失敗を重ねるスターシップの2段目部分に手を焼いているスペースXだが、大型ブースターの開発では目覚ましい進展を見せている。

スペースXは、スターシップの第1段目のブースター──「Super Heavy(スーパーヘビー)」と呼ばれる──の開発を前進させている。

その最も歴然たる証しが、25年4月3日木曜日、現地時間午前9時40分(日本時間の23時40分)、同社がテキサス州南部に構える打ち上げ施設「スターベース」において確認された。すでに宇宙のきわまで飛行した実績をもつスーパーヘビーの燃焼試験が実施され、その排気口からは、見誤りようのないオレンジ色のロケットブラストが噴射されたのだ。燃焼は約8秒間続いた。

「飛行実証済み」のスーパーヘビーが燃焼試験を行なうのは今回が初であり、「ブースター14号」と命名されたこのスーパーヘビーブースターには、再飛行への道が開かれている。スペースXは、1月に打ち上げと地球への帰還を果たしたブースター14号が、次のスターシップの打ち上げにおいて再飛行する予定であることを明らかにした。

この日行なわれた地上燃焼試験からすると、ブースター14号こそが、打ち上げ場の近くにある工場の中にあるほかのどのブースターよりも飛行実験に臨む準備が整っているようだ。

スペースXは、このブースターに搭載されている液化メタンを燃料とする33基のロケットエンジン「ラプター」のうち、29基はすでに飛行実証済みであると発表した。同社のXへの投稿には、「スーパーヘビーの初の再利用によって、われわれが目標としているゼロタッチ再飛行の実現が一歩近づくことになるだろう」とある。

スーパーヘビーの再飛行が成功すれば、スターシップ計画における大きな節目となるだろう。だが一方でエンジニアたちは、このロケットの2段目が抱えている問題と格闘している。シンプルにシップ(宇宙船)と呼ばれている部分だ。

ファルコン9からスターシップへ

スーパーヘビーに搭載されているエンジンは、1,700万ポンド(約7,700トン)の推力を出せる。これは、月に宇宙飛行士たちを送り込んだNASAのサターンV型ロケットの2倍にあたる。スーパーヘビーはおそらく、これまで製造されたなかで最も複雑なロケットブースターだ。最大のものであることは間違いない。ボーイング747ジャンボジェット機の胴体が、垂直に立っている姿を想像してみれば、その大きさを想像することができるだろう。

スターシップは、本格的な軌道飛行試験のために8回打ち上げられてきた。1段目のブースターであるスーパーヘビーに2段目の部分を取り付けたロケットの全長は、404フィート(123.1m)に及ぶ。このロケットのブースター部分は、これまでのところうまく任務をこなしている。スターシップの初飛行試験こそ失敗に終わったものの、その後連続して7回の打ち上げ試験を成功させているのだ。

宇宙のきわまで飛行したブースター14号が、発射場でキャッチされるために帰還する様子(25年1月16日撮影)。

宇宙のきわまで飛行したブースター14号が、発射場でキャッチされるために帰還する様子(25年1月16日撮影)。

COURTESY OF SPACEX

スペースXは、直近4回の試みにおいて3基のスーパーヘビーを回収してきた。同社には、ファルコン9のブースターを回収・再利用することによって得た豊かな経験が蓄えられている。いまやファルコンの着陸回数は、総計426回に達するのだ。

スペースXが、ファルコン9のブースターを初めて再利用したのは17年3月のことだ。これは業務として行なわれた飛行で、通信衛星を打ち上げるという数億ドルの費用がかかるミッションだった。