
ロシア・サンクトペテルブルクにあるヨッフェ物理学技術研究所の天体物理学者、セルゲイ・バラシェフ氏らの研究班は21日発行の科学誌ネイチャーに掲載された論文で、チリにある2台の超大型望遠鏡を使い、天の川銀河とほぼ同じ数の星を持つ二つの銀河が接近する様子を観測したと明らかにした。提供写真(2025年 ロイター/ESO/M. Kornmesser)
[ワシントン 21日 ロイター] – ロシア・サンクトペテルブルクにあるヨッフェ物理学技術研究所の天体物理学者、セルゲイ・バラシェフ氏らの研究班は21日発行の科学誌ネイチャーに掲載された論文で、チリにある2台の超大型望遠鏡を使い、天の川銀河とほぼ同じ数の星を持つ二つの銀河が接近する様子を観測したと明らかにした。
この現象が実際に観測されたのは初めてという。観測した二つの銀河は宇宙の始まりであるビッグバンの約24億年後、約114億年前には存在していた。
銀河の中心には、中に落ち込むガスやちりをエネルギーにして輝く明るい天体「クエーサー」がある。クエーサーによる強烈な放射線が、もう一方の銀河のガスやちりが集まった「分子雲」を破壊しているのが観測される。
星を生み出すのは分子雲だが、論文の共同主執筆者のバラシェフ氏は、クエーサーによる放射線の影響を受けた領域の分子雲は「星を形成するには小さすぎる、小さく高密度の雲粒」になったと指摘する。
このような分子雲が重力によってゆっくりと収縮し、小さな中心が形成され、それが加熱されて新しい星となる。ただ、クエーサーの放射線の影響を受けた銀河は、そのような星の苗床となる領域が少なくなり、星の形成率が低下したという。
これらの二つの銀河の相互作用について、共同主執筆者であるパリ天体物理学研究所の天文学者、パスキエ・ノテルデーム氏は「馬上槍試合の騎士が互いに向かって突進するように、これらの銀河は急速に接近している。クエーサーを放つ一つの銀河は、強力な放射線を放ち、まるで槍のようにもう一つの銀河を突き刺す」と解説した。
超巨大ブラックホールは、天の川銀河を含めた多くの銀河の中心に存在する。今回の研究対象となったクエーサーの原動力となるブラックホールの質量は、太陽の約2億倍と推定され、天の川銀河の中心にあるものよりもはるかに質量が大きい。
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