、市場の不安を和らげるには至らなかった。一方、ビットコインは先月に記録した最高値から約3分の1下落しており、米連邦準備制度の利下げペースを巡る懸念も広がっている。
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S&P500種は年初来でなお12%余り上昇しているものの、トレーダーは特にハイテク株を中心に利益を確定しようとする動きを強めている。ナスダック100指数に連動する上場投資信託(ETF)のインベスコQQQトラスト・シリーズ1(ティッカー:QQQ)上のオプションコストは、S&P500種株価指数に連動するETFのSPDR・S&P500ETFトラスト(同SPY)のコストに対し、2024年8月以来の高水準近辺で推移している。

テクノロジー株への不安が顕在化したのは20日だった。エヌビディアの決算を受けて序盤は急伸したものの、その後すぐに反転した。相場は4月8日の関税ショック時以来となる大きな値幅を記録し、米国株の恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は同月以来の高水準で取引を終えた。
短期オプション市場で活発に取引するヘッジファンド、オラクラム・キャピタルのブク・ブコビッチ最高投資責任者(CIO)は21日、「昨日の高値圏でプットを買った人は、今日もう引退できる」と、冗談交じりに語った。20日のような市場ストレスの場面は「われわれには好機だ」と述べ、「ボラティリティーを買っていて、それが急上昇した場合が最もリターンを得られる」と説明した。
ブコビッチ氏によると、オプションの売り手が市場に戻ったのは21日になってからで、それによりVIXは低下したという。同氏は、クリスマス前に再びボラティリティーが圧縮に向かうとみる一方、年末までにもう一度上昇局面があると予想している。
調査会社アシム500の創業者、ロッキー・フィッシュマン氏は、予想変動率と実現変動率の差であるボラティリティー・リスク・プレミアムが引き続き比較的高水準にあると指摘した。フィッシュマン氏は顧客向けリポートで、6カ月物VIXが6カ月物S&P500実現ボラティリティーに対して、これほど高いプレミアムを示すことはほとんどないとコメントした。

ステファノ・パスカーレ氏らバークレイズの株式デリバティブ戦略チームは、今回の下落について「比較的限定的」とする一方、堅調な経済環境や特に大型ハイテク企業の好調な決算を踏まえると「やや不可解だ」と分析した。同社は先週のリポートで、AIバブルへの懸念や個人投資家の強気心理の後退が売りを引き起こしたと結論づけ、設備投資を巡る懸念を指摘している。
今回のハイテク株の下落は、ビットコイン急落と時期を同じくした。ビットコインのナスダック100指数との連動性は過去数週間で高まっている。
ブコビッチ氏は、ナスダック100指数の日次運用実績の3倍に連動する投資成果を目指すプロシェアーズ・ウルトラプロQQQ(ティッカー:TQQQ)のようなETFに言及して、「レバレッジ型ナスダックとの相関は非常に高い」と述べた。同氏によれば、ウォール街のオプショントレーダーは現在、ビットコインを市場の変動に対するヘッジ手段ではなく、純粋なリスク資産と見なしている。

QQQと同様に下落リスクへのヘッジコストを示すプット・スキューは、iシェアーズ・ビットコイン・トラストETF(同IBIT)でも上昇しており、投資家がさらなる下落を警戒していることを示している。このETFは今年に入り276億ドル(約4兆3300億円)超の資金流入があった一方、11月には約22億ドルの資金流出となっている。
21日にはある投資家がこのETFの52ドルのコール(買う権利)を売却して賄った資金で43ドルのプット(売る権利)を購入する取引を行った。これは、4月初めの安値を下回るビットコイン下落に備えるヘッジポジションだ。いわゆるリスクリバーサル取引であり、今後4週間でIBITがさらに9%下落した場合、トレーダーは1000万口を売却できる一方、反発局面では売り持ちリスクを抱えることになる。

先週末にかけては、一部のトレーダーがボラティリティー上昇への賭けを利益確定する動きを示した。これは大きな値動きの後によく見られる展開だ。市場関係者によると、20、21両日にVIXの12月限25/30コールスプレッドが25万枚余り売却された。建玉データから判断すると、これらの取引は11月初めに構築されたポジションの手じまいと見受けられる。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストだったフィッシュマン氏はインタビューで、「投資家がヘッジの換金を急いでいるとは言えない。そうでなければ、これほど大きなボラティリティー・リスク・プレミアムは存在しない」とした上で、「ヘッジを利益確定している投資家がいる一方で、同時により多くのプロテクションを取っている人々もいると思う」と語った。
原題:Options Market Signals Growing Anxiety After Week of Wild Swings(抜粋)
