オーストラリア準備銀行(中央銀行)が8日に発表した政策金利の据え置き決定は、利下げを織り込んでいた金融市場に衝撃を与えた。豪ドルは急騰し、国債価格は急落した。

  中東での紛争や米国による貿易戦争が世界の信頼感を揺るがす中、豪中銀当局者は決定に至るまでの7週間に沈黙を保っていた。インフレ率は豪中銀が掲げる2-3%の目標レンジ内にとどまり、労働市場も堅調を維持していたものの、国内の経済データが大きく下振れしたことも重なり、短期金融市場では利下げ観測に傾いていた。

  そうした中での想定外の金利据え置き決定で市場は混乱し、ブロック豪中銀総裁と理事会の「沈黙」に対する批判の声が強まった。情報発信の改善に向けた広範囲な取り組みを打ち出していたにもかかわらず、市場の羅針盤を失わせたとの指摘が出ている。

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  同中銀の昨年の運営改革以降、政策会合前の当局者の発言機会が大幅に減少し、市場の見通しを誘導する機会が減っており、会合後の記者会見などを通じた説明に重点が置かれている。

  元豪中銀総裁補で、現在はウエストパック銀行のチーフエコノミストを務めるルシ・エリス氏は、豪中銀の決定が市場の織り込みを覆すような事態は「より常態化するだろう」と指摘。政策会合の合間に行われる講演は減っており、あっても「市場価格を誘導することにならない可能性もある」とした。

RBA Governor Michele Bullock Post-Rate Decision News Conference

記者会見するオーストラリア準備銀行のブロック総裁(シドニー、7月8日)

Photographer: Brent Lewin/Bloomberg

  ブロック総裁は政策決定後の記者会見でこうした批判に対し、「情報発信戦略が失敗しているとは思わない」と強調。利下げを期待していた家計を裏切ったかどうか問われた際には、「裏切りとは、インフレを制御不能にさせることだ」と答えた。

  今回の金利据え置きは、新しい金融政策委員会での6対3の多数決によって決まったもので、独立性の高さを示すものだとブロック氏は指摘。「決定がまだ下されていない段階で、市場に対して『決定はこうなるかもしれない』と示唆することはできない」と述べた。

  豪中銀で国内市場責任者を務めた経歴を持つチャレンジャーのチーフエコノミスト、ジョナサン・カーンズ氏は政策委メンバーの間で意見が割れる可能性がある以上、「総裁は会合ごとに政策に関する確固たるガイダンスを示すことはできなくなるだろう」と語った。

RBA Decision to Hold Blindsided Rates Traders | Swaps forced to recalibrate in contrast to April pause impact

 

 

原題:Australia Rate Shock Puts RBA’s Radio Silence Under Scrutiny (2)(抜粋)