【あんぱん】11週ネタバレ、「兄貴、行ってまいります」千尋の出撃前夜…兄弟が交わした涙の本音
1942年夏照り付ける日差しの中は小倉 連帯に到着しました配属されたのは神の 満ゾ軍曹が引きる内務班そこには容赦の ない起立と理不尽な指導そして暴力が 待ち受けていました木の床はピカピカに 磨き上げられ空気には汗と消毒液の匂いが 混じっていますは緊張したお文字で荷物を 下ろしそっと詰め込んでいた一の刺繍を 取り出そうとしましたその時背後から声が 飛びますやないなんだこれは歩兵のバ場が たしの荷物の中を勝手に探り手に取ったの はイ伏の刺繍でしたイの刺繍ですかれる ような声で答えた志にババは鼻で笑い ながら言い放ちます こんなものここでは必要ないそう言ってバ は刺繍を力任せに破りページを床に散らし ました破られた紙辺が舞い落ちる様子を 高志は呆然と見つめるしかありませんでし た その場の空気を変えたのは静かに近づいて きた上頭平ヤ之助ですヤギは落ち着いた 口調でバ場に声をかけましたそのぐらいに しておけババは睨み返そうとしましたが ヤギの目の奥にある静かな威圧に押されて 何も言わずに引き下がりましたヤギは床に 落ちた刺繍の破片をちらりと見てからの方 を巻きます よい今夜から軍人直意を覚えろはいその 言葉にたしは頷きます夜の泊りが降りると 弊社の中には静寂が広がりました遠くで虫 の根がかかに響き時折り誰かの根返りの音 や布団が擦すれる音だけが聞こえてきます たしは隅の寝台に座り薄暗らいやりの元で 軍人直由の髪を握りしめていました目は こらして文字を覆いますがまるで頭に入っ てきません言葉の1つ1つが乾いた土の上 にこぼれる水のように消えていきます 天皇陛下のえっと抽説を尽くしいや違う えっとつぶやきながら髪を何度も めくり直しますが内容はぼやけるばかり でした額体には汗がにみ制服の襟りが肌に 張り付いて不快ですふと心に浮かんだのは 出世の朝にが言ってくれた言葉でした お母さんのために もその一言がたしの胸の奥で何度も反響し ましたあの時ののぶの真剣なマ差し強がり を言いながらも涙をこらえていた様子忘れ られません変わりたいな本当はだけど 声にならないつぶやきが暗い天井へと消え ていきますけれど帰りたいと願えば願う ほど生きて帰れる自信が遠いていくように 思えました 誰にも聞こえないように高しは肩をすぼめ て小さく息を吐きます背中を丸め髪を 見つべながら心の中では何度も問いかけて いました本当に帰れるのだろうか じめじめと湿めった空気が弊社の隅々に まで染み込んでいました殿の午後お苦しい 注目が流れる中突然怒鳴り声が響き渡り ますおい河田の戦闘棒がねえぞバが怒鳴り ながら周囲を睨みつけると河田は俯いた まま立ち尽くしていますさっきまではあっ たんですがこいつの戦闘棒が盗まれた今 からお前たちの持ち物を検査するバは命令 すると同時に信頼を1つ1つ乱暴にめくり 始めます緊張が走る中たしの信頼から 黒ずんだ戦闘棒がひょっこりと現れました ここは誰の信頼だバが声を低くして 問いかけますたしは息を飲みながら答え ました自分でありますお前が盗んだのか 違いますたしの否定もしく次の瞬間ババの 拳が鋭く頬を打ちました衝撃で体がよめき 唇の端から血が滲みますそこへ廊下の奥 から思い足音が近づいてきました 何事だ声をあげたのは新之助上頭編バは口 を尖らせながら振り返りましたこいつが 河田の戦闘部を盗んで隠しておりましてヤ は高志の前に立ちじっと目を見つめると 突然胸ぐを掴み上げました つ岡その一言にた志はただ無言で頷き山羊 の背中についていきます弊の裏手にある 物星場まで来ると山羊は足を止め振り返り ました静まり返った空気の中ヤギの言葉は 重く響きますお前はセ地まで持たないかも しれんな絶望して便所か裏庭で首を釣 るってことだそういう神兵を何人も見てき た 言葉を途切れさせたヤギはた志の目を じっと見据えました軍人直意は覚えたが たしは唇をかに振わせながら答えました 懸命に覚えていますが何しろ長く てその答えにヤギは一泊を置いて言い放ち ます朝までに暗記しておけはい風が草を 揺らし遠くから鳥の鳴き声がかに聞こえ ますた志の胸には冷たい不安だけが残り ました 雨上がりの午後湿気を含んだ風が弊社の窓 から入り込み重たい空気を一層 淀は配善を終えた後の殻の半合を手に水場 の裏手に足を運びますそこには慌たしくカ の前に立つ1人の男の背中が見えました けんちゃん振り返ったその顔にかつての 賑やかさは見当たりませんでした痩せた 頬天の定まらない目たしは一瞬言葉を失い ましたあんた誰ねんかれた声けれどその目 が見つめるうちに次第に懐かしい笑顔が 戻ってきますけんちゃん随分変わったね そりゃいくさ前やったら誰でも変わるっ ちゃろうもん勝てこうして顔は見て 話しよったらチートは戻ってくるっちゃん ね柳内君とあえてちょっと安心したば 湯の向こうで笑うけ太郎の声にたしも自然 と表情が緩みます 水場の虫厚さの中で買わされた言葉が一時 の救いとなりました ふとけ太郎は木の文字を鍋の縁に置き声を 落として言います のヤギって上頭兵なあの人ちょっと変わりもんやけんね変わりもんうん大学は出とって頭も切れるっちゃんね抜点幹部補正の試験は受けようとせんとよ自分から断りうるらしか鍋の蓋を開け湯気を浴びながら太郎はつりとけましたねと渋滞隊長にも一目置かれとるちゃん [音楽] [音楽] [音楽] 誰もあの人には要わんとよなんかこう普通 の軍人とはいと違う風馬しとるっちゃんね そうかヤのことを思い出すとあの鋭くも 冷静な目が脳りに浮かびました柳君気い つけれよ軍隊中とは人間のしずっちゃけ いろんなやつがいろんな顔しとるとよて やって人は柳内君が見てなんか感じ取っ たっちゃろうね蒸気の中で買わされた会話 は軍化の音よりも静かにしかし確かにたし の胸に染み込んでいきます セミの鳴き声が遠くから響く夏の午後弊社 の中はうだるような暑さに包まれていまし た た志が小倉連帯に入ってから3ヶ月の月日 が流れていますその顔つきは少し 引き締まり背筋も以前より自然と伸びてい ましたある朝内班の天呼が終わると兵たち の間にざつきが広がります中隊長島 千吉地位が視殺のためにやってきたのです 階級症の着いた軍服が朝の光を鋭く 跳ね返していました うん正頓はよしだがそれだけで軍は回らん 島はゆっくりと歩きながら兵たちの顔を順に見渡しました バ貴様軍人直へのご家過剰行ってみろ 名を呼ばれたバは急ぎ直立不動の姿勢を取りますは軍人は中説を尽くしえっと身を持ってあ軍気を守りしドロモドロになったバの声が次第に小さくなっていきます [音楽] なんだこ兵がいかんな島はババを冷たく 見下ろすとすぐま隣に立つたに目を移し ましたおいしぺお前はどうだ は飲みましたがすぐに一歩前へ出てします はい軍人は中説を尽くし礼儀を正しくし 武勇を尊飛び審議を文じ失素を胸と すの中にはっきりと通る声が響きます島位 はその場で立ち止まりたしの顔をしばし 見つめましたそしてやりと広角を上げます よく覚えている大したものだな反長にして 正解だったようだ周囲の兵たちがざつき何 人かはめくばせをかわしていましたあれ やっぱ焼のおかなんじゃないかあの 落ちこれが安長だぜしかしたはそれらの声 に反応することなく島位の前で直立した ままっすぐに前を見据えていました風が 開け放たれた窓から吹き込みたしの頬を そっと撫でていきます暑さの中にもどこか ひんやりとした埃りの感触が残りました 空がみ始めた頃弊社の一角でかないびきが 続いていますた志は畳んだ毛布にくるまっ たまま間んでいました夢の中で誰かの声が 遠く聞こえた気がしましたがそれが現実の だったとは思いもよりませんでした何をし ている貴様試験の日だぞドンと腹を蹴られ た衝撃での体がけ飛びます地べに手をつき 目を開けた時にはもう歯観の姿は遠ざかっ ていました全身に日汗が吹き出し心臓が 乱れう打つ包みのようになっています ししまった急いで群謀をかぶり足をもれ させながら中室へと向かいました 足音が廊下に響き渡る中胸の内は真っ白でした中隊調室の前に立つと扉の向こうから低く鋭い声が聞こえてきます 入れ ふを開けた瞬間た志は切を伸ばし声を振わせながら経しました夜内入室たします島吉地隊大隊は机越しに鋭く高を睨みつけていました [音楽] 目の奥に怒りが宿っているのが火を見るよりも明らかでした占いネスゴストはどういうことだ?戦場ならどうなると思っている [音楽] 申し訳ありませんた志は頭を下げますが島は言葉を遮げるように机を軽く叩きましたどうなるのかと聞いているその一言にたしは顔をあげ言葉を選びながらゆっくりと答えました [音楽] はい後はありません部屋に一瞬の静寂が 訪れました島はその答えを聞いてゆっくり と椅子にもたれかかりますそして声の調子 を少しだけ緩めました 試験はよくできていた の目がわずかに揺れます島は視線を外す ことなく続けました神の班長なお前にどう しても受けさせてやってほしいと申し出て きたその計合ってのことだ本来なら講守 合格の成績だが今回はお掴ん合格という ことにした言いると島は机の上の資料に目 を落としましたおめでとうたしは息を 整えるのに数秒を用しましたそして姿勢を 正し頭を深く下げましたありがとうござい ます その声はかかに震えていましたが確かに心 からの感謝がこもっていましたこうしてた は乙の幹部候補生としての第一方を 歩み出したのです部屋の外へ出た時朝の光 が窓から差し込みかかに希望の気配を運ん できました 夕暮れ時き空には赤色の雲がゆっくりと 広がっていました 弊車の影が長く伸び空気は次第に涼しさを 帯びていきますたはその日1日の訓練を 終え汗で湿った軍服のまま神の班長のいる 事務の裏へと足を運びました扉の隙間から 漏られる明りの中神野は机に向かい何やら 正面に書き込んでいますその背中に声を かけました 館長あの少しお時間をいただけますか 神野は手を止め眼鏡越しにちらりとしの顔 を見ましたあやないかどうした はく一例し言葉を慎重に選びながら口を 開きました この度は幹部高生の試験の件本当に ありがとうございましたまさか自分のよう なものは班長の力添えがなければ到底受け られなかった試験です 神奈はしばし沈黙しやがて小さく頷きまし た霊を言われる筋合いではない俺がした ことじゃないたしは潜め思わず問い返し ますどういうことでしょうか 神野は椅子にもたれ視線を天井の目へ向け ました山羊だよお前に試験を受けさせて やってくれって俺に頼んできた その言葉にたしは目を見開きましたヤ長兵 が神野は頷きながら机の上の茶碗を手に 取りますでもなぜそんなこと自分みたいな 落ちこぼれに たしの声は途中で小さく途切れました 自分でも理由が分からず胸のうちが 書き乱されていきます神は少し微笑みを 浮かべ静かに言いました理由なんて本人 しかわからんさだがなヤギってのは情けを かけても甘やかさないやつだ選んだのは 見込みがあったからだろうよ その言葉にたしはしばらく何も言えません でした夕やけの色が神の部屋の商人に じんわりと滲んでいきます胸の奥に言いの ない温かさが広がっていくのをた志はただ 感じていました 1944年夏セミの声が絶間なく泣き響く 中た志は5兆となっていました軍望の 久し越しに見る空はあの人は違う重みを 帯びて広がっています季節は巡り任務と 訓練に覆える日々が高志の表情を少しずつ 変えていましたある日郵便係かりから茶 ブートを手渡されたは見覚えのある筆跡に 息を飲みます柳内孝志殿のと丁寧に書かれ た文字その差し出し人は千ひでした ふを切ると懐かしい手のぬくもりを思わ せる整った文字が並んでいました 兄貴へ卒業が半年繰り上げになりこの度 海軍勝位として認間しました今は佐世ぼの 教育隊におります土曜日休暇が取れそう です兄貴といっぱいやりたい場所と時間は 追って知らせます会いたいです より手紙を読み終えた志はしばらくじっと その場に立ち尽くしました 神を通して伝わってくる弟の変化あの千ひ がほを心していた千ひが今や軍服をまとっ て船地へ向かおうとしている胸の奥がどこ か締めつけられるように痛みました ふと風が吹き抜け手紙の橋がふわりと揺れ ましたた志はそっとその封筒を胸にしまい 静かに空を見上げます 土曜日の夕暮れ旅館の一室には畳の香りが 満ちていました生事越しに差し込む西が 2人の影をゆっくりと伸ばしていきます 茶ブ台の上には湯を立てる調子と小さな 逆月きが2つ並んでいましたた志が調子を 手に取りの逆月きに酒を注ぐと千ひは 微笑みを浮かべながらそれを受け取ります 兄貴まあ飲もうお前酒なんか飲めたのか 結構行ける口だ そう言って千ひは軽く逆月きを掲げて口に 含みますその様子は落ち着いていて学生 時代の柔らかさとは違う兵士の風格が漂っ ていましたちひろどういうことだ俺は てっきり京都帝国大学で勉強に励んでいる もんだとばかりたしの声は言葉の先にある 現実を恐れるように震えていました卒業が 半年繰り上げになってなわし海軍予備学に 志願した坂を置き千ひは切を正して語り 始めましたもう少し学生生活を楽しみ たかったがそんな甘えたことは言ってられ んような中やまずは海兵団に入ってかれた 後対戦学校に行った対潜水艦作戦つまり敵 の潜水艦を探して潰すための訓練を受けた んやたしは逆月きを手にしたまま息を飲み ました の語る言葉が現実のものとして胸に 突き刺さってきます 口逐感に乗ってスクリの音を聞き分けて 爆雷を投化するそんな任務につくことに なった 芯と静まり返った室内でその言葉は重く 沈みました風林が遠くでチリンとなります 千ひどうしちゃったんだよ声を荒げる た志しに千ひは同じことなくじっと 見つめ返していましたなんでそんなに 落ち着き払っていられるんだお前の口から 爆雷を投化するなんて聞きたくなかったよ たしは拳を握りしめ言葉を続けますお前が 耳を済まして聞きたかったのは敵の救音 じゃないだろう弱い人たちの声を聞いて 救うために放下に行ったんじゃなかったの か 畳の上にこぼれた志の言葉は酒の香りと 混ざり合いながら夕暮れの旅館の部屋に 染み込んでいきます千ひは何も言わずただ その問いを黙って受け止めていました た志は身を乗り出すようにして千ひの目を まっすぐに見据えました な千ひ覚えてるかお前がほで弱い人たちを 救いたいってそう言ってた頃のこと千ひは 黙ったまま視線を落としていました 俺はあの時のお前が眩しかった怒らしかっ たんだよあの時だけじゃないずっとお前は 自慢の弟だったたしは言葉を区切りながら 記憶をたぐるように続けましたおじさんが よく言ってただろう何のために生まれて何 をして生きるのかってお前が生きてきた 意味は敵の潜水艦をやつけるためじゃない はずだ千ひは口を毎一文字に結びゆっくり と拳を膝の上で握りしめましたそして突然 声をあげますもうやめてくれ声が旅館の 部屋の柱にまで響くようでした 兄貴はわしにどうせって言うがやわしは もう5日後に佐ぼから駆逐感に乗るがよ もう後戻りなんてできん言葉の橋にどこか 振り切ったような痛みが滲んでいました わしはこの国の美しい海や山や川を守る ために戦うおばさんを守るためやおしん ちゃんを守るためやそれからわしを産んで くれたあの母さんを守るため千ひは一息 つき声を少しだけ落としました のぶさんも国民学校の子供らもみんなを 守るそのためやったら命欲しくないたしは 黙って聞いていました畳の上に流れる空気 が芯と静まります 千色は懐から小さな手帳を取り出しました 表紙の角はすっかりすり切れ手のぬくもり を吸い込んだような不合があります おじさんの机の引き出しから出してきたが や兄貴は父さんのこと覚え中やろう兄貴が お守りに持っておいた方 がたしは手帳を受け取りしばらく見つめた 後口を開きました お守りなら千色が持っていた方がいい千は 小さく首を振りながら懐から1枚の写真を そっと取り出しました わしにはこれが歩きそれは父清の写真でし たあざしは静かでどこか遠くを見ている ようでした 千ひこんな写真持ってたのかありがとう 大切にするよたしは手帳を丁寧にポケット へとしまいそっとその上に手を置きました 兄弟の間にはもう言葉のいらない沈黙が 流れています 風の音が遠くでなり夏の夜の匂いがふっと 花をかめました 旅館の座敷にはぬる感の夜熱と遊気の 残りガがほんのりと漂っていました茶ブ台 の上には食べ終えた器がいくつも並び箸が 横だわったままです 生子の外では風林がカスカになり夜の気配 がじわじわと濃くなっていきます けれどひはその場を立とうとせず無言の まましばらく互いの逆月きを見つめてい ました別れの時が近づいていることを どちらも言い出せずにいたのです 沈黙を破ったのはた志しでしたふっと笑を 浮かべて言葉を投げますなあ千ひ郎久し ぶりに2人でバカなことでもやってみない か黄色が顔をあげますたしはどこか懐かし そうに笑いました 昔よく一緒に相撲を取ったじゃないかお前 の得意な柔道でも検討でもいいぞ俺は初年 兵の時殴られてばっかりだったからな今 ならそう簡単にはやられないぞ千ひは鼻で 笑って首を横に振りました兄貴との 殴り合いは2度とごめんだじゃあ何をする 千ひが1番やりたいこと言ってみるよ しばらく考え込んだ千ひがつりと答えまし たわしはシーソをやりたい 意外な答えにた志は思わず笑い声を漏らし ます そうかのぶちゃんも一緒だったなあの時は 楽しかった千色も笑いましたがやがて表情 がかかりますもう一度のぶさんに会いたい ねやその声にたしの顔が真剣に変わりまし たちろお前もしかし て千はゆっくり頷きました明りに照らされ たその瞳には揺れる涙の光が宿っています あそうやわしはのぶさんが好きや子供の時 からずっとのぶさんをしっとった兄貴の嫁 さんになるがやったら諦めもついたがに何 を元々しおるんやろわし は言葉を区切りながら千ひの方がかかに 震え始めました 全く気持ちも伝えられんで別の男に取られ てたしは何か言いかけて唇を噛みました けれど結局一言だけがこぼれます 何も言えないよしばらくの間2人の間には 風林の音だけが流れました わしは生きて帰れたらもう誰にも遠慮はせ ん今度こそのぶさんを捕まえる たしは下を向いたまま小さくため息を 漏らしました彼女はもう結婚してるんだぞ 千色は少し笑ったような顔で首を横に振り ます 涙が頬を伝え触れる声で言いました カマ はその言葉は小さくしかし鋭夜のしけさに 溶け込んでいきました 涙の跡が光を受け千ひの頬に細い線を描い ていますた志はその横顔を見つめながら 言葉にできぬ思いを胸の奥に押し込みまし た 少しの沈黙の後千ひはゆっくりと口を開き ましたこの頃思い出すがやおじさんがよく 言いよったろふと目を細め窓の外へと視線 を送りますまだ湿った朝の空気がふの隙間 から静かに入り込んできました 何のために生まれて何をしながら生きる かってあれよ響いた千ひは逆月の縁に指を 添えて続けますこの戦争がなかったらわし はもっと法学の道を極めて腹をすかせた 子供らや知げられた女性らを救いたかった 弁護する側に立ちたかったがよ言葉を つなぎながら千ひの声には抑えきれがにん でいました兄貴ともっと何も酒を飲んで 語り合いたかったくだらんことでも真面目 な話でももっとたくさん笑いたかった たしは俯いたまま唇を噛しめていました 母さんにも親したかった優しい言葉なんか 1度も返してもらえんかったけどそれでも 王は 歩き剣道それももう適かもしれん 千ひは拳を握りぐっと目を閉じました この戦争さえなかったら愛する国のために 死ぬよりわしは愛する人のために行き たかった部屋に深い沈黙が落ちました朝の 光が2人の影を畳の上に落とし風林が1つ だけなります たしはその影を見つめたまま低くしかし 確かな声で言いました ジロ生きて帰ってこい必ず生きて帰って こいよ その言葉にジは静かに頷きましたそしての 姿勢を取りまっすぐ高志の目を見て言い ました 兄貴元気で嫌な一位行ってまいりますそう 言って背を向けた弟の背中はもうためいの ない兵士のそれでした 数日後小倉連に戻ったは水場の裏手で火の 番をしていたレギで食わしました火の匂い と煙が立ちの中ヤギはちらっとの顔を見て 問いかけます弟に会えたのかその問いに たしは頷き少しだけ目を伏せたまま答え ましたはい話せてよかったです は以上何も言わず火の中の肺を無言で崩し ます風が少しだけ吹いて肺が舞い上がり たしの頬をかめていきました 夜のA者裏空には満点の星が広がってい ました風は涼しく地面に敷いた毛布の上で はスケッチブックのページがパラリと めくれていますすけたランプの明りの元 た志は黙々と鉛筆を走らせていました視線 の先にはタバコを加え空を見上げるヤの 横顔があります炭を軽く落とすように線を 整えながら高志が釣りと口を開きました 自分のようなものが組んでここまでやって こられたのは戦友殿のおかげですヤギは 返事をせず煙を吐き出しました高志は続け ます入退したばかりの頃軍人直意を覚える ようにご指導いただきましたそのおかげで 中隊長殿にも目をかけていただけて班長に も慣れてその言葉にヤはようやく口を開き ましたい瀬ま筋のせいだたしは手を止め顔 をあげます お前とは同じ匂いがしただから目についた ただ勘違いするな俺は当たり前のことをし ただけだ声は淡々としていましたがその奥 にはどこか静かな熱がありました これまでのお礼ですたしは書き上げた紙を そっと破り取りヤギに手渡しました 鉛筆の線で描かれた横顔には占への経緯と 感謝が込められています ヤギは髪をちらっと見て小さくため息を つきました柳ないお前は俺と違って弱い 弱いものが軍でやっていくには容量よく 立ち回って真急するしかないよ風が言葉の 間をそっと撫でましただがな戦場では5条 という階級も勲章も何の意味も持たん弱い ものから順に死んでいくたしは手を膝の上 に置きまっすぐヤを見つめました つまり自分のようなものから死んでいくと いうことですねでも自分はどうしても生き て帰りたいんです その声には震えと覚悟が同時に宿ってい ましたヤギは少し黙りタバコの火をも 見消しますみんな同じだ敵も味方も生きて 帰りたいと思っているたしは唇を結び低く 問いました自分のような弱いものが生きて 帰ろうとしたらどうすればいいんでしょう か夜の静寂を割るように山の声が響きまし た弱いものが戦場から生きて変わるには 卑怯になるしかない たしの目が揺れますヤは構わず続けました 仲間が殺されても敵を打とうなんて思うな そんな顔していると運にも見放されるぞ しばしの沈黙星空の元2人はただ座ってい ましたたはゆっくりと目を閉じエの言葉を 胸の奥に刻みつけています今夜の風は痛い ほど住んでいました 復健の山合にある中屯地は赤土混じりの道 が広がり遠くに屋根河原の民家がポツポツ と見えていました湿った風が逐林を揺らし 重たい空気が兵の肩にりついています小倉 連帯の一段がその地に到着したのは午後の 日が傾き始めた頃でした荷物を背負い ながら列をなして歩く中たしはふと 聞き覚えのある声に足を止めました 達水側のたしないか振り向くと軍服に埃り をまとった男がにやりと笑って立ってい ました 岩尾君驚きに目を見開いたにその男田川 岩尾は胸を張って歩み寄ってきました お前はこう太やないかこんなところで おまんらに会えるとは殿は5兆であります が兵長の分際で失礼いたしました 岩尾は冗談めかして迎するとは思わず 吹き出しました こんな片苦しいこと言うなよ幼馴染みじゃ ないかそのやり取りを脇で見ていたこ太も 笑を浮かべましたそういうわけにはいかん 千地じゃ階級がものを勇きこうおま兵か ほんなら遠慮はいらんな岩尾君いつから ここに1年ほど前から野線任務についてい たにあります山の中を早り回る毎日や その言葉にたしは一瞬だけ妙な顔をしまし たがすぐに表情をほばせました でもこうして再開できてよかった懐かしい な岩は笑って頷きました幼い頃たし殿から 奪って食べた弁当は本当にうまかったその 言葉にこ太が顔をくぐしャっとさせて 思い出しますあれなのぶに下手でぶたれた やつや 3人は顔を見合わせ腹を抱えて笑いました 腹の底から湧き上がる笑い声は洗場の空気 を一瞬だけ柔らかく変えます赤く染まり 始めた空の元3人の男たちはほんのわずか な時間弁当と下駄の記憶に浸りながら少年 の日々へと心を戻していました 最後までご視聴いただきありがとうござい ましたコメントを残してくれると嬉しい ですチャンネル登録高評価もお願いします またよければチャンネルメンバーになって いただけると大変公栄です是非とも応援を お願いいたします [音楽]
昭和十七年、嵩は小倉連隊に配属され、苛烈な内務班での日々が始まります。井伏鱒二の詩集を破られた新兵時代、軍人勅諭との格闘、理不尽な暴力と八木との出会い――そして弟・千尋との再会が、彼の心を揺さぶっていきます。
一方で、法を志したはずの千尋は、いつしか海軍士官として駆逐艦への乗艦を目前に控えていました。兄と弟が交わした最後の盃と、のぶへの想い。そして「生きて帰ってこい」という嵩の願い。
本作では、軍隊という過酷な環境のなかで心を通わせる男たちの姿と、戦争が奪った夢と日常を、丁寧な会話と情景描写で綴ります。
八木の教え、神野の計らい、そして幼馴染たちとの再会――幾重にも重なる人間模様のなか、嵩は少しずつ自らの道を見出していきます。
兄弟が語り合った「生きる意味」とは何か。
どうぞ最後まで、ご覧ください。
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