ニデック創業者の永守重信グローバルグループ代表は20日、企業活動を巡る社会の目が厳しさを増す中で、コンプライアンス(法令遵守)を経営の最優先事項と捉え、社内でも周知徹底していると明らかにした。

  永守氏は「世界のニデックとして戦っていくためには正しいことを一番にやる」必要があるとした上で、コンプライアンスの徹底が最も重要で「従業員に教えている」と述べた。ニデックは18日、有価証券報告書の提出が遅れることを明らかにしていた。イタリアの子会社で取引上の問題が明らかになり、監査報告書を得られていないためだ。

Nidec Corp. CEO Shigenobu Nagamori Attends Earnings Announcement

永守氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  永守氏は、企業として「超一流」になることを目指すためにはコストがかかっても「社会貢献しなければいけない」とも述べ、これらを利益より優先させるべきだとの考えも示した。

  1973年にニデックを創業した永守氏は「一番以外はビリ」と説き、早朝から夜中まで働き、休みは元日の午前中だけといった猛烈な働きぶりで急成長をけん引したことで知られる。ハードワークと株価至上主義が代名詞とも言われた同氏の方針転換は、ワークライフバランスを重視し、労働者などの権利を保護する方向へかじを切った日本企業の着実な変化を示している。

  一方、工作機械メーカーの牧野フライス製作所への株式公開買い付け(TOB)を最終的に撤回したことについて永守氏は「絶対買うと思えば買えた」が、そういう考えは持っていなかったと振り返り、国内での同意なき買収に対する風当たりの強さに苦言も呈した。

  永守氏はTOBを決めた時点でやめる条件を決めていたといい、「無理やりでも買うという状況」ではなかったと述べた。牧野フの対抗策差し止めを求めたニデックの仮処分申立を却下した東京地裁の判決を受け、「10秒以内に」撤回を決めたという。また、1円でも高い対抗案が出ればやめるつもりだったことも明かした。

  今回のTOBを通じて「日本のマーケットでは私のようなやり方はまだ通用しない」と痛感したという。岸田光哉社長も総会後の会見で、国内では同意なき買収は時期尚早だったと学んだ一方で「世界で取り組むM&Aの戦略には何ら変更がない」と強調した。 

  ニデック株は足元で3000円を切る水準まで落ち込んでおり、総会では、株主からは株価に関する質問が相次いだ。岸田氏は株価を決める要素の一つとして継続性を挙げ、中期で掲げる目標を達成し続けていくことが「株価貢献の近道になる」と述べた。永守氏は株価は山谷があるものだとして「短期で考えられない方がいい。待てば待つほどリターンが大きい」と話した。