44歳の若さで乳がんのため死去した市議会議員・橋口絵里奈さん 「がんに負けるわけにはいかない」再発後も議会で訴えた検診の大切さ 福岡市早良区選出
女性の9人に1人が罹患 年間1万5000人余りが「乳がん」で死亡
今年3月、福岡市議会議員の橋口絵里奈さんが乳がんのため44歳の若さで亡くなりました。
日本では近年女性の9人に1人が罹患し、1年間で1万5000人余りが亡くなっている乳がん。
検診の普及やがん患者の支援を訴えてきた橋口さんの思いを取材しました。
橋口絵里奈 福岡市議
「がん検診の向上について、AYA世代がん患者支援についての2点をご質問させていただきます」
おととしの市議選で初当選を果たした日本維新の会福岡市議団の橋口絵里奈議員です。
15歳から39歳の「AYA世代」と呼ばれるがん患者の支援や乳がん検診の普及を訴えてきましたが、1期目のこれからという時に44歳の若さで亡くなりました。
10年前34歳の時 両胸に乳がんが見つかる
4月23日、議会の控室を訪ねました。日本維新の会 福岡市議団 天野こう 代表
「こちらになります。お花と写真が…そうですね。本人は最初から最後まで復帰するつもりでやっていましたから、急な展開で本当の意味で受け入れる気持ちになれないというか、そういう状況にありますね」橋口さんは10年前、34歳の時に両胸に乳がんが見つかり、全摘手術を受けました。
当時は販促事業などを手がける「リクルート」に在籍していました。
姉の麻美子さんは、当時をこう振り返ります。姉・橋口麻美子さん
「やっぱり最初の時から弱音は吐かなくて、入院中にピンクリボンアドバイザーの勉強を始めて、美容のことであったり、仕事に復帰したあとであったりとか、そういうことを語り合える場があるといいなって」
「がん患者をサポート」NPO法人を立ち上げ
橋口さんが最初に目をつけたのはネイルチップ。抗がん剤治療で黒ずんでしまう爪を、ネイルチップでおしゃれをして元気になってもらおうとがん患者に無償提供を始めました。そして2020年に、がん患者をサポートするためのNPO法人「スマイルハート」を立ち上げます。
運営にあたり頼りにしてきたのが恩師でもある福岡大学の合力知工教授です。福岡大学 合力知工 教授
「病気のことだけではなくて、恋愛のことだとか、いろんな悩みとかがある。是非こういうNPOを立ち上げたいという風に話を聞きまして、そりゃすごいねっていう話をしたのを覚えています」福岡大学は、インターンシップの学生を派遣し一緒にがん検診を呼びかけたり、がん患者とのオンラインカフェを開催したりしました。福岡大学 4年 祝原若葉さん
「どうやったら、がん患者さんを笑顔にできるかを考えながらやってほしいっていうのは、すごく伝えられていました」
「チャレンジしませんか?」 橋口さんに訪れた大きな転機
自分と同じ境遇にあるがん患者を笑顔にしたい。
活動を続ける中で2023年、橋口さんに転機が訪れます。日本維新の会 福岡市議団 天野こう 代表
「スマイルハートの活動の紹介というか、話をさせて欲しいと連絡が来てですね、何より思いをすごく感じたので、私どもに訴えるのではなくて、自分自身がそういう立場になってみませんか?と、チャレンジしませんか?と非常に驚かれていましたけど」橋口さんは福岡市議会議員選挙に立候補することを決意。
5717票を獲得し、初当選を果たしました。橋口絵里奈 福岡市議(議会質問)
「がん患者は増加傾向にあります。しかし、適切な対策やがん予防、そしてがん対策は命を救うだけでなく、医療費、経済的負担の軽減までもが期待されています」
議員となって1年・・・ がんが再発
議員として歩み始めておよそ1年。
最初にがんが見つかってから10年という節目の検査で、がんの再発がわかりました。
連絡を受けた北九州市の市議は、橋口さんが驚くほど落ち着いていたと振り返ります。有田絵里 北九州市議
「そんな風な様子を一切見せずに、その時にぱっと言われたので、もうショックで私も泣いてしまって、頑張って今から治療していくけん、絶対治すけんって、そんなん泣かんでって」
橋口さんは、抗がん剤治療を受けながら、議会に立ち続けました。橋口絵里奈 福岡市議(12月議会)
「デジタルを活用した情報発信の先進事例を積極的に取り込んでいただきより戦略的な広報に取り組んで頂くよう強く要望し、私の質問を終わります」
しかし、症状は徐々に悪化し、この質問を最後に議会には出られなくなりました。亡くなる2週間前に撮影した写真です。4月以降の活動を確認する会議の中で、「ここでがんに負けるわけにはいかない」、「夏頃には復帰する」と訴えていました。
橋口さんが訴え続けた「乳がん検診の大切さ」
姉・橋口麻美子さん
「自分を第一に考えてって言ってしまったこともあったんですけど自分の思いを諦めても生きていて欲しかったっていうような。私は5千何票いただいて出来ている仕事だから、そのお仕事が自分の体調うんぬんで決められる事ではないって本人から言われて、それ以上は何も言えなかったというか」3月29日、橋口さんは福岡市の自宅で息をひきとりました。姉・橋口麻美子さん
「ちょうど桜の満開の日に、旅立っていったんですけど、本当に桜の様に短い期間でわーっと咲き誇って、周りの人たちを楽しませて印象に残るけど、さっと散っていってしまう、なんか桜に妹の生き方を重ねてしまうなっていう感じ。ちょうど満開の日だったというのもあるんですけど」橋口さんが議会で訴え続けてきた乳がん検診の普及。
国は60%以上の受診率を目指していますが、福岡県では44.7%と全国で34番目の水準にとどまっています。早期に発見・治療すれば完治するケースが多いことから、国は40歳以上の女性に対して2年に1回の乳がん検診を推奨しています。
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/1915205
