
10月20日、日銀の高田創審議委員は、広島市で行った講演で、国内の動向を見る限り、すでに物価安定目標の実現は「おおむね達成した局面」にあると述べた。写真は2024年3月、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[20日 ロイター] – 日銀の高田創審議委員は20日、広島市で行った講演で、国内の動向を見る限り、すでに物価安定目標の実現は「おおむね達成した局面」にあると述べた。その上で、9月の金融政策決定会合では、利上げに向けて「機が熟した」と判断したと説明した。
高田委員は9月の決定会合で利上げを提案した政策委員の1人。講演で利上げ提案に至った背景を説明した。
米国の関税政策が米国をはじめとする海外経済に及ぼす影響を注視してきたが「当初抱いた不安は低下した」と指摘。相互関税の影響で、米国では物価が上昇して内需が落ち込むと想定したが「実際の影響は今のところ限られている」と述べた。その上で、国内では堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認され、9月に関税率が15%で確定する中、警戒モードを解除する段階に至ったと判断したと話した。
高田委員は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ再開で為替市場が大きく変動するリスクに警戒してきた。しかし、今回のFRBの利下げの理由は米国の景気後退ではなく「あくまでもリスク管理的なもの」であり、米経済の底堅さは続き、FRBの利下げ後も米国の長期金利は底入れし「為替も円高は回避されている」と指摘。歴史的に日米欧の金融政策は連動を繰り返してきたが、今回は過去の事例とは異なり、「日本の利上げの制約にはならない」と述べた。
また、日本で長く続いてきた賃金も物価も伸び率がゼロ%の状況が続くノルム(社会的規範)が転換したと強調。海外要因による制約が低下する中、「今後、物価上昇要因が生じた場合、日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」と警戒感を示した。その上で、もう一段の政策調整を行いつつ、物価目標の実現がおおむね達成していることを前提にしたコミュニケーションが必要だと述べた。
高田委員は、異次元緩和で膨張した日銀のバランスシートの正常化に当たり、慎重な対応を求めた。国債買い入れの減額については、減額を通じて過去対比で「有数の市中への大量国債供給局面」が生じるとして「市場機能を円滑に保つ観点からも、そのプロセスは慎重かつ時間をかけた対応も必要」と述べた。9月会合で決めた上場投資信託(ETF)の売却についても、市場にかく乱的な影響が及ばないよう慎重な対応も必要だと話した。
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