イスラエルがイランの核施設を攻撃する準備を整えている可能性があると米メディアが報じ、石油市場が動揺している。米国ではトランプ政権が、イラン側がより強硬になっているか、または抑止されているのかを見極めようとしている。

  米CNNは20日、米諜報機関の指摘としてイスラエルが攻撃の準備を進めている可能性があると報じた。

  北海ブレント原油は21日の取引序盤に急騰した後、上げ幅を縮小し1バレル=65ドル台半ばに留まっている。この動きは、原油トレーダーらがイスラエルの攻撃が迫っているとの情報に懐疑的なことを示している。過去のイスラエルの意思決定者らの発言から判断すると、同国が報復措置を講じるという憶測は、イランを威嚇する目的で流布されてきたことが多いからだ。

Benjamin Netanyahu

イスラエルのネタニヤフ首相

Source: dpa

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナリスト、ディナ・エスファンディアリー氏とジアド・ダウド氏は、「イスラエルがイランを間もなく攻撃するという報道は、おそらく誇張されている。このリークは、次の交渉に先立ち、米国がイランへの圧力を強めようとしたものと思われる」と指摘した。

  一方で、イスラエルがイランに対する忍耐力を本当に失いつつあり、米国当局者が攻撃を阻止するため、計画を暴露した可能性もある。トランプ大統領は、イランに対する米軍の攻撃を示唆することはあるが、外交交渉が失敗した場合に限るとしている。

生涯の課題

  イスラエルのネタニヤフ首相の国際問題顧問を務めるキャロライン・グリック氏は、イスラエルの目標はイランのどんなレベルのウラン濃縮も阻止することだと述べた。イラン側は、民間目的のための低レベル濃縮は必須だと主張している。

  グリック氏は、イスラエルの攻撃は、深刻にエスカレートはせず、米国を巻き込むこともなく実行できると述べた。

  ネタニヤフ氏にとって、イランの核武装阻止は生涯の課題であり、パレスチナ自治区ガザでの戦争で傷ついた実績の回復手段にもなる。イスラエルは、トランプ氏のイランとの交渉も歓迎していない。一部のイスラエル当局者は、トランプ氏がイスラエルの攻撃や、それに伴う大規模な紛争のリスクを容認しない可能性を懸念している。

  イスラエルの軍事諜報機関の元長官で、コンサルティング会社「マインド・イスラエル」を率いるアモス・ヤドリン氏は、イスラエルは米イラン交渉の結果を待つべきだと述べた。同氏は1981年、イスラエルがアメリカとの事前協議なしにイラクの原子炉を破壊した際のパイロットの一人だった。

  同氏は即時の攻撃実施には懐疑的な考えを示した上で、「現在は赤とオレンジの間にある」と述べた。

  米国とイランの交渉はこれまでに4回行われ、ウィトコフ米特使とイランのアラグチ外相が主導した。両者はオマーンでの最新の交渉は順調に進んだと述べたが、イランの最高指導者ハメネイ師は20日、交渉の成功に疑問を呈した。

  ヤドリン氏は、交渉の行き詰まりが打破されないか、トランプ氏がウラン濃縮問題で譲歩しない場合、イスラエルが行動に移る可能性があると述べた。

 

原題:Sputtering Iran-US Talks Revive Specter of Israeli Solo Strike(抜粋)