
5月28日、米半導体大手エヌビディアの衰えることのない成長ペースには、とうとう熱狂的支持だった投資家さえついていけなくなりつつある。写真は同社のロゴが表示されたスマートフォンと、マザーボード。2023年3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 米半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabの衰えることのない成長ペースには、とうとう熱狂的支持だった投資家さえついていけなくなりつつある。
エヌビディアが28日発表した第1・四半期(2─4月)売上高は前年同期比69%増の440億ドルと、またしても驚嘆すべき伸びを示した。トランプ政権による同社の人工知能(AI)半導体「H20」の中国向け輸出制限がなければ、売上高はもっと多かっただろう。そうした猛烈な速度での成長にもかかわらず、バリュエーションは比較的割安という水準に置かれている。
アマゾン・ドット・コム(NVDA.O), opens new tabやグーグル親会社アルファベット(GOOGL.O), opens new tabといった巨大IT企業はこれまで、AIの学習と運用に向けたクラウドコンピューティング関連インフラ構築のための巨額投資によって、売上高を増やし、投資家に評価されてきた。例えばマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabのクラウドサービス「アジュール」の1─3月期売上高は33%増加。メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tabの設備投資予定額は今年だけでも3000億ドルと、10年余り前の13倍に達する。各社は、投資と収入の好循環が途切れない限り、このような動きを続けるだろう。
そうした投資資金の大半はエヌビディアに流れ込み、同社の四半期ベースの売上高は過去2年で6倍、純利益は何と9倍に膨れ上がった。収益拡大の流れとその原動力には目を見張るほどの安定感があり、エヌビディアがこの先も恩恵を受けられると考えられる十分な根拠はある。
しかし変わったのがファンドマネジャーの熱気だ。今回の決算発表前時点でLSEGがまとめたデータによると、エヌビディアの12カ月後予想利益に基づく株価収益率(PER)は28倍と、5年平均を約33%下回っていた。過去最大規模の投資ブームにおける最大手サプライヤーという同社の立ち位置からしても、この評価はかなり低い。
Line chart showing Nvidia’s price to expected earnings multiple over five years.
エヌビディアの先行きに対する懐疑論は、米政府の輸出制限だけに起因するものではない。同社は自社製品への飽くなき需要のおかげで粗利益率が2─4月期に60%を超え、輸出制限がなければ70%を突破していたとみられる。だが技術発展が進んでAIモデルの学習ニーズが減退するか、専門的な半導体の登場でより効率的な学習が可能になれば、エヌビディアの収入基盤はあっという間に崩れ去る恐れがある。競合他社がエヌビディアの支配する市場に食い込んでくるかもしれない。
とはいえ、これらはおおむね「理論上」の不安に過ぎず、現実はエヌビディアの快進撃が続いている。テスラ(TSLA.O), opens new tabなど合理性を欠く成長期待に伴う乱暴で投機的なPERが形成されている幾つかの銘柄を考慮すると、エヌビディアのPERも単純には計算できない。
●背景となるニュース
*エヌビディアが28日に発表した第2・四半期(5-7月)売上高見通しは、約450億ドルを中心に上下2%だった。米政府の輸出制限によるおよそ80億ドルの損失を織り込んだ。 もっと見る
*第1・四半期(2-4月)売上高は441億ドルで前年同期比69%増、純利益は188億ドルで26%増となった。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

