大手生保4社の国内債券含み損が6月末時点で計9兆8381億円と3月末から1兆2930億円増えたことが分かった。保有する超長期の日本国債の利回り急上昇(価格は急落)が影響した。

  各社が8日までに2025年4-6月期(第1四半期)の決算資料で開示した。含み損の額は日本生命保険が4兆1637億円、第一生命保険が2兆4622億円、住友生命保険が1兆7103億円、明治安田生命保険が1兆5019億円だった。

  4社それぞれで増加した。日本生命は5681億円、第一生命で4170億円だった。各社は低金利の時に購入した債券の入れ替えを進めている。

  米トランプ政権の関税措置や日本銀行の国債買い入れ縮小の動きを巡り、生保が主な投資対象とする30年債などの利回りが4月以降に急上昇する中、含み損が膨らんだ。減損処理のリスクを高めたり、機動的な運用を妨げたりする可能性もある。同四半期は市場変動も大きく大手生保の運用状況に関心が高まっていた。

  第一生命の説明資料によると、円金利が上昇する中、前倒しで債券売却を行った結果、損失約433億円を計上した。一方で、円債の入れ替えを進めたことで、保有する債券の利回り上昇を見込んでいる。さらなる金利上昇局面では資産配分の変更も含め機動的な運用を検討しているという。

  SMBC日興証券の村木正雄シニアアナリストは、生保が「含み損を抱えること自体に問題はない」と指摘。ただ、金利の上昇局面で既存契約に一定の解約が発生すれば、含み損を抱えた長期・超長期国債を売却し、損失を計上する可能性があると述べた。

  ソニーフィナンシャルグループでは、7月末までの金利上昇を受け、傘下のソニー生命保険での大量解約リスクの増加に伴う会計上の負債計上を今期(26年3月期)予想に織り込んだ。

  ソニー生命の6月末時点の国内債の含み損は1兆6262億円と3月末比約2600億円増えた。第1四半期は債券売却などに伴い845億円の有価証券売却損を計上し、純損益は460億円の赤字となった。広報担当者によると、今期は通期で黒字を見込んでいるという。

金利上昇メリット

  金利上昇は保険商品のほか、銀行や証券会社が提供する高利回りの金融商品の魅力拡大にもつながり、生命保険の既契約者の解約・乗り換えを誘発する面もある。生保各社は顧客が金利変動のリスクを負担しつつ、メリットを受けることのできる新商品を投入し始めている。

  明治安田は4月、13年ぶりに円建ての一時払い養老保険を発売した。市場金利の動きに合わせて解約時の返戻金額が増減する仕組みとする一方で、顧客は金利変動リスクを認識しながら、従来商品より高い利回りを得ることが可能となる。

(8段落目のソニー生命の有価証券売却損を国際会計基準から日本会計基準の金額に差し替えて記事を更新します)