ニコンをトップに押し上げたカメラ

4月25日に発売されたニコン「Z5II」は、ニコンZシリーズのエントリーモデルであった「Z5」の後継機として登場した。Z5はフルサイズながらボディのみで20万円を切る価格で人気を集めたが、すでに発売から5年が経過しており、今買うにはちょっと古い。

そして今回発売されたZ5IIは、ボディのみが258,500円、24-50レンズキットが299,200円、24−200レンズキットが358,600円と、初代よりもだいぶ価格が上がった。しかしそれでも直近のフルサイズ機としては、最も安い。

機能的にも十分ということもあり滑り出しは順調で、BCNの調査によれば発売直後の4月末でニコンとしては初めて、フルサイズミラーレス分野でトップとなったそうである。

動画分野でも、ニコンの注目度が急上昇している。それというのも、昨年4月の米国のシネマカメラメーカーREDを買収に続き、今年2月にはZマウントを採用したシネマカメラを2モデルリリースしたからだ。

当然Z5IIも、動画性能をチェックしておくべきだろう。さっそくその実力をテストしてみよう。

Z5から継承したこだわりが感じられるボディ

一般にフルサイズミラーレスのエントリーモデルは、ビューファインダを省略したり、ビギナーに喜ばれるエフェクティブな機能を搭載したりといった傾向が見られるところだ。一方Z5IIはそうしたトレンドには乗らず、ビューファインダも搭載されるなど、オーソドックスな作りを貫いている。

エントリー機ながらビューファインダも備える

ボタンやダイヤル配置としては、前作Z5とほぼ同じだ。ロゴの位置だけ前面から上部へと移されており、左肩の間延びした印象がなくなっている。

ボタン配置などはZ5と同じZ5IIのロゴは左肩に移動

センサーは高感度な有効画素数2,450万画素の裏面照射型CMOSセンサーを採用し、静止画ではISO 64000、動画ではISO 51200の最高常用感度を実現している。

また画像処理エンジンも、動画機として注目度が高かった「Z9」「Z8」と同じ「EXPEED 7」を搭載。さらにAIによる人物(顔、瞳、頭部、胴体)、犬、猫、鳥、飛行機、車、バイク、自転車、列車など、「Z9」「Z8」同等の被写体検出を可能にしている。つまりZ5IIも、動画機として使わない手はないモデルというわけである。

被写体検出は上位モデルと同じ

動画撮影フォーマットはシンプルで、4KかフルHDのみである。その代わり動画ファイル形式が4タイプあり、それぞれで対応可能な解像度やフレームレートが変わってくるという設計だ。

動画ファイル形式は4タイプコーデックファイル形式解像度フレームレートNーRAW/12bitNEV3840×216030p/25p/24pH.265/10bitMOV3840×216060p/50p/30p/25p/24p1920×1080120p/100p/60p/50p/30p/25p/24pH.265/8bitMOV3840×216060p/50p/30p/25p/24p1920×1080120p/100p/60p/50p/30p/25p/24pH.264/8bitMP41920×108060p/50p/30p/25p/24p30p 4倍スロー、25p 4倍スロー、24p 5倍スロー

スローモードはH.264/8bitでしか選べないが、実際には他のコーデックでもHD120pで撮影できるので、編集時にスピードを落とせばスロー素材として使える。

NーRAW/12bitでは、SDRとNーLogでの撮影ができる。また本機はニコンのカメラとしては初めて、NーRAWをSDカードに内部記録できるようになった。H.265/10bitでは、SDR、HLG、NーLogの3タイプに対応する。ほか2つはSDRのみだ。

NーRAW/12bitではNーLog撮影が可能

モニター表示はビューアシスト機能もあるので、SDR領域にはなるが正しいコントラストで確認できる。

ビューアシスト機能も装備

フルHD撮影時には、撮像素子の読み出し範囲を可変するハイレゾズームが使用できる。原理的には先日レビューした「LUMIX S1 II」のハイブリッドズームと同じである。ただハイブリッドズームでは、光学ズームと自動的に連動してズーム倍率を上げられたが、ハイレゾズームは光学ズームとは連動せず、ズームが2個あるといった実装になっている。

フルHD30p以下ならハイレゾズームが使える

ビューファインダーは1.27cm/0.5型 約369万ドットのQuad-VGA OLEDで、カラーカスタマイズも可能になっている。横出しバリアングルのモニターは8cm/3.2型約210万ドットのTFT液晶モニターでタッチ対応。こちらもカラーカスタマイズ対応となっている。

モニターは横出しのバリアングル

昨今人気の機能として、商品レビュー用モードも備えている。人物や顔ではなく手前のものに優先的にフォーカスを合わせる機能だが、反応範囲をカスタムで決められるなど、かなり凝った設定が可能だ。

商品にAFが働く範囲がカスタムで決められる

今回お借りしているレンズは、キットレンズではない。「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」は2019年発売で、Zマウントのズームレンズとしては比較的初期に登場した標準ズームだ。全域でF2.8を確保する、動画でも使いやすいレンズだ。

今回撮影に使用した「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」総論

フルサイズZシリーズのエントリーモデルとしてリニューアルされたZ5IIだが、動画性能に関しては4K/30p止まりではあるものの、NーRAW/NーLog収録もカバーしており、ハイエンドな撮影にもついてこられるモデルになっている。

またHD解像度であればスローやハイレゾズームが使えることで、カメラとしての魅力もアップする。設定やメニューもシンプルで、ユーザープリセットも使えるので、取り回しにも苦労しないカメラである。

ボディは初代Z5とほぼ同じで、性能だけアップした格好だ。ただ液晶モニタは、横出しのバリアングルで使うと少し左が下がる癖があるので、水平が取りづらい部分がある。それ以外は特に不満のないカメラだ。

横出しのバリアングルにすると、若干左が下がる

センサー感度も高く、夜間撮影に強いあたりは、ソニーα7Sシリーズに通じるところがある。センサーを高解像度に振るのをやめて、画素面積を上げるという方法論だ。同時にセンサー価格も抑えられることで、価格にもお値打ち感を出している。

動画に関しては、これでも十分戦えると思えるカメラである。