キンティッシュは「Spotifyで聴くと、どうしてもダイナミクスが死んでしまうんですよね」と苦笑しつつも、AirPods Maxの「滑らかでバランスの取れた音」を楽しんだ。Soundcoreとの比較では「奥行きではやや劣るけれど、ボーカルはよりクリアです」と分析。2回目の試聴ではさらに印象が良くなり、「ドラムはしっかりパンチがあるのに、ボーカルを邪魔していません」と評価した。

一方のマルジアーノは、「専門的な言葉ではないですが、これはいちばん退屈に感じます」と率直に語る。「A(ソニー)ほどクリーンでもなく、B(Soundcore)ほど派手でもない。とはいえ、その“中間”が必ずしもちょうどいいわけじゃなくて、音場は狭く、中域に寄った印象ですね」

D: ボーズ「QuietComfort Ultra(第1世代)」

アクティブノイズキャンセリングを発明したボーズ(BOSE)のフラッグシップモデル、「QuietComfort Ultra(第1世代)」。価格は現在、4万円台で販売されているものが多い。2023年の登場以来ベストセラーとなり、『WIRED』を含め数々の「ベストヘッドフォン」リストの常連だ。優れた音質と業界トップのノイズキャンセリング性能が評価されている。最近では、さらに強化されたANC、バッテリー改善、有線USB-Cオーディオ対応などのアップデートも加わっているが、全体的な音の傾向はほぼ変わっていない。

テスト結果は賛否両論だった。グレースフィールドは「低音が誇張されすぎてリードボーカルの存在感が失われています。高域の強調もありますが、それがディテールにはつながらず、むしろ性能の低さをごまかしているように感じます」と辛口の評価。

一方、ランブデンは「ハイハットがはっきり聴こえます」とディテールを評価しつつも、高域に関しては C(アップル)や B(Soundcore)には及ばないと感じたという。それでも「A(ソニー)と比べるとバランスが取れていて、特に低音では明らかに優れています」と結論づけた。

音のプロ4人が6機種のヘッドフォンを“目隠しテスト”で聴き比べ。その意外な結果とは?

PHOTOGRAPH: Harry Hall

キンティッシュは「ほかのモデルはもっと音場が広がっていますが、こちらはすべてが中央に寄っていて、サウンドステージが狭く感じます。特に A、B、C のほうがステレオ感はずっと強かったです」と述べた。

マルジアーノは「まるで電話のフィルターやEQがかかっているみたいです」とし、「どう評価すればいいか迷いますね。E(Nothing)ほど嫌いではないですが、特にワクワクする要素もないです」とコメントした。

E: Nothing「Headphone (1)」

KEFと共同でチューニングされた Nothing 初のオーバーイヤーヘッドフォン「Headphone (1)」。ANC、LDAC を含む高音質Bluetoothコーデック対応、USB-C ロスレス再生、最大80時間のバッテリー、カスタムEQ、ひと目でNothingとわかる独創的なデザインを備えている。『WIRED』を含む多くのレビューで高く評価され、とりわけインダストリアルな造形美と多機能さが注目を集めている。価格は39,800円だ。

「子どものころ、親のラジオプレーヤーでグラフィックイコライザーをいじりまくったのを思い出します」とマルジアーノ。「このヘッドフォンはまさにそれです。EQをあちこちいじって『これを上げたら楽しいかも』と試しているような、派手で誇張されたサウンドです」と述べた。